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南米・日系移民の「たくましさ」

[2008年10月 7日 10:00更新]

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(08年9月号掲載)

先日、日本ブラジル移住100周年を記念し現地で大規模なイベントが開催された。ブラジルだけでなく中南米各国は日本、特に九州・沖縄からの移民が多く、数年前に南米を旅した際、日系人と話をする機会が何度かあった。

ボリビア第2の都市サンタクルスで、ある日本食レストランに入った。ここにはコロニア・オキナワという沖縄移民の村があり、その店の経営者も沖縄出身だった。

海外では通常高級料理として扱われる日本食だが南米では比較的安く食べることができる。メニューは刺身やいなり寿司、カツ丼など。がらんとした店内にはザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」が流れていた。

客として来ていた日系移民2世の男性と一緒に酒を飲んだ。話題は自然と長崎から移住してきたという御両親の話に。「入植した当初の苦労話を何度も聞かされた。もちろん自分も昼夜を問わず働いたがね」。男性は笑いながら語った。

南米という土地柄がそうさせるのか、男性の表情や話しぶりは何とも大らかで、同じ日本人の血が流れているはずなのだが、自分とどこかが、何かが違うと感じながら話を聞いていた。

 

パラグアイやペルーでも何人かの日系人と話をしたが、やはり昔の苦労話を聞いた。場所によって程度の違いはあっても、当時日本政府が喧伝していた内容と現地の状況・待遇にかなりの差があったのはまちがいない。その最たる例がドミニカ移民だろう。

1950年代、日本政府はドミニカ共和国を「カリブ海の楽園」と称し「開墾済みの土地を無償で譲る」と移住を奨励した。だが実際には耕作不能の土地しかなく、多くの人々が生活に行き詰まった。移民やその家族らは00年、日本政府を相手取り訴訟を起こした。

移民政策の本質は「棄民」であった─こう断じてもいいだろう。夢と希望をエサに、余剰労働力を国から追い出した政府。だが、行政や政治家による同種の「詐欺行為」は、今もあちこちで行われている。

数字や情報を操作し、大義名分を取り繕って真の目的を隠す。与えられた権限を悪用し特定の業界などに便宜を図る。その犠牲となるのはいつも市民なのだが、多くは被害を受けているという自覚すらない。

南米で話した日系人らは日本政府に話が及ぶと一様に怒り・不満を口にした。その一方で、行政のウソなど何するものぞ、多くがガッチリと移住地に根を下ろしているという事実。日本でぬくぬくと生きている筆者が彼らに感じた違和感とは、こうした現実と闘ってきた「たくましさ」なのかもしれない。

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