[2010年7月27日 09:18更新]
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(10年6月号掲載)
8カ月という短命で、また総理大臣が辞任した(【編注】6月4日鳩山内閣総辞職)。政治的な見地ではなく、ただ単純に日本のリーダーとして頑張ってほしかったと言う意味で残念だ。国家を牽引する機能をもはや政府は持てないのではないかと危惧してしまう。
そんな中、政府から景気回復宣言が出される予定という。GDP(国内総生産)の上昇などから、中国への輸出関連を中心に大企業の経済活動が良くなっていることは、確かに感じられる。大企業が潤えば、国民の1割程度の労働人口と下請けをはじめとする中小企業も潤うことも事実だろう。
だがこうした数字だけでは例えば、加工製造業に携わる中小企業が、中国などの安い労働力に取って代わられてしまって、たとえ日本の輸出量が増えてもその恩恵を享受できていないといった現実など、到底見えて来るはずもない。本質的に日本の景気が回復しているなどと思っている国民は誰もいないだろう。
文句を言う中小企業なんかどんどん倒産してしまえばいい。政治的には大企業さえ潤って数字が上がってくれさえすればいい。「死人に口なし」。政府の本音はこうなのではないか─と勘繰りたくなる。
先進国とされる日本で、毎年3万人を超える自殺者が10年以上に渡って出続けているという数字こそ、経済の一側面を如実に物語るものであり、同時に「口がないはずの死人」による、現行の制度や政府のやり方に対する「無言の抗議」ではないだろうか。
若者の雇用問題についても同様である。現状、大手企業においてもある意味終身雇用は崩壊している。それだけに、すでに雇用されている側のエゴによる人材採用に対する閉塞状況と、これから職を得ようとしている若者や中途採用者を差別している縮図が鮮明になってきている。若い世代に「将来の夢は終身雇用」と言わせてしまう社会に、異常なものを感じてしまう。
このように、現実の社会では表裏一体の利害関係がある以上、政府が国民の総意を調整するなんてそう簡単にできるものではない。利害関係が多岐にわたり複雑で、もはや細かい案件ごとに何が一番良いかを考えることが不可能になっているからだ。
そうである以上、国家のためにどうするのがベストなのかは、1政党ではなく超党派で策を練るしかない。財源は、事業仕分け等による無駄な税金のカットによる緊縮財政、過去に潤った世代にばら撒いたお金を国債で吸収して賄うことでしか当面は考えにくい。
大企業だけではなくすべての企業レベルで雇用をもたらし所得を増加させる。公務員でなくても安心して働ける環境、つまり新卒でなくても就職できたり、起業サポートを受けられたり、1人1人が安心してチャレンジできるような社会保障インフラ環境。これらを実現・構築すれば、リスクを取る勇気と希望を促し、全体として創造性が豊かな国民、経済的にも裕福な日本人が多く生まれるはずだと考える。
国家という「企業」を運営するには、政治能力よりむしろ、相当な経営手腕が求められる時代になったと言えるかもしれない。
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