[2010年3月 8日 09:41更新]
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(10年2月号掲載)
JALの再建が始まった。
京セラの創業者であり、MBA(アメリカの経営学修士)論者ではなく「和製経営論者」である稲盛和夫氏が自ら陣頭に立ち、日本的な経営再建を行う。私も含め多くの業界のプロフェッショナルが、未曾有の大規模企業再建に注目しているはずだ。
ただ、経営の神様と呼ばれる稲盛氏自身も高齢で、年齢に対し会社組織が巨大であることがやや懸念される。このような再建はプロでも心労を重ね、体力を消耗するものだから、彼にとっては命を削っての最後の大仕事になると思われる。
外部に公開されている今回の再建計画の骨子は、主に以下の8項目である。
(1)ジャンボ機37機を14年度までに全機退役させる
世界一収益力が強いと呼ばれる米サウスウエスト航空のビジネスモデルを模して、中型機に統一するつもりだろう。マレーシアのエアアジア航空も新規にこのモデルを真似ていて、日本の地方空港とマレーシア、タイを1万円均一で結ぶことを目指している。
全路線で機種が共通化されるため機長と機材の稼働率が上がり、人員削減と乗り継ぎを含めた生産性が向上、教育や整備関連費用の大幅なカットも狙える。
(2)約1万5700人の人員削減
(3)子会社を半減。海外27支店、国内4支店を閉鎖
(4)不採算の国際14路線、国内12路線から撤退
外部の競争原理を入れたコストカット、内外の航空会社との連携を前提にした赤字路線からの撤退。これらはいわば定石である。
その他にも、
(5)日本航空、日本航空インターナショナルなど3社が会社更生法適用申請し、債務と金利支払いをカット
(6)商取引債権以外で総額7300億円の債権放棄による債務と金利支払いカット
(7)現役社員と退職者の同意を得た年金改定で簿外年金債務と金利支払いカット
(8)100%減資で株主のコントロールと配当要求権のカット
─と、かなり「普通」なメニューが並んでいる。
本当に会社を再建するには「血液」の入れ替えが必要だろう。顧客サービスを唱えながら、心ある1従業員だけではどうにもならない例はJALだけではない。
公官庁と呼ばれる自治体、警察、自衛隊その他。半官半民と呼ばれている電気、ガス、水道、鉄道、航空といった、競争意識が少ない社会インフラ企業。さらには古くからあるオーナー中小企業に多く見られる。
日本における企業再建の多くは机上の空論になってしまって、最終的には事業を切り売りし、同業他社に引き継ぎをお願いしているのが現実である。資本主義社会ではとにかく再建に多くの時間を割かせてもらえない。
急ごうと思えば思うほど、現場レベルで自分を見せることで従業員を強力に引っ張り、反体制に立ち向かう気力・体力・不退転の決意などを備えた再建請負人、例えば日産自動車CEO、カルロス・ゴーン氏のような人材が必要だ。
だからこそ、現代のしらけた日本経済において、自ら命を掛けて再建を引き受けた勇気と男気に敬意を表し、稲盛氏のプランが上手く行くことを願っている。
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