傾いたマンションの建て替え完成、引き渡しへ

JR九州が販売した施工不良のマンションとして有名になった「ベルヴィ香椎6番館(福岡市東区)」の建て替えが終わり、15日に引き渡しの予定となっている。

管理組合としてマンションの傾斜を問題視したのが2016年、当初認めなかったJR九州だったが、マスコミ数社が報じ、2020年4月に㈱日本建築検査研究所の調査で基礎杭が支持層に到達していないことが判明、JR九州は施工不良を認め建て替えることになった。

傾斜マンション 弊社過去記事

一般的に、分譲マンションは区分所有者の意見調整が難しい。
調査費用に数百万円、大規模改修の積立金から支出することになるが、もし結果が出なかったときは無駄になるかもしれない。
反対意見もある中、建て替えを実現できたのは、7年間に亘り 理事会の理事長など要職を務めてこられた佐々木さんの調整力によるところが大きい。

実際に お会いすると 物腰柔らかく、笑顔を絶やさない人だ。
だが 根性が据わっておられ、梃子でも動かぬJR九州に物申すため、株式を購入して株主総会に参加し この件について質問したことも。
聞くところによると、大任町のご出身とか。これで納得。

今年の定期総会で役を辞する予定という。
佐々木さん、本当にお疲れ様でした。

JR九州、「施工会社の報告を信じた?」

福岡市東区舞松原の傾斜マンション「ベルヴィ香椎六番館」であるが、8日、販売したJV3社の担当者が同管理組合を訪れ、杭が支持層に到達していないことを認めた上で謝罪した。

JR九州から執行役員の事業開発本部マンション事業部長が出席したが、これまでの対応について問われた際、「施工会社の報告を信じていた」と責任回避とも受け取れる発言があり、住民の一人は耳を疑ったという。

JR九州とゼネコンとの力関係を象徴する言葉だが、既報のように、「建築工事中に初期沈下を起こしており、造作工事で調整している跡があることから、傾斜を承知しながら販売していた」と日本建築検査研究所㈱が断定している。

また、施工にはJR九州が筆頭株主である九鉄工業㈱がJVとして参加していることも忘れてはならない。

住民にとって施工会社は間接的なものでしかなく、JR九州のブランドを信じて購入しているのである。

苦しいかもしれないが、今後のために矢面に立って真摯に対応することが信頼回復に繋がるのは言うまでもない。



 

傾斜マンション、JR九州社長自ら住民と対話を

JR九州は、平成31年3月期連結決算で売上高4403億円と過去最高を更新、今や首都圏などでもホテルやマンション、オフィスビル、飲食店、ドラッグストアを手掛け、九州経済を牽引するトップ企業に成長している。
令和元7月2日の大手新聞に同社社長の青柳俊彦氏のインタビュー記事が掲載され、現在売上の6割を超えるようになった鉄道以外のビジネスを始めてきた頃の苦労について語っていた。

1987年(昭和62年)に分割民営化され3000人の余剰人員の給料をどう稼ぐかが当時の経営課題で、つい先日まで駅員や運転士、車掌をしていた社員が、焼鳥屋やうどん屋、釣り堀などを始めたが簡単にいくはずがなかった。
自動車ディーラー事業は止めるに止められず、撤退するときは相当な損失を出し、熊本の住宅開発も投資額をほぼ全て損失計上するなど「失敗」の連続だった。

なるほど、今だから笑って話せる失敗が、JR九州ほどの企業にもあったのだと改めて思った。
現在MJRシリーズで一定の評価を得ているが、JR九州がマンション事業に乗り出したのは、福岡市東区のJR新駅開業に合わせて8棟のマンションを企画した頃だと思われる。
JRブランドと駅前という好立地が功を奏し忽ち完売、幸先良いスタートとなったが、8棟のうち1棟でドアが開かなくなったり雨漏りがしたりするなど、当初から構造的な瑕疵が疑われていた。
対応策として、ドアの交換や補修などで対応しその場を凌いできたが、竣工後25年目となる今年4月、民間検査会社の調査により基礎杭が支持層に最大7m到達していないことが判明、その上、建築当時マンションが傾斜していることを認識しながら造作工事で誤魔化し販売、他にも耐震関連や内装での手抜き工事などが明らかになった。

