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[記事カテゴリ:取材こぼれ話]
彼は「マスコミ嫌い」か? イチローとメディア

[2008年12月 5日 10:34更新]

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(08年11月号掲載) 

日本を代表する野球選手、イチロー(マリナーズ)。米メジャーリーグでの活躍ぶりは多くの人が知っているだろうが、一方で何となく「マスコミ嫌い」といった印象を持っている方も少なくないと思う。 

多くの日本人メジャー選手が勝っても負けても試合後の会見や取材にできるだけ応じている中、イチローがテレビニュースに登場する機会は少ない。また彼独特の言い回しも、好き嫌いが分かれる要因かもしれない。

イチローがまだオリックス在籍のころ、担当記者から「イチローの取材は難しい」という話を聞いた。元々マスコミ対応は悪くなかったのだが、ある時言ってもいないことを書かれたために関係が悪化、「コメント1つ取るのが大変」な状況になったという。おかげで「マスコミ嫌い」「気難しい」というイメージをファンに与える結果になってしまったようだ。 

その傾向はアメリカに行ってさらに強まった。日本にいたころとは比べものにならないほど注目され、毎試合結果が詳細に報じられる。だがイチローに直接取材しているのはごく一部の記者だけで、他のメディアはその記者からコメントを聞いて原稿を書いている-そんな話を耳にした。 

筆者がテレビなどで見た限りでは、自分の本音や考えをできるだけ正確に伝えようとしている、と感じていた。最近はいろんな取材先から「聞いて来いと言われたことをそのまま質問するバカな記者が増えた」との不満を聞く。こうした記者への要求が厳しく、結果的に関係が悪化したのではないか、とも思っていた。 

 

最近、ネットである文章を見付けた。長年彼を取材している、元共同通信記者の小西慶三氏(現在フリー)が書いたものである。

それによると、イチローの信条は「建前は嫌いです。心の通わないやりとりに意味はない」「最高のプレーをするためにできる限りの準備をする。だから、僕に質問する人にもそれなりの知識と準備を期待する」 

そんなイチローの対応を批判する記者ほど、「質問がある人だけ来て」と言われても会見の輪に加わらない。小西記者も「質問の意味がわかりません」「答える必要がない」とはねつけられることもしばしばあるのだが「だからこそ追いかける楽しさと価値がある」と感じているという。 

取材者として考えた場合、優等生的なコメントを繰り返す選手よりよっぽどイチローの方がおもしろい。WBC監督の人選に関する発言が大きく報じられるなどその動向が注目される中、こうした点を踏まえてイチローのニュースを見ると、いろいろと新しい発見があるかもしれない。

★小西慶三氏の著作「イチローの流儀」(新潮社)についてはこちら

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