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松葉杖先生のしゃあしか雑記帳
危機意識と危機管理能力

[2011年5月10日 10:59更新]

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(11年4月号掲載)

大変な災害を眼前にすることとなった。東日本大震災。昨日、東北地方に住む障がいを持つ仲間から、行動障害の子どもさんがいた避難者の方が周囲の理解を得られず、仕方なく半壊した自宅に戻った─とのメールが届く。障がい者や高齢者にとって避難所暮らしは厳しい現実そのもの、悲痛である。 

未曾有と言っていい規模の地震・津波によって多くの死者や負傷者が出ているが、そんな中でも被害危険をどう想定し準備していたか、つまりは危機管理能力や意識の程度によって、被害の程度にも差が生じているようだ。

昔の教訓を活かして裏山までリヤカー道路を作り、日頃から避難訓練を実施していたある地域では、この「まとめ乗せ」で住民を運んだために人的な被害が出なかったという。

テレビではある研究者がさっそく「街中に6階建て位の避難ビルを作り、逃げ込んでもらう」と提案していたが、これでは安易すぎると指摘せざるをえない。

障がい者・高齢者も含めた避難用ビルであれば停電を想定してモーターに頼らない方式(つるべ式など)、できればリヤカーごと一気に昇降させられるような装置開発も含めて考えなければなるまい。停電すればエレベーターが使えず、高層マンションなどではよほど頑強な人以外は帰宅・外出困難者となる。弱者の側の視点で事態を想定することが不可欠なのである。 

 

さて今回、震災に絡んでわが国の原子力事業史上最悪の、放射線漏れを伴う事故が起きてしまった。ここで明確にしておかねばならないのは関係者の、自然界には存在しないはずの核分裂によって放射能が飛び出ているという現実認識、そして原子力の「絶対危険度」─暴走したら止め難い─に対する想定の甘さが、目に余る点である。 

外部電源と非常用電源を同時に失う「想定外」の事態で冷却が出来ず、放水にも手間取って水蒸気爆発を招いた後、海水冷却を実施。漏れ出る高・低レベル放射能汚染水のやり場に困る状況となったわけだが、ど素人の私でも三陸地方は高津波の常襲地帯であることを知っている。江戸時代には20~30m強の高さの津波が来たとの記録もある。 

そんな場所で非常用電源を地下室に置いていたというから実にお粗末。非常用電源群を近くの山上などに置いてミニ発電所的な機能を整備し、中央制御室・原子力発電所建屋側に多くのコネクターを用意。外部電源ダウン時には、間髪入れず生きている回線につなぐ─これ位は専門家ならすぐに考えつくレベルだと思うが。なぜこんなことが見逃されていたのだろうか。 

テレビの報道では「津波が想定以上だったから仕方がない」「原子炉は丈夫だから心配ない」「この放射線レベルであれば基準値以下で安全」と口裏を合わせたような安全メッセージニュースばかりが目立つ。海の汚染を心配する声に対しては「希釈されるので安全」「基準値以下」との解説がやはり繰り返されているが・・。 

最後になったが、被災者の皆さんが1日も早く平常の生活を取り戻すことを願うとともに、亡くなられた方々の御冥福を祈りたい。

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