[2008年10月23日 13:28更新]
| コメント(0) | トラックバック(0)
野球に興味がない人にとってはどうでもいいことかもしれない。だがアメリカの地で宙に舞った王貞治監督に歓喜し、北京五輪の結果に落胆した筆者にとっては、気が気ではない。「やっぱりな・・」。今月15日に都内で開かれた体制検討会議に関する報道を見て、暗澹たる思いに駆られていた。
来春に開催される第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。前回の優勝国である日本だが、監督の選出方法や基準が二転三転し、いまだに決まっていないというドタバタ劇が演じられている。
北京五輪前までは、日本代表を率いる星野仙一氏が引き続きWBCでも監督を務めるというのが規定路線だった。だが五輪がメダルなしという予想外の結果に終わったことから、星野監督の采配や監督選考のあり方に対し球界関係者やファンから批判・疑問が噴出。見直しを求める声が強まっていた。
プロ野球実行委員会は9月、監督人選を加藤良三コミッショナーに一任したが選考作業は難航。コミッショナーは今期限りで勇退した王・前ホークス監督を特別顧問に招き、楽天・野村克也監督やヤクルト・高田繁監督、そして星野氏らを含めたメンバーで今月、第1回検討会議を開催し、当初の予定から大きくずれ込んだ今月27日の第2回会議で代表監督を発表する、としていた。
筆者はこうした経緯を見ながら「結局、星野氏に落ち着くのではないか」と感じていた。会議では「監督人選については具体的な話が出なかった」と報じられたが、そんな状態にもかかわらず次回には代表を決めてしまうなど、出来レース=「まず結論ありき」の匂いがプンプン。「選考過程の透明性」など単なる建前だけ-そう考えるのが普通の感覚ではないか。
最大の要因は、五輪後も「星野君以上の人物はいない」と発言するなど一貫して同氏を推していた読売新聞グループ会長・渡辺恒雄氏の存在だろう。読売新WBCアジアラウンド(地域予選)の主催者。このため、渡辺氏が監督の選考基準について、勝敗よりも一般の関心を引くかどうかに重点を置いているのは、すでに多くの識者・ジャーナリストが指摘している。企業利益を優先する以上、「華がある」=知名度があり客を呼べる星野氏が最適、というわけだ。
そこには、五輪での結果を真摯に受け止め、敗因を分析して次に活かそうとか、WBCで結果を残すためにはどうすればよいかといった発想はまったくない。
五輪後、WBC監督の人選問題が出るたびに多くのファンが「星野案」に拒否反応を示した。それは単純に「星野監督では勝てないのではないか」という理由だけではなく、その裏にある「利益重視、ファン軽視」のニオイを、敏感に感じ取っているからではないだろうか。
ところがその後、一気に風向きが変わる。野村監督が「王が『現役監督は難しい。星野がやるのがいいのではないか』と言ってた」と会議の一部内容を報道陣に「ポロリ」(18日付スポーツ各紙)。具体的な話がほとんど出なかったはずの会議で、しかも王氏の口から星野氏の名が出されていたことが暴露されたのだ。
19日の「サンデーモーニング」(TBS系)では、張本勲氏が野村発言報道を踏まえ会議のあり方を厳しく批判した。「ワンちゃん(王氏)に傷が付きますよ」。WBC前監督である王氏の発言には影響力・説得力があり、もし星野氏が選出されるならば大きな後ろ盾となるだろう。一方、何かあった場合には責任が転嫁されたり、ファンの批判の矛先が王氏に向かう可能性もある。球界の宝・王氏をそんなふうに利用するのは間違っている-という趣旨だろう。筆者も同感である。
複数の球界関係者を交えて会議を開くことで外向きには透明性をアピールする。権威ある王氏の口から星野氏の名前を出すことで周囲の雑音を封じる。その上で星野氏に決めてしまえば批判を最小限に抑えられるし、「まず結論ありき」の実態をうやむやにできる-これが検討会議を設けたコミッショナーサイドの、真の狙いだったと考えていいだろう。
球界には渡辺氏の思惑に対する反発・不満が燻っているという。野村監督も、このままではなし崩し的に星野氏に決まってしまうとの危機感から、確信犯的に会議の内容を漏らすという「禁じ手」に出たと思われる(もちろん、野村氏自身が監督就任に意欲的-ということも、あるのかもしれない)。
さらに野村発言の直後、流れを決定付ける記事が報道された。それが、マリナーズ・イチロー選手の発言である。
(続く)
| コメント(0) | トラックバック(0)
■関連記事