販売は3社のJVであるが、住民からしてみればJR九州ブランドで購入しており、マンションの不具合についてもJR九州なら期待を裏切らず真摯に対応してくれると信じてきたのである。
しかし、平成29年12月、JR九州は傾斜の事実は認めたものの、「原因は不明で今後調査は行わない」という報告書を送ったのを最後に、一切顔を出さなくなった。
昨年6月のJR九州の株主総会では、同マンションの対応について株主から問われた際、役員が「適切に対応していく」と回答したが、この1年間何の動きもなかった。

瑕疵が明らかになった以上、青柳社長はこれも鉄道以外のビジネスを始めた頃の「失敗」の一つと認め、今年6月の株主総会までに、自ら住民と今後について協議し道筋をつけるべきではなかろうか。

傾斜マンション・杭長の不足が判明(後)

検査を行った㈱日本建築検査研究所代表取締役の岩山健一氏は、今回の調査で初期沈下を認識した上でマンションを販売し、その後も不具合が出て瑕疵を疑う住民に対し虚偽の説明で押し通してきたことについて、不誠実で悪質と批判した。

住民側はこれまで、ドアの開閉が困難になったり建物各所でひび割れが繰り返されてきたことから、売主側に原因の徹底究明を再三申し入れてきた。

売主側は一通りの調査を行い、平成29年12月27日付の報告書で、「杭は支持層以下まで到達していると考えられる」、「建物の傾斜が不具合の原因であることは否定できない」という内容を住民側に伝える。

それに対し、住民側がJR九州マンション事業部の担当者に「今後、建物が傾斜した原因の追究はしないのか」とメールで確認したところ、売主側はそれを認め、以後住民側と協議が行われることはなかった。

困り果てた住民側は同30年5月に補修工事を求めて調停を申し立てたが、売主側から歩み寄ることはなく翌年5月に不成立に終わる。

その後、住民側は日本建築検査研究所の岩山氏とコンタクトを取り、大きな後ろ盾を得ることとなった。

25年もの間、専門的な知識もない住民側は、捏造されたデータ等で「構造上の問題はない」と言いくるめられてきたが、今回の調査結果をもって訴訟を検討中だ。

「負の遺産」を受け継いだ売主側にとって難しい案件と思われるが、マスコミが注目する中で法廷で争うか、それとも瑕疵を認め補償を前提に管理組合とテーブルに着くか、大きな岐路に立たされていることは間違いない。(了)



 

傾斜マンション・杭長の不足が判明(前)

「JR九州を信じて買ったマンションが施工不良と判りショックですが、それ以上にこれまでの対応が許せません。」
福岡市東区の傾斜マンションの住民は怒りが収まらない。

今年2月から㈱日本建築検査研究所(代表者 岩山健一氏)が傾斜原因の調査を行ってきたが、建物を支える杭の長さ不足が立証され、建設時から構造上の問題があることを知りながら販売していたことが明らかになった。

まず、建物を支える基礎杭の調査だが、傾斜が最大の1階地点のベランダ(南)側と廊下(北)側、2ヵ所をボーリングによる支持層までの深さと、磁気探査棒で杭の長さを測定、その結果、南側は支持層まで17.0mに対して杭長が9.7m、(7.3m不足)、北側は支持層まで16.0mに対して杭長11.9m(4.1m不足)という予想以上の数値となり、これまで疑義のあった杭長の不足が証明された。

次に室内の傾斜を調査、傾きの大きい1~5階までの11戸について、梁や床の傾斜角度及び内部の造作物の角度を測定したところ、全戸とも梁と床板が同一方向に傾斜している一方で、ベランダの柱やアルミサッシの縦枠は垂直に、キッチンのシンクは水平に調整して設置されていた。

