北九州市の「逆線引き」が事実上撤回されることになった。 これまでの経過については弊社記事 「スジ悪の逆線引き ~北九州市都市計画~」をご一読頂きたいが、予想した通りの 「落としどころ」に収まった。 北九州市は、逆線引きの都市計画決定を令和5年度に公告するとしている。 しかし、市民から反対の声が大きくなる中、国交省の確固たる後ろ盾も 憲法問題をクリアする保証もないことが 判ってきた。 こうした状況で、市が 逆線引きを強行する賭けに出るだろうか。 行政が一度打ち出した政策を中止もしくは修正することは なかなかできないが、本件に関しては 早急に「落としどころ」を見つける必要が出て来るだろう。 問題は、財産価値への影響が出ている現状をどうするかだ。
当初計画では下図の通りだったが、八幡東区について 当初予定面積 約292haから 70%を除外し、建物棟数 約5400棟のうち 5%にとどめるとしている。
他の6区についても同様に 大幅に縮小する予定という。
都市計画マスタープランに則って進めてきた目玉政策の転換は異例、北橋市長・今永副市長にとっては苦渋の決断だったろう。
以下、参考までに、弊社の過去記事(昨年12月10日付)の一部を 再掲する。
騒動の落としどころ
「逆線引きは現実的ではない」というのが 国の本音、北九州市の 3万5200人を対象とした壮大な実験を遠くで眺めているだけ、責任を負うつもりはない。
対象者の中から 裁判に訴える市民は少なくないはずで、裁判で負ける可能性が1%でもあるなら 強行は難しいと思われる。
最終的には、「車が上がる道路がない家」、「土砂災害のレッドゾーン」、「空き家が多数」など条件を厳しくして、地域の全世帯の了解が得られる場所に絞り、世帯数一桁でも「市が逆線引きをやりました」という実績を作って良しとするしかないのでは。
市には早めに方針転換を打ち出し、影響を最小限にとどめる努力が求められるが、北橋市長と今永副市長の決断に注目したい。