民主県連 代表交代劇の内幕(2)「辣腕」元幹事長 復権 [2011年1月13日14:03更新]

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(10年12月号掲載)

民主党県連大会で挨拶する新県連代表の野田国義氏(10年11月27日)関係者の証言を総合すると、常幹の冒頭、ある国会議員から福岡市長選に関して古賀一成氏の責任を問う動議が出され、多くの出席者がこれに賛同。辞任を迫られた古賀氏はこれを受け入れざるをえなかったという。 

その上で後任を誰にするか話し合いが持たれた。古賀氏と近いとされる2人の国会議員から楠田大蔵衆院議員の名が挙がったが、その他は野田国義氏を支持。

事前に周到な根回しが行われていた模様で、問題なく同氏が選ばれたという。 



「現執行部では選挙を戦えない」「古賀氏は何も考えてない」。1年前の発足直後からこうした声が燻っていた古賀体制は、あっさり崩壊した。

「一時は知事選への出馬に意欲を見せた古賀氏だが事実上、代表を更迭されたことで、政治生命そのものが危うい状況だ。本人は自覚してないみたいだけどね」(前出民主関係者)。

 待望論の末にS県議復権  

今回の執行部刷新で注目されたのは、前回の福岡・北九州両市長選や統一地方選で勝利・躍進の立役者となった辣腕、S県議の処遇だ。

昨年、松本龍代表(当時)の辞任に伴う形で幹事長を辞任したS県議。だがその後の各種選挙でなかなか結果が出なかったことから、県連内部では「S県議待望論」が囁かれていた。 

新執行部でS県議は、3人体制となった県連代表代行に就任、党務を担当することに。また幹事長には「盟友」である吉村敏男県議が留任した。

「これでS県議は完全に復権したと見ていいでしょうね」。あるマスコミ記者はこう分析する。

「他党との駆け引きや調整役が求められるS県議にとっては、幹事長や選対委員長といった目立つポストに就くよりも、むしろ良かったかもしれない」

 

民主県連はすでに来春の統一地方選へ向け次々と予定候補者を発表。また知事選では他党推薦候補との相乗りはしないことを決め、独自候補の擁立へ向け選考を重ねている。

ただ現状では4年前のような「風」はとうてい望めず、苦戦は必至の情勢。特に知事選に関しては、福岡市長選での惨敗が大きく影を落とす。

「候補はすでに絞り込まれているが、国政での低迷が続く中で首長選に勝利することは並大抵ではない。もっと良いタマ、良い策はないかと、頭を悩ませている」(同県連執行部関係者)。

厳しい状況の中、野田新代表の手綱さばき、そしてS県議の動向が注目される。