他派閥5年、宏池会だけ3年のなぜ

岸田総理は唐突に宏池会解散を決定し、座長の林芳正官房長官は「すべては政治の信頼回復のため」ともっともらしいコメントを発信、「英断」として評価する論調があるが額面通り受け取る訳にはいかない。

宏池会は、1957年創設以降5人の総理大臣を輩出してきた名門派閥、優柔不断の代名詞である岸田総理が自分の代でその歴史に幕を下ろすことができるはずもなく、何か裏事情があると見て間違いないだろう。


首相官邸ホームページより

特捜部の捜査は、清和会(安倍派)と志帥会(二階派)については2018~2022年の「5年間」を対象とし、清和会は6億7503万円、志帥会は2億6460万円のパーティー収入等を派閥の政治資金収支報告書に不記載だったとして、虚偽記載の罪で両派の会計責任者を在宅起訴した。
一方、宏池会については、2018~2020年までの「3年間」で 3059万円の不記載で元会計責任者を略式起訴としている。

ここで疑問が。
なぜ宏池会だけ3年なのか。

2021~2022年については何ら問題がなかったかもしれない。
だが、逆に捜査の過程で、宏池会、或いは岸田総理自身の2年分の収支の中に重大な法令違反が見つかり、何らかの裏取引があった可能性も。
特捜部から流れる情報だけで世の中が動いており、想像に任せるしかないが。


さて、通常国会が始まった。
バイデン大統領がウクライナ支援の7.5兆円を日本に負担させようとしており、その予算を通すために一番反対しそうな安倍派を潰したと指摘する識者もいる。

内憂外患のこの時期、国会が「政治とカネ」の問題に終始して、真に議論すべきことを見失わないようにして頂きたい。

主流3派切り捨て、その先は?

昨秋「政治とカネ」の問題が出て以降の、岸田総理の行動や判断は理解に苦しむ。
総理になる際、安倍元総理の応援を貰っておきながら、凶弾に倒れた後は LGBT法を通したかと思うと、派閥の裏金問題が出るや否や、清和政策研究会(安倍派)の官房長官や閣僚、党役員を一斉に交代させた。

その後、歴代総理の慣例を破り就任後も宏池会会長に固執してきたが、方針を転換し、「総理・総裁の任にあるうちは派閥を離れるのが適切と考えた」とあっさり退任した。

安倍派と二階派の問題で終わるかと思ったら、先週宏池会の元会計責任者が立件される想定外の事態に。
すると今度は、派閥の領袖の麻生氏と茂木氏に相談もせず、いきなり宏池会を解散すると言い出す始末、先が見えてもうやけくそにになったか。
安倍派に続き、これまで政権を支えてきた麻生派・茂木派を切り捨てる覚悟の表れか、これで主流3派からの信頼は完全に失った。

岸田総理は現在派閥を離れているのに、なぜ宏池会の解散が言えるのか。
また、捜査が始まった段階で安倍派の閣僚らを更迭したのであれば、会計責任者が立件される宏池会の閣僚も全員更迭されるべきだ。
もちろん自分自身も。

思いつきの行動でハチャメチャに見えるが、派閥政治やしがらみからの脱却を目指した計算づくの行動だったら違う見方も。
総理にしかできないことがある。
財務省と決別して消費税減税、子ども教育費大学まで完全無償化、それくらいのことをやれば支持率が回復するかもしれない。



 

年内退陣で茂木総理誕生?

永田町界隈では「岸田は既に詰んでいる」として、年内か、遅くとも来年4月までに退陣という話が出ている。
問題は次の総理、麻生副総裁が推す茂木幹事長は「次はオレの番」と笑いをこらえ切れないご様子。
一方で 菅氏と二階氏は河野氏推しで 既に 水面下で綱引きが始まっているとか。

こうした中、自民党を揺るがす派閥の政治資金パーティーの収支をめぐる問題が浮上、安倍派と二階派が標的になっているが、この時期になぜという疑問がわく。
ポスト岸田選びにおいて、結束力に陰りはあるが 何と言っても最大派閥、安倍派の支持があってほぼ決まる。

今回立件も視野に特捜が動いているとの報道もあり安倍派の政治家は気が気でなかろうが、安倍派が ポスト岸田を茂木氏で同意すれば捜査は終わるという声もある。
無論 そうなれば誰が特捜を動かしているのかがはっきりするが。

ところで、2日には福岡市内のホテルで、高市早苗経済安全保障担当大臣の講演会が開催され、1000人以上が集まり人気の高さを印象づけた。
閣僚として 経済安全保障の話に終始したが、周囲からは次の総理を期待する声が聞かれた。

岩盤保守層の支持を取り戻すなら高市氏が 党の顔に相応しいが、仮に今回岸田総理が退陣して首班指名がある場合は 党員投票はなく、永田町だけで決まるので高市氏は分が悪いだろう。

年末に向けて 岸田総理退陣があるのか、茂木総理が誕生するのか、政局から目が離せなくなってきた。

安倍氏、3回目の登板?

かつては三角大福中、安竹宮と呼ばれた自民党のリーダーは、誰が総理になってもおかしくはないという印象はあった。

マスコミの世論調査では、次の総理候補として、河野太郎氏、石破茂氏、小泉進次郎氏、安倍晋三氏、岸田文雄氏、野田聖子氏、茂木敏充氏、西村康稔氏、加藤勝信氏、下村博文氏らの名前が上がるも、帯に短しタスキに長し、我が国を安心して任せられる人物が見当たらない。

対外的な日本の顔として、また国内をまとめられるリーダーとして、自民支持者には安部氏の再々登板を期待する声もある。
しかし、長期政権により 政治の私物化で霞が関は忖度集団となり、アベノミクスは失速し国民の格差は拡大、北方領土も拉致問題も成果を残せず、憲法改正も実現できなかった。
本人も3回目に意欲的と聞くがもういいだろう。