弁護士の破産

大手企業の内部留保は大きくなる一方だが、中小零細企業は価格競争に明け暮れ、苦しい経営状態で推移しているのが現状。
最近は倒産しても夜逃げをせず、弁護士に着手金を支払い、後の処理を一任すれば、債権の取立てなどから開放される時代になっており、その最後にすがりつくのが弁護士である。
数年前から時代に即応する為に、多くの弁護士が誕生するシステムに改革されたのは良いが、待遇も改悪され弁護士に冬の時代がやって来た。
軒先を貸してくれる弁護士の数にも限りがあり、携帯電話一台で開業する弁護士も現れ、弁護士の行く末を危惧されていたのも事実であったが、ついに福岡で弁護士事務所の業務停止から、弁護士事務所が破産に追い込まれ、弱小経営者は誰を頼れば良いのだろうか。

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クロキ創建~破産~融通手形の果てに

旧聞になるが、1月29日午後4時、㈱クロキ創建(北九州市若松区)の破産手続き開始決定が、福岡地裁小倉支部で下りていたことが判明した。
破産管財人は河合勇治弁護士(河合法律事務所、北九州市小倉北区、電話093-551-5131)で、財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日は、平成28年4月26日午前10時30分。

同社は1年余り前に大きな注目を集めていた。
平成26年12月19日事業を停止し、その後破産を申し立てた㈱松尾ガス風呂センター(小倉北区)が主導する融通手形グループの1社に挙げられていたからだ。
商号はいささか古めかしいが、松尾ガス風呂センターの業績は立派なもので、平成25年11月期は過去最高となる売上7億7800万円を計上、当期利益600万円を挙げ、優良企業として知られていた。
どういう意図で、松尾ガス風呂センターが融通手形グループを主導することになったのか理由は不明だが、融通手形を割引していたサンファクター(小倉北区)が11月13日破産を申請、そしてグループの1つ西村住宅産業も11月27日破産申請となり、12月19日グループの牽引者も行き詰まっていた。


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矢野建具製作所~破産~1年前取材した時には・・・

大正15年11月設立、業歴90年を超える木製建具製作業界では老舗の、合資会社矢野建具製作所(久留米市宮ノ陣4-43-35 池尻重喜代表)は、10月28日に福岡地裁久留米支部で破産手続き開始決定を受けていたことが判明した。
破産管財人は、仲家淳彦弁護士(あゆみ法律事務所、TEL0942-65-9277)で、財産状況報告集会・廃止意見聴取・計算報告の期日は平成28年1月28日午前10時30分。
事件番号は、平成27年・フ・199号。

同社は、近年特定の建築業者への依存度が高過ぎたことが影響して、よその建具工事業者が施工した物件でも、現場監督から頼まれれば、無償で不具合を調整するなど、いわゆるサービス仕事が多く、赤字幅が膨らんだようで、平成26年8月末に第1回目の不渡りとなった。

この時取材した際には、年明け、つまり平成27年1月からの仕事はあるが、年内9月から12月までの仕事が無い、との説明だった。
前述のような言葉に続いたのは、「わたしらは精一杯ゼネコンさんに尽くしたけれど、先方は気にもかけてなかったんですかね」という悔みごとだった。
得意先の建築業者が地場でも大手だっただけに、あきらめがつかないような印象を受けた。

大昔、屋根工事業者さんを取材した時、仕事があっても利益の取れない仕事ばっかりが増え、つなぎ資金を銀行からの借り入れで調達せざる得を得なかった経営者は、そうした事態を、「いつの間にか、資産が借金に変わっとるとですよ」と、いみじくも評していた。
銀行は担保を入れないとお金を貸してくれないからだ。

ひょっとしたら池尻代表は、「これまで頼まれたことは無償で、自分ところの建具だけではなく、よその工事の不具合まで、サービスでしてきたんだから、矢野建具がおかしくなったら、なんとか面倒見てくれるんじゃないやろか」と、甘い考えを、おそらく抱いていたのではないだろうか。
そういうことは、あり得ません。
昨年、軽天工事の佐藤商店が破産しました。
中央区港の本社、東区箱崎ふ頭の倉庫を売却してまで、スーパーゼネコンに尽くしたものの、破産しました。
横浜の傾きマンションの影響で、杭工事のチェックは今後しばらく厳正を極めるでしょう。
そのほかの専門工事でもチェック工程が増えるはずですが、工事単価は上がりません。
今と一緒です。
下請協力業者にとって、増えた工程は手出しでしかないということを肝に銘ずるべきです。

 


 

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