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[記事カテゴリ:Mr.カウボーイの政経時事放談]
米GMに注がれる冷めた視線の理由

[2009年7月 2日 09:46更新]

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(09年6月号掲載)

米自動車大手のGM(ゼネラルモーターズ)が6月1日、連邦破産法11条を申請し国有化、AT&T社の元会長が新生GMの会長に選ばれた。

GM破綻の関連記事が連日マスコミをにぎわせたが、これを機にニューヨーク証券取引所の株価は戻った。すでに市場の1番の関心事ではなくなったな、という印象だ。 

 

それにしてもなぜこんなにアメリカ人は元気でマーケットの回復が早いのか。 

クライスラー、GMの相次ぐ破綻。日本で例えるとトヨタと日産が続けて倒産したようなもの。だが実際には、米国内でも意外と冷めた目で見られている。 

 

その理由はまず第1に、米国民自身がこの会社を再建することにあまり意義を感じていないこと。GM、クライスラー、フォード。いわゆるビッグ3、これらはもはや一般的なアメリカ人が最初に選択する車ではない。アメリカの街には日本、韓国、ドイツ車があふれ、アメリカ車は家庭から消えているのが現実である。

 

冷めた目の第2の理由は、ろくに仕事もしないのに高給取りであるUAW(全米自動車労働組合)の存在だ。多くの会社を麻痺させ食い物にしてきた、悪名高い連中である。 

需要を無視して小型車を作らなかった─これが巷でよく言われているGM破綻の原因だが、これまで小型車を作らなかったわけでは決してない。コンパクトな車は今やいくつもある。 

多くのアメリカ人が経済の浮き沈みに翻弄されながらも解雇に耐え、会社も利益を追求するために従業員と一体になって頑張ろうとしているのに、UAWの労働者は会社の経済的合理性を無視してぬくぬくと並外れた給料、年金、福利厚生をもらってきた。

そのおかげでGMなど自動車大手は高コスト体質となり、破綻の大きな要因となった。だから、米国民にとって彼らは守るべき対象ではない、というわけだ。 

とはいえGMは、アメリカで最大の自動車関連労働者を抱える労組がある企業だし、関連企業の裾野も広大だ。会社精算となると政治的リスク、失業者を抱えるリスクも生じる。だから政府が助けた。それには当然、UAWが牙を抜いて、経営者側に協力することが前提となる。 

 

新生GMは実は、米政府を除けばUAWが最大の株主である。政府が「控えめな株主でいる」と宣言し、UAWと米加両政府が取締役6人を新しく送り込む今回のGM再生は、正確には国有化とは言えないだろう。いずれはUAW自身が経営に乗り出すことがはっきりしているからだ。 

自らの巨額な給料や年金を捻出するために、新生GMの舵取りをしなければならない。何という皮肉。要するにオバマ大統領は、「君たちの給料、年金が高くてもいい。ただしその分は自分で稼ぎなさい」という仕組みを作ったのである。 

UAWはやがて会社で利益を生むのは容易ではないこと、自分たちが経営陣には逆らえないという矛盾に気付くだろう。仮に経営が上手くいかなくても政府とUAWの損失だけで済む。

UAWの敗北は近い。だから市場は先に進んでいるのだ─と、私は考えている。

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