地域に助け合いの輪を広げる NPO「地域福祉を支える会そよかぜ」 [2010年3月19日08:58更新]

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(10年2月号掲載)

博多区銀天町商店街の「そよかぜ」本部福岡市博多区銀天町、西鉄大牟田線雑餉隈駅のそばに広がる「銀天町商店街」に、「そよかぜ倶楽部」の看板がかかった一角がある。

11年前、「地域に助け合いの輪を広げることはできないか」という数人の中高年の語らいから出発し、現在では訪問介護センターやデイサービスセンター、小規模多機能型ホームなど幅広い介護事業と家事援助や移送、小修理などの助け合い活動、ヘルパー2級養成講座などの研修事業、生きがい・仲間づくりのたまり場運営などを行うNPO法人「地域福祉を支える会 そよかぜ」の本拠地である。 



同会では、この5月に2つめの小規模多機能型ホームがオープン予定。さらに、特別養護老人ホームの建設にもとりかかっていて、来年春の開設を予定している。地域のNPO法人がこのように幅広い事業を展開している例は、全国でもあまりないのではなかろうか。 

 

「地域を見回したら、昔からの文化や伝統が失われ、地域のよりどころだった商店街も櫛の歯が抜けるように空き店舗が増えている。お年寄りが暮らしにくくなって、生活の質は落ちるばかり。行政も手が回らない。

ここは地域で助け合う以外にないのじゃないか、というつぶやきみたいなものが発端でしたね」

こう話すのは、理事長の濱崎和久さん(72)である。 

1998年のこと。当時、濱崎さんは福岡市会議員5期目。それまで文教関係の第1委員会一筋だったのが、初めて福祉を扱う第2委員会に所属して福祉問題の奥深さに触れたところだった。「自分もそろそろ還暦。ここらで議員を辞めて地域福祉に汗をかいてみるか、と思いましてね」 

そこで、その年の12月、後援会の人々や地域に呼びかけて「地域福祉を支える会 そよかぜ」を設立して、ボランティアで助け合い活動を開始。

翌99年、福岡県第1号グループとしてNPO法人の認証を受け、同年12月にホームヘルパー2級養成講座を始め、介護保険がスタートした2000年に居宅介護支援事業「介護支援サービスそよかぜ」、訪問介護事業「訪問介護センターそよかぜ」、翌01年に通所介護事業「そよかぜ国分の里」開設など次々に介護事業を展開していった。 

「当初から介護保険のことはちらちらと頭にあったんです。事業基盤となる財政的裏付けがなければ、ボランティアの助け合いだけでは長続きしない。そこで介護事業に名乗りを上げたんですが、地域のNPOが本当にできるのかと市の担当者にはびっくりされましたね」 

助け合い活動では、02年に有償ボランティア活動「そよかぜサポート」を始めている。家事援助や送り迎え、小修理などのサポートをしたら、1時間につき地域通貨の「そよかぜ切符」15点を、助けてもらった人から受け取る仕組みだ。「そよかぜ切符」は現金化もできるが、将来、自分が助けられる立場になれば、それでサポートを受けられる。 

「各校区に同じようなサポートセンターができて、市内で引っ越しをしても、同じようなサポートを受けられるようになったら、福岡市もどんなにか温かい街になることでしょうね」。濱崎さんはそんな未来像も描いている。

【問い合わせ先】 電話092-501-4656