[2008年1月 9日 14:35更新]
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(07年12月号掲載)
昨年を象徴する一文字は「偽」と決まったことは、すでに多くの方がご存知と思う。白い恋人にミートホープ、比内地鶏。さらには老舗の赤福、船場吉兆。食品業界の不祥事、事件が相次いだ1年だった。
多くの消費者が驚き呆れた、「食」への信頼を揺るがす「裏切り行為」の発覚。だが、少なくとも筆者にとっては意外ではなかった。新聞などの報道を見ながら、10年以上前の、ある連載企画のことを思い出した。
1994年、勤めていたあるメディアでのこと。「何か、連載企画のネタはないか」。筆者は「九州で生産される農水産物が、全国の有名ブランド品として売られている。各地の実態を取材したら」と提案した。
記者として働き始めて数年。九州の食の豊かさにあらためて触れた。だが全国的にはほとんど認識されていないのが現実だった。生産物が九州外の有名ブランド品に化けるため「生産地としての九州」が浸透していないのが一因では、 と考えていた。
企画案は通り、各支局の記者が取材を始めた。鹿児島の茶葉、長崎県のソウメン、佐賀県の牛肉。だが、経済面用の原稿という扱いになったために「大ブランドに対抗する九州の新勢力」という点が強調され、別のブランド名で流通している実態が中心とはならなかった。配信された記事の評判は芳しくなく、掲載する新聞社はわずかだった。
「九州の人間はシャイやけん、自分から売り出すのは苦手なんよ」。こんな言葉をよく耳にしたが、実状は違う。「つまり、それで誰も困らないんですよ」。ある生産者から当時聞いた話だ。「有名ブランドの流通網に乗っかれば、生産側は販売努力とコストが不要。売る側も良質な品の確保に苦労することがない。消費者も特に問題にしていない」
生産・販売・消費者がみなハッピーなのに、なぜいけないの?これが本音。いずれ問題になる-漠然とそう感じた。そして02年、雪印食品の牛肉偽装事件が発覚。生産地を偽るなど珍しくもなく罪悪感も薄い業界である。「これだけではすむまい」と思った。今、その予感が現実化している。
しかし、どこまでが許せてどこから先が「悪」なのか、線引きを明確にするのは不可能だ。「北朝鮮産のアサリを韓国産と偽るなんて簡単。税関も見て見ぬふりだし」。ある輸入業者の言葉だ。今もこうした「産地偽装食品」が流通し、それらをすべて取り締まることはムリである以上、どの程度までなら許せるのかを考えるのが現実的だろう。
長い間、問題を放置してきたツケ。同時に、これまで問題意識が薄く、突っ込んで報道しなかったメディアの責任でもある。
最近は九州各地で生産品のブランド化が進み、東国原英夫・宮崎県知事をはじめ多くの関係者が売り込みにやっきだ。そうした宣伝やCMを見ながら「あの企画は早すぎたのか」との思いに駆られる。
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