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多田建設の辞書に「信用」の文字はないのか

[2009年2月 9日 09:33更新]

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情報に携わって36年になるが、過去に法的手続きを3度申請した企業は「多田建設」(東京都)のほかに記憶がない。確か1回目の民事再生手続きは納入業者や下請け企業に多大な迷惑を掛けた結果、完成した物件の契約金額を全額回収して約400億円の現金を保有する優良企業に一変した。

それに目を付けた四国の土木会社がスポンサーとなって再建計画は順調に進められ、ボーナス時期には名目を変えて、社員には一時金が支払われたと聞いている。

折から訪れたマンションブームに便乗し、土地を購入した上で建築代金を立て替えるなど、弱小デベロッパーにとっては組みやすいゼネコンとして注目を集めた。向こうから仕事がやって来る恵まれた環境に、営業担当者自身が驚いていたほどである。

しかし「好事魔多し」の例えがある様に、スポンサーの土木会社自体が資金繰りに苦しむようになった。多田建設が保有する現金を見逃すはずはなく自社の資金繰りに流用し始め、怒った社員が団結して再度法的手続きの申請を行い業界で話題になった。

豊富な資金が災いして営業力は弱体化する一方。さらには経営者の甘い見通しと経営手法が仇となり資金は枯渇、とうとう昨年7月、3回目となる法的手続きの申請にいたった。

協力してきた取引業者もさすがにあきれ果て「仏の顔も3度」と次第に離れて行った。工事の続行が次第に困難となり、事業の縮小を余儀なくされる状況を迎えた。福岡市中央区にある九州支店でも希望退職者を募ったところ、不景気で再就職が厳しい状況にもかかわらず、半数以上の社員が応じたと言われている

残った社員は同社と運命をともにする覚悟で会社再建に懸命な努力をするだろうが、早くも支店の存続を危ぶむ声が関係者から聞かれている。

「信用」の文字は、同社の辞書にはないのだろうか。

(J)

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