[2009年7月 8日 10:19更新]
| コメント(0) | トラックバック(0)
(09年6月号掲載)
記者として仕事を始めて以来、タクシーを利用した時にはできるだけ運転手に「最近の調子は?」と聞くことにしている。1日の売上はどうか、都心部の道路の混雑具合、週末の客足。運転手から得た情報や感触で地域の経済状況がかなり正確に把握できるからだ。
景気が悪くなると、企業はまず接待費や交通費などから削っていく。これは一般家庭でも同じだろう。だからタクシー運転手の収入には景気動向がもろに反映される。複数の運転手が「最近は人出も多く売上が伸びた」と言えば、少なくともそのエリアでは景気が上向いていると考えていい。
政府が発表する経済指標。「もう底を突いた」「これからは上向く」といった見通しを「本当かよ」と思いながらを聞いている方も多いと思う。筆者もそうである。政府のいい加減な情報よりタクシー運転手の言葉の方がよっぽど信頼できる。
今月初め、福岡市天神からタクシーに乗った。「全然ダメです、悪くなるばっかり」。そう話す運転手の声は半ばあきらめているのか、むしろ明るかった。「昨日も同僚が言ってたんですが、朝7時から夕方まで走らせて売上が5千円ちょっと。手取りが3千円じゃあ、飯を食ってお茶でも飲んだら後は何も残らんですよ」
これはかなりやばい数字だな、と思う。法人タクシーの運転手は交代制だから時間帯によって差が出るものだが、それでも昼間の売上が1万円をはるかに下回るのは危機的と言える。実際に大名地区などでは空き店舗が増え、平日は人通りもずいぶん減った。
「元気都市」と呼ばれて久しい福岡だが、都心部を走らせるタクシーでさえこうなのだ、郊外や地方都市の状況は容易に想像できる。
6月7日の日曜日、JR博多駅前の広場。脇には客待ちのタクシーが並ぶ。自民党の遊説カー。地元県議や代議士が演説をした(写真)。
ある有名国会議員が北朝鮮問題や景気対策について話していたその時、止まったままなかなか動かないタクシーの列から怒気を含んだ罵声が飛んだ。
「ウソつけウソを」「俺らの給料、いくらか知っとおとか。7万ぞ、7万」。運転手らが窓を開けて叫んでいた。
自分たちが置かれた切実な状況、国に対するいらだちがこんな言葉となり、思わず口を突いて出たのだろう。
この演説の際、ある県議が「政権与党である以上、批判は甘んじて受ける」と語っていた。のであれば、こうした市民の声も地方議員、そして国会議員の先生方に真剣に受け止めてほしいものであるが。
| コメント(0) | トラックバック(0)
■関連記事