こども病院移転問題の本質とは(2)銀行団とPFI事業者の食い物に [2010年1月20日10:01更新]

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(09年12月号掲載)

福岡市立こども病院(中央区唐人町)次に、こども病院(写真)と市立病院の独法化。目的について市は「行政から運営を切り離し、施設や職員数を充実させてより良いサービスを提供するため」などと説明しているが、本音は違うだろう。  

土地の購入費や施設建設費などは市が起債して支払うのだが、それらはすべて新病院が市に返していく。

また最新医療機器などの費用も新病院負担。つまり最初から多額の借金を抱えてスタートする上、設備を充実させればさせるほど新病院の負担が増える(08年12月号で既報)。 



こうした前提がある以上、移転先を考える際に重要となるのは、いかに多くの患者に来てもらえるか-要するに、利便性と収益性を第1に考えるべきなのは明らかである。だが人工島移転案ではこの点を犠牲にせざるをえない。

先述の通り、事業の収支見通しの根拠はいい加減な数字ばかり。想定通りに収益が上がる可能性は極めて低い。もし新病院の経営が破綻した場合、市の責任が追及されるのは確実だ。 

 

08年夏に開かれた市民への説明会で市は「責任を持って素晴らしい病院にする」などと明言。ところが土地購入のための議案が議会を通過するとまもなく「新病院経営は独法の責任でやっていただく」「破綻した場合は民間委譲もありえる」とあっさり前言を翻した。

経済界を巻き込む  

最後に、現在進行中のPFI事業。新病院運営について民間資金を導入する手法のことで、市は施設建設など計8業務について民間から事業者を募る。導入の目的について市は「経費を削減した上で民間の質の高いサービスを提供出来る」としてきた。

だがこのほど、PFIする業務を縮小。このため経費削減効果も大幅に低減した。  

公共工事が減少する中、事業への関心は高く、11月の説明会には39社が参加。ところがすでに事業者は決まっているとして地元有名企業K社の名前が囁かれている。

また保守系議員からの反発があった際も、事業参加をエサに封じ込めた(09年11月号で既報)。 

 

以上で述べた点を踏まえ、3施策の裏にある市当局の思惑・本音について、まとめてみよう。

(1)人工島建設事業へ融資した銀行団のため、病院移転名目で福岡市が同島の土地を一定面積購入する。このことは一度決めた以上、絶対に変更できない

(2)そうすると利便性を犠牲にせざるをえず、新病院は経営破綻する可能性が高い。その際の責任を新病院に押し付けるため独法化する

(3)PFIで病院業務の一部を民間に「分け与える」ことで経済界を味方に付ける。また一部の議員らの反対も抑え込める

これが本紙の考える移転事業、各施策の思惑である。 

 

移転に反対する患者家族らが12月議会の会期に合わせ、福岡市天神地区で署名活動を行った。ある患者家族は「事業を止めるのは難しいかもしれないが、声を上げ続けるしかない」と話している。