建設後に不同沈下が起こり建物が傾斜していた場合は、内部の取付物も同様に傾くはずで、このことから建築工事中に初期沈下による傾きを承知していたことが判った。
(続く)

福岡市東区・傾斜マンション⑤

問われる企業倫理

JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションの原因調査であるが、最終報告書が出てくるのが4月末、その結果を見て住民側は法廷に持ち込むか方針を決める予定だ。

裁判になればJR九州側が時効を盾に戦うことも考えられるが、既に大手報道機関もJR九州等の企業名を出して「傾くマンション」という記事を出しており、更には新事実の手抜き工事と思える事案も判明していることから、世論が被害者側に傾くのは確実と思われ、企業倫理を問われることになるだろう。

平成7年にこのマンションが販売された際、購入者の背中を押したのは「JRブランド」だったことを忘れてはいけない。

現在JR九州が販売中のMJRシリーズも、JRのブランドだからこそ売れている。

JR九州には民営化以来、築き上げてきた企業イメージを損なうようなことはしてほしくない。

このようなことで同社の歴史に汚点を残すことなく、前述のように九州最大の交通インフラ企業として、威風堂々と九州の経済を牽引して頂きたい。(了)



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福岡市東区・傾斜マンション③

住民との直接協議に応じなくなったJR九州側

JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションは、平成28年、過去にドアを交換した5戸のうちの2戸が再びドアの開閉が困難になったことから、住民側が自主的に水平レベルの調査を行ったところ、最大高低差が98㎜あることが判明、さらに、住民側が専門家に依頼して杭の長さの調査を行い、杭が届いていないことも確認された。

このため住民側は原因究明を要請し、JR九州側が調査を行うことになった。

その結果、最大高低差104㎜の傾斜が確認されるも、同30年1月にJR九州側は住民側に「原因は分からない。今後調査は行わない」と回答、それ以降は直接住民側との協議の場を設けることはなくなった。

困った住民側は同年4月裁判所に調停を申し立てるも、双方の主張を述べただけで裁判所は和解案を示さないまま不成立に終わっている。(④へ続く)



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福岡市東区・傾斜マンション ②

時効の壁

JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションの基礎工事は平成6年、既に25年以上が経過しており、裁判で訴えても施工から20年という期間が過ぎており、時効が成立しているため責任は問えないという意見もある。

しかし、平成7年の入居当初よりドアの開閉がしにくいことから主要構造部の欠陥を問うてきた住民に対し、JR九州側はクラックの補修やドアの交換(5戸)等で対処はしたものの、同10年に「主要構造部には問題がない」という旨の確約書を住民側に提出した。

当時は引き渡しから3年、瑕疵担保責任を問うことができたはずだが、住民側はJR九州の名前がある確約書を受け取ったことで、法的措置を取るなどの手段を取らなかった。

今回の調査で、仮に杭が支持層に到達していないことが証明されれば、JR九州側がこれまで住民側にしてきた説明が、根底から崩れることになる。(③へ続く)



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福岡市東区・傾斜マンション①

杭長検査始まる

JR九州の青柳社長は25日、新型コロナウイルスの影響で3月の鉄道収入が50%減となったと発表、収束がいつになるか先の見えない状況だが、九州最大の交通インフラ企業として危機を乗り切り、威風堂々と九州の経済を牽引して頂きたい。

ところで、平成6年の新駅開業と同時期に、JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションの原因調査が令和2年3月1日から始まっている。

調査に当たっているのが、これまで2000件以上の欠陥住宅・マンションの原因調査・住民救済を手掛けてきた、㈱日本建築検査研究所(東京都)で、滋賀県大津市の欠陥マンション訴訟に大きく貢献した会社だ。

ちなみに、同裁判は10年にも亘り最高裁まで持ち込まれたが、今年3月、マンションを施工した南海辰村建設㈱に建て替え費用約27億円の支払いを命じる判決が出ている。

マンション傾斜の原因は、基礎となる杭が支持層(構造物を支えることができる地盤)に到達していないことが考えられ、最も沈下していると見られる箇所の杭(3本)の真横をボーリングし杭の長さを確認する予定だ。(②へ続く)



