「GOEN」主催口蹄疫チャリティセミナーより クロフネカンパニー社長 中村文昭氏(10年7月号掲載) 引きこもりさんは体は元気なのに頭だけ元気を失っていて、考えようによっては隠れた財産ですわ。一方、日本では農業がないがしろにされていて約270万人いる農家の方の7割が高齢者。このままでは将来、日本の農業がつぶれてしまう。それで引きこもりさんに目を付けたんです。 社会の問題児が農業問題を解決したら、一気に2つの問題が片付く(笑)。そうなったらどうです、世の中楽しいと思いませんか? 元々どうしようもないアホで、学校からは「もう来んでくれ」と自主退学の用紙が机に置いてあるような生徒やったんです。 勉強が嫌いで夢も希望もない。高校を卒業してただ何となく東京へ出て行った。たまたま入った焼鳥屋で隣り合わせた人に拾われて、それで今の自分があるんです。 その人、私の「師匠」は一時期は事業に成功したんですが足元をすくわれて倒産し、再起を目指して軽トラックで野菜の行商をしていた。 師匠はこう言いました。「人に物を頼まれるということは試されてるということなんや」。この一言で人生がガラリと変わった。雷に撃たれたように心を動かされ、この人に付いて行こうと決めたんです。 頼まれることは世の中から役割を与えられるということ。ならば、相手の予測を上回る速さ、量でその期待に応える。そうすると人は喜び、人と人とがつながってそれが縁になる。縁が人の思いを集めて、それが次への原動力になる。 中村さんは行商を手伝いながら六本木のショットバーを手始めに周辺に飲食店5店舗を展開。21歳で独立して三重県に戻り、現在は伊勢市で結婚式ができるレストランを経営する 元々、私はブライダル関係の仕事がしたいと思っていたわけでも何でもない。師匠が言いました。「お前みたいなんが今さら夢を見付けようとしてもムリや。どうやったら目の前の人に喜んでもらえるかを考えろ」。その結果が今。それだけのことなんです。 夢や目標がある人はそこから逆算して「そのために何をするべきか」を考え実行していく、いわば引き算の人生ですよね。私は足し算の人生。まず今できることをやる。それが積み重なって今がある。 夢を持とう、目標を持とうと人は言います。もちろん大切なことですが、でも世の中の大半の人が夢を持てないのが現実。それがダメなんかというと、そうやないと思うんです。 夢や目標があってもそれに向かって努力、行動している人がどれだけいます? 「そうは言っても・・」「そのうちに・・」。それじゃあ夢を単なるファッションにしているだけですよ。 大事なのは今、自分が動くこと。「そのうち」は永遠に来ないんです。 何のために仕事をしているのか。こう聞かれればほとんどの人が「食っていくため、食わせていくため」と答えるでしょう。自分も最初はそうでした。だけど師匠は言いました。 「大事なんはな、お金の入口やない、出口なんや」 ビジネスではお金をどれだけ儲けたかが成功、評価の基準になっています。それで、成功者のほとんどは豪邸に住み高級車を乗り回して。自分が喜ぶためだけに使ってる。スケール小さいなーって(笑)。儲けたお金の半分、3分の1でも世の中のために使えば、その家の子どもが親のことを誇りに思うやろうに、と。 ちなみに私は築29年の借家住まい、移動の手段はもっぱらチャリンコですわ(笑)。 事業家として大切なのはいくら儲けたかではなく、いかに世の中に役立つか、そのためにどうお金を使うかではないか。贅沢なんかどうでもいい、みんなの笑顔が、元気が嬉しい。それが人間の魅力、人間力なんやと思いますね。 売上の帳面見ながらため息ついて、政治が、世の中が…と周りや他人のせいにしても暗くなるばっかりでしょ?そういう時こそ、人のために動こうと考える。 弁当を作る時のことを想像してみて下さい。愛する人や家族に作る時は彩りや栄養を考えたり、ハート形を作ってみたり。自分の弁当は「こんなもんでええか」(笑)。そうでしょ?人のため、愛する人のためなら元気が、エネルギーが沸く。 坂本龍馬が大好きなんです。彼も人の思いを集めて、維新の原動力にした。彼に習って何十年も先のこと、大勢の人のことを考えないかんなあと思います。今の事業なんて止めてもいい、今何ができるか、次は何をしようか、そんなことばっかり考えているんです。 【中村 文昭】 <なかむら・ふみあき> ★本紙が再構成しています
問題と問題とを掛け合わせてワクワクするのが大好きでして。今は引きこもりさんと一緒に北海道で農業をやってるんです。
1969年、三重県大台町生(40歳) 同県伊勢市在住
レストランウエディング「(有)クロフネカンパニー」代表取締役
年間約300回の講演をこなす
著書に「お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!」(サンマーク出版)など
【お耳拝借!】出会いを生かせば道は開ける [2010年8月30日09:35更新]
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頼まれごとは 「試されごと」
まずは自らが動く
大切なのは「お金の出口」
坂本龍馬を見習って