新人県議・市議に期待を込めて

福岡県議選において、福岡市東区・中央区・西区の各選挙区で「日本維新の会」の新人が初当選を果たし、いきなり3議席を獲得した。
東区の新開崇司氏(52)、その長男で中央区の新開崇将氏(25)、西区の塩生好紀(33)は、いずれも議員経験は全くない。

政治家としての能力が未知数の3人が、自民党県議団の牙城にどういう立ち向かっていくかが注目される。

「身を切る改革」を党の看板にしている維新の県議候補は、選挙中「費用弁償の削減」を訴えていた。
費用弁償とは、県議が公務で議会や委員会等に出席する際の旅費のことで、条例で定められている。

下表が県議の費用弁償だが、確かに言わんとすることは分かる。
仮に福岡市内の県議が自転車で来ても1万円支給されることになり、議論の余地はあるだろう。
「怖いもの知らず」の強みを生かし、是々非々で存分に暴れてほしい。



福岡市議会の維新は天野浩市議1人だけだったが、いきなり7人の大所帯となった。
復活当選を果たした4期目の阿部正剛氏が加わったことも政策面でプラスになるだろう。

新人には注文がある。
若くて経歴が優秀な人材が揃ったが、自分の力で当選した訳ではない。
低投票率で自民候補が得票数を大幅に減らす中、維新という政党が浮動票の受け皿となった。
政党の力を借り、最小の努力で当選できたに過ぎないということを肝に銘じ、議員報酬 月額 88万円の意味を考え行動してほしい。

市民の暮らしや地域課題を知る者は殆どいないはずである。
都市計画やインフラ整備、イベントも重要だが、まちづくりや福祉・教育面での問題は山積している。
これから毎日、選挙区内の路地の一つ一つを歩き、道の勾配、交通事情、買物事情などを肌で感じること、そして、校区や自治会の行事に積極的に参加し、直接市民の小さな声を拾い上げることを実践してほしい。
それを集約し会派で議論を重ね、政策として議会で高島市長に提案して頂きたい。

地域に根差した地道な活動を行い、自分という人間を知ってもらえば、4年後は政党の力に頼らない選挙ができるはずである。

井上市長は室屋氏(立憲)とバーター?

春日市の県議選(定数2)が激戦になりそうだ。
現職はいずれも自民3期目の 中牟田伸二県議(65)と松尾嘉三県議(54)、過去3回の選挙は 1・2位を激しく争ってきた。
両陣営ともこれまで以上に厳しい選挙になると見ている。



というのも、前回無所属で県議選を戦った室屋美香氏(50)が、今回は立憲民主党公認で出馬を予定しているからだ。
室屋氏は、ケーブルステーション福岡の元アナウンサーで知名度は高い。
現在は 福岡5区・堤かなめ衆院議員(立憲)の公設秘書を務め、堤氏と春日市内の公民館で小まめに集会「りっけん市民カフェ」を行い、支持を広げている。



気になるのが井上市長の動向だ。
もともと中牟田県議は2011年に井上市長が擁立した人物で、市長の後継者と言われていた。
ところが、前回2019年の選挙で、井上市長が裏で室屋氏を応援したという噂が飛び交い、幸いにして中牟田氏はトップ当選で 事なきを得たが、後援会には不信感が募っていたという。

そして、今回 室屋氏が立憲公認で立候補予定だが、3月5日に開催された室屋氏の総決起集会では 井上市長が挨拶を行い 支援を呼び掛けた。
実は、今回7期目に挑む井上市長には、既に立憲から自民よりも早く推薦が出してもらったという事情がある。

過去に多選批判を繰り返してきた民主系の立憲が、プーチンより任期の長い井上市長に推薦を出すとは驚きだが、「市長の室屋支援と立憲の市長支援はバーター」と見られており、あからさまな市長の室屋支持に中牟田県議の支持者からは不満の声が上がっている。

政治の世界は何でもあり、戦国時代と同じだ。
どうする、中牟田県議?

自民党県議団、JAに筑後の土地取得疑惑で調査要請 ①

10月13日、福岡県議会自民党県議団、農政懇話会(原口剣生会長)は、JA全農(東京都)に対し、全農パールライス㈱(以下パール社、東京都)が、筑後市の日清製粉工場跡地を2年前と比較して約3倍の価格で購入した具体的経過について、調査及び説明をするよう要請した。

ー 出回った怪文書 ー

2014年4月、JR羽犬塚駅西側に隣接した日清製粉㈱筑後工場が閉鎖され、2016年5月に広川町の不動産会社が同工場跡地(約5466坪)を3億3000万円(6万371円/坪)で購入、2017年12月には筑後市が市道として土地の一部約204坪)を約1248万円(6万1050万円/坪)で購入した。
しかし、その7ヵ月後の2018年7月には、パール社が同不動産会社より 9億5000万円(18万548円/坪)で購入し、価格が約3倍になっていた。

一連の売買は民間同士の契約で他人が口を挟む余地はないが、問題は購入したパール社がJA(農業協同組合)グループということだ。
不動産取引の売買価格や面積は通常当事者以外は知り得ない情報だが、間に入った不動産業者は、約2年で6億円以上の利益を手にしたことになり、関係者の間で噂になっていた。

今年6月頃、「農業の自立を考える会」という団体名で、土地取引の履歴と地元の政治家の関与をほのめかす怪文書が筑後市内に出回り、JA組合員からは事実の解明を求める声が上がり始めた。

ー 続く ー