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JR九州販売のマンションに手抜き工事

平成7年にJR九州が販売した福岡市の分譲マンションで、竣工後23年経ってから内装に手抜きがあったことが判った。

同マンションの管理組合に住民から、「結露で壁が濡れる」「天井からしずくが垂れる」「壁や梁に大量のカビが発生している」等の苦情が多数寄せられていた。

そのため、管理組合は平成30年3月に調査を業者に依頼、竣工当時に設計会社が作成した仕上表を基に、3階・4階・6階の3世帯において、室内の石膏ボードを剥がし断熱材の有無及び厚みを測定する方法で調査を実施した。

調査の結果、各居室共に「外部に面する部分はウレタン吹付30mm」と設計会社が指示しているにもかかわらず、実際には10~17mmしかなかった。

更に、天井や梁部分ではコンクリート下地の上に直接クロス貼りとなっている箇所があることが確認された。

ウレタンは断熱材の一種、密閉性の高いマンションで、断熱剤が基準以下で断熱効果が不足していれば、多量の結露が発生しカビが発生するのは当然で、ましてやコンクリートにクロスの直貼りなど通常は考えられない。

直接的な因果関係は証明されていないものの原因不明の頭痛やじん麻疹などの健康被害に、長期間悩まされてきた住民も多い。

管理組合によると、JR側との直接の話し合いは中断しており、内装の手抜き工事について把握しているものの、ノーコメントを貫いたままという。

同マンションのポストには、JR九州が近所で販売する分譲マンションのチラシがよく投函されるという。

被害を受けている住民のひとりは、「無神経さに腹が立つ。人生最大の買物だったのに、傾く、ひびが入る、カビが生える、販売した後は知らんぷり。誠意のかけらもない会社だ。」と語った。



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初心を忘れたJR九州

JR九州が昭和62年に民営化してからは、鉄道事業に留まらず旅行業、FC、小売業、農業など幅広い分野に事業を展開していったが、平成31年3月期にはグループ全体で4404億円の収益のうち、建設業が917億円、不動産・ホテルが726億円を占めるようになり、今や九州トップクラスの不動産業者と言っても過言ではない。

2月4日に当サイトで報じた問題の分譲マンションは、民営化後のJR九州が初めて取り組んだマンション事業と言われ、事業に乗り出して間もない頃は、竣工後に起きたトラブルの対応に社員が真摯に向き合い、迅速かつ丁寧に対応することで、顧客から一定の評価を得ていた。

問題のあったマンションで、竣工から5年が経過した頃に5階の1室において、階上のルーフバルコニーから室内に雨漏りがした際も、防水処理工事と天井及び壁のクロス張り替えなど直ぐに対応してくれたという。

しかし、マンション開発でノウハウを得た後はMJRシリーズの販売を開始するなど、JRブランドをフルに活かして急成長したことは周知の通りだが、事業も20年経つと顧客への対応が粗雑になってきたようだ。

平成28年に同マンションの玄関ドアが開閉困難になった際、管理組合がこれまで通りJR九州に修理依頼をするも、当初は他会社に対応を押し付け、協議にすら出て来なかった。

その後、一旦は協議の窓口になることになったが、建物構造の調査の結果、水平レベルで最大高低差が104mmあることや、基礎杭が支持層に未到達の疑いがあることが判明してからは、再び他社に対応を押し付け、窓口ではなくなった旨を管理組合にメールで一方的に通告してきたという。

昨年6月に開催されたJR九州の定時株主総会において、この件についての対応を問われた際、執行部は「話を賜って対応する」、「今後の対応については倫理憲章に則り誠実に進めていく」と回答したものの、その後も自ら話を聞く場を設ける気配はない。

自身が販売したマンションに問題が生じているのに、住民と向き合うどころか逃げ回っているのは得策ではない。
むしろ、傷口を広げるだけだ。

マンション事業を始めた頃の初心に戻って、真摯に問題に向き合うことが肝要ではなかろうか。



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