[2009年2月12日 08:47更新]
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(09年1月号掲載)
福岡の民放各社の中でもRKB毎日放送(福岡市早良区、写真)は以前から「九州民放の雄」と呼ばれてきた。
よく知られているのがかつての名物ディレクター、木村栄文氏。1970年代から次々と質の高いドキュメンタリーを発表し、テレビの世界に多大な影響を及ぼした。
一般に、民放の報道部門は新聞社に比べて規模が小さい。また若いうちから営業など他部門との間を行ったり来たりすることもあり、記者教育の面でも条件は決して良いとは言えない。
だがTBS系列の民放には報道に力を入れている社が多く、個人的にも優秀な記者を知っている。特にRKBは自他ともに「報道のRKB」と認める存在で、10年以上前、筆者が福岡で記者生活を送っている時も、新聞各社と伍して仕事をする記者たちに敬意を払っていたものだ。
そんなRKBを根本から揺るがす事件が起きたのは06年4月。同社記者が暴行容疑で逮捕されたのだ(実刑が確定)。その悪質極まりない実態も含め、ニュースを聞いた時にはにわかには信じられなかった。個人による犯罪とはいえ、事件はジャーナリスト全体の質や倫理を問う結果となり、業界内では「RKBの報道は死んだ」と囁かれた。
本紙は07年から、二丈町教育長の恐喝未遂事件について取材している。その過程でRKB記者が、取材の内容について県警側に都合が良いように漏らした可能性が高い上、「報道の原則」を盾に法廷での証言を拒否したことを報じた。記者個人の質の低さのみならず、編集局の対応ぶりに、正直あきれた。報道のRKBはやはり死んでしまったのだろうか─実に寂しい思いに駆られた。
これに対して、福岡市で問題となり本紙も昨年から報じている市立こども病院の移転計画に関する報道は、RKBの名に恥じない内容だと思う。他社はほとんど市発表の情報を垂れ流すだけだがRKBはよく取材しており、担当者が問題意識を持って報じていることがニュースから伝わってくる。
先述の恐喝未遂事件と比べると、ニュースの質を左右するのは結局「会社の看板」ではなく、現場で取材する記者1人1人の意識や資質なのだとあらためて感じている。
記者クラブに所属している以上、人工島への移転を進める市側に都合が悪い内容を報じることに様々な障害や圧力があることは想像に難くない。こうした状況に抗いながら取材を続けるには、デスクら編集幹部のサポートも不可欠だ。
若い記者の思いをニュースに乗せて視聴者に伝える努力こそ「報道のRKB」復権への道だろう。
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