[2009年2月16日 10:29更新]
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(09年1月号掲載)
アメリカで初の黒人大統領が生まれた。白人でダメだったから黒人を選んだのではない。白人か黒人かはもはやどうでもよく、「誰が仕事が出来るのか」が重要になったと考えるべきだ。ブッシュ大統領のリップサービスにはもううんざりした、と言った方がいいかもしれない。
単純に、人々は変化を求めて「無能な白人政権」にNOを突き付けた。強い経済対策ができるのなら誰でもいい、という態度に近いと思う。既得権のある人たちも、新大統領でだめなら「黒人ではやっぱりだめだった」と次のチャンスを狙うだろうし、難局を乗り切れたならば、それはそれでいい-そんな政治的思惑が見え隠れする。
アメリカでは有名なジンクスだが、大統領選の時には株式が乱高下する。特に選挙前には下に振れ、新大統領が誕生した翌年には株価が回復するというものである。この年初、株価はやはりグーンと上がった。これは新しい大統領に対する楽観的な国民の期待からだろう。時には怖い存在となる過度の「楽観的期待」が、オバマ大統領を当分苦しめると思われる。
さて、アメリカ政府は今、環境関連事業とITインフラの公共工事に大量のお金を投入して300万人の雇用を増やそうとしている。こうした手法は1930年代、当時のルーズベルト大統領がフーバーダムを作るなどし、大量の失業者を雇い入れたこと(ニューディール政策)に始まる。
そのうち日本もアメリカを真似て「環境関連の事業に多くの資金を投じて雇用を創出する」などと言い出すはずだ─こう思っていたら案の定、政府が方針を固めたことが報じられていた。だがこれは他の各国首脳が同様の声明を発表しているからで、それらに追従しているだけの話である。
このような例を見るにつけ、日本の景気対策なんて「遅出しジャンケン」にすぎない─と痛切に感じる。世界各国がチョキを出したのを見て、ちょっと遅れてチョキを出しているのが日本の政策である。「風見鶏」の金融政策、景気対策ならば誰にだってできる。
同時に、アメリカ政府が税金を投入して景気が回復すれば、日本の企業も「よかったよかった」と安心して株価も上がる、輸出も増える─こんな、他力本願な本音が感じ取れる。
こうした状況では日本発の景気回復なんてありえないのだから、いっそのことアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)や大統領に日本の経済を見てもらえばいい。
アメリカの政治で1つ、日本と大きく違うのは、同じ政党でも議員が政策によって賛成したり反対したりすることだ。おかしな話に思われるだろうが、政策をめぐって同じ政党でなくても協力し合うのが普通なのである。
ところが、永田町で展開されているのは政党のための政治、つまり国民を無視した政党政治である。政治に自民党も民主党もないはずなのに。その上、役人に対する人事権を大臣が持ってないから、官僚の暴走を抑えられない。まさに「役人天国」だ。
いっそのこと、すべての失業者を安い給料でいいから公務員にするというのはどうだろう。公務員の中で既得権勢力と新興勢力が派を争い、いい結果が生まれるかもしれない。日比谷公園を全部、失業者のシェルターにして霞ヶ関にプレッシャーをかける、なんて案もいい。
現在の日本の経済状況を見ると、既得権を持った会社と新興企業、労働者と新規労働者の骨肉の争いばかりだ。元気な若者が経営する新しい会社が誕生する環境とは言い難い。新しい会社ができて新しい雇用が生まれる、それが一番のはずで、今さら財閥もないだろう。政府は新しい力を保護し、後押しするべきだと思うのだが。
とにかく、永田町にも霞ヶ関にも独創性がない。オリジナルの景気対策・失業対策も、本当の意味での民主主義も、当分期待出来そうにない。
「攻撃は最大の防御なり」。終身雇用の意識を捨て、老いも若きもどんどん国の外に出て武者修行し、いろんなことを世界基準で経験することが肝要だろう。
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