[2009年5月19日 09:15更新]
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4月末に突然事業を停止し、福岡地裁へ自己破産の申請をした地元建材商社「泰平物産」(福岡市中央区)。同社の破綻は、当然のことながら周囲の取引先へ衝撃を与えた。
公共工事華やかりしころは、同社代表が「ミニ政商」として辣腕を振るっていた。自社に同調しないゼネコンや同業者には裏であらゆる団体を駆使して圧力をかけ、時の「氏神」として仲介役を買って出るなど、その営業手腕に周囲は翻弄されていた。
08年3月期決算では約53億円の年商を発表しておきながら、負債総額が19億円とあまりにも少なく、なぜ今回自己破産に至ったのか、多くの人が疑問を持っていた。東区で受注していた大型物件が、施主の破綻で工事を中断したとの理由も聞いたが、取材をしてみると決算書が複数ある事実が判明。売り上げが約20億円水増しされており、メイン行である福岡銀行も慌てた。
地銀の雄である福銀だけに、これで生じた6億円程度の不良債権で屋台骨が揺らぐこともない。決算までには時間もあり簡単に処理できるであろう金額だが、窓口担当者のあまりの能力のなさに、上層部は頭を抱えているという。
最近はコンピューター万能の時代からか、融資は「コンピューターが判断するもの」と錯覚している若い行員が多い。決算書などを金融検査マニュアルに準じて分析を行い、その結果が良ければ融資を行う、そんな安易な雰囲気がまん延しているようだ。このことは先日も当欄で指摘したが、今回の件もこれを裏付ける1例と言えそうである。
現場に足を運ぶことなく机上のキーを叩き、取引先に問い合わせるなどの労力を惜しむ。ゴルフやマージャン、酒などの遊びも仲間内の狭い範囲に終始し、限られた人脈しか持っていない-そんな、実に情けない銀行員が増えている。
こうした銀行員以上に頭が良く、実務に長けた経営者・経理マンが完璧に近い粉飾決算書を作成しさえすれば、銀行の融資など湯水のように湧き出てくる時代になった-とも言えるだろうが。
(J)
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