[2009年3月 4日 10:16更新]
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(09年2月号掲載)
先日就任したオバマ米新大統領の演説を、日本をはじめ世界中が関心を持って聴き入った。
私はかつてのケネディー、レーガン、クリントン各大統領の演説が大好きだった。今回のオバマ大統領の演説の特徴は、何といっても人種差別されている黒人の目線だ。差別という前近代的なものをぶち壊し、新しい価値観の創造を促すような語り口がいい。
ではオバマ大統領の演説はなぜそんなにいいのか?それは、歴史に名を残すであろうスピーチライター、ジョン・ファヴロー氏の存在なくしては語れない。
ファヴロー氏は27歳、オバマ大統領の演説原稿の作成責任者だ。彼は大統領演説についてこう語っている。
「演説には政治に興味を示す輪を広げていく力がある。過去に政治に対して失望し、冷ややかな目を持った人でも、適切で正しい、道徳的・良心的な理由さえあれば、良い方向に動かすことができる」
つまり、演説はそれだけ人々に与える影響が大きいことを、十分承知していたのである。
オバマ氏に欠かせないフレーズ「YES,WE CAN」もファヴロー氏の発案だ。彼がいなければ当選もなかったはず。オバマ氏には人を見る目があった。優秀な軍師を選ぶのも名将の証と言える。
まあ、もてはやされているオバマ演説も、実態はこういうこと。麻生さんだって必要ならスピーチライターを雇えばいいだけの話だ。
日本のリーダーもこれからは雄弁な方がいい。「沈黙は金」といった過去のことわざが今の日本国民に呪縛のごとく重くのしかかっている。「沈黙は無価値」「出る杭はもっと伸ばせ」。こうした新しい価値観が必要な時かもしれない。 仮にオバマ演説のエッセンスを日本の首相演説に当てはめてみると、こんな感じになるかな。
「私たちは日本を愛して止まない。今のみなさんの痛みはあくまで一過性であり、われわれが進むべき道を正しい方向へ修正する時に必然的に生じるものなのです。重要な変化には多大な痛みが伴います」
「わが政府は直面する困難をすべて解決出来るわけではない、みなさんの参加と協力がどうしても必要なのです。将来のわれわれの子どもたちのためにも、変化に起因する一時の痛みに耐えなければなりません」
「われわれ日本国民は、あらゆる少数民族も在日外国人も、財閥も中小企業も外国企業も、正社員も非正規社員も、失業者も労働者も経営者も、独身も既婚者も母子家庭も差別しません。私たちはみな平等、みな日本人なのです」
「そんな私たち日本国民は、過去に幾度も苦しい経験をし、それを乗り越えてきました。自民や民主といった政党の違いなど大した問題ではない。みんなで手を取り合ってこの困難を乗り切っていきましょう」・・
私にはそんな才能はないけれども、大衆の心理をつかむ上で演説は非常に重要だ。ファヴロー氏が言っているように、良い理由があれば、きっと人を良い方向に動かせる。
演説は、社会生活を営む人々の上に立つリーダーに課せられた、十字架だと思う。
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