記事の使い回し

数年前に有名な老舗料理屋が、客に出す料理の一品を使い回ししていたことが発覚し、マスコミがいっせいに追究した結果、記者会見を開き謝罪するにいたった。
ところがそのマスコミの記者も、労働基準法が適用され、労働時間の厳守を要請されたため、自らの足で稼ぐ記事は減り、記者会見に出席して発表される記事が増え、各社とも似たようなソツのない記事ばかりとなった。
記者会見の記事は内容がほぼ同じでも仕方ないかもしれないが、最近は世論調査さえ独自で行わず、調査専門会社に発注して得た数字をもとに記事を作成しているようだ。
たとえば、参議院福岡県選挙区では9人が立候補しており、自民、民進、公明、共産とほぼ順位まで確定しているため、よほどのことがない限り、共産の当選は難しいだろう。
こうなれば、高い経費を使ってまで世論調査を行う必要性は乏しく、ただでさえ新聞購読料収入が減っているのだから、経費を削減して支出を抑えるのは、当然といえば当然だが、誠に実もふたもない、情けない話で、マスコミとしての矜持はどこに行ってしまったのだろうと、悲しくもなる。
記者クラブにアグラをかいて特権意識で取材をしていたら、ネットの速報ニュースが早くなったのだから、マスコミは内容で読者を納得させなければならないにもかかわらず、中身そっちのけで経費削減に突っ走ってしまえば、ますます読者が離れて負の連鎖に陥り、ネットに敗北しかねず、怖い話だ。
自ら疑問を持って取材するプロの記者が一人でも多く増え、執念を持って記事を書いていけば、読者は離れないし、再び増えていくような気がするのだが、どうだろう。

  

続きを読む