[2008年2月28日 09:23更新]
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(08年2月号掲載)
外食をすると、出てきた食事をまずカメラに収めるという光景によく出くわす。小さなデジタルカメラ、あるいはカメラ機能付き携帯電話。特に女性が多い。ブログに掲載するのだろう。
ネット上には、「●●で食べた」と写真付きで食事を紹介する「グルメ系」などのブログがあふれている。こうしたネット文化は、ここ数年で急速に進歩・普及したデジカメが支えている。
(写真=多くの商品が並ぶ電器店のデジタルカメラコーナー)
筆者が記者を始めたころはどのマスコミにも暗室があった。フィルムを現像し、真っ白い印画紙に引き伸ばす。現像液にひたすと、セーフライトの赤い光の中、ゆっくりと画像が浮かび上がって来る。胸が躍る瞬間だった。
カメラ機材の進歩はあっという間だったように思う。報道現場で主流だったモノクロフィルムがカラーに代わり、さらにデジタルカメラが登場。現像などの過程が不要で、パソコンで処理できるから時間が短縮できる。1分1秒を争うこともある仕事だから、すべてがデジカメに取って代わるのも当然といえば当然だ。
このデジカメのおかげで多くの人が恩恵を受けている。すでに紹介した自主製作映画の企画が実現したのも、デジタルカメラが登場したから、と言える。「以前はフィルムを使っていたために現像や編集作業に莫大なお金と労力が掛かった。今はデジタルなので、劇的に製作費が安くなり、私たちでも自分で映画を撮れるんです」と、監督の柴田洋一さんは言う。
フォトスタジオでもデジカメが大活躍だ。撮ったその場でモニターで見られるので、修正点などあればすぐに対応できる。「今のデジカメはまだ画素数が少ないから、ポスター用の写真など大きなものには使えない。この業界に普及するのは当分先でしょうね」。こんなスタジオカメラマンの言葉を聞いたのはつい数年前だったのだが。
ところで、カメラと並ぶ、報道現場での技術革新といえば「パソコンによる原稿入力」だ。筆者は手書き原稿の最後の世代。今の若い記者は、多くが「原稿をペンで書いたことがない」という。「パソコンのおかげで記者の筆力が落ちた」。そんな先輩記者のグチを何度も聞いた。
以前は記者の手書き原稿を直接ペンで書き直したから、修正点がひと目でわかった。だがパソコンで処理された原稿は、修正された場所が見える形で残らない。「乱れた字を見て『こいつ、慌てて書いたな』と用心したり。今は誰が書いても同じ活字だからね。ヘタクソ原稿も立派に見えちゃうんだよなあ」
「デジカメのおかげでカメラマンの腕が落ちた」と嘆く先輩方も、おられるのかもしれない。
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