市議補選で問う「議会正常化」と、市民に公開すべき10項目
田川市はいま、市長選と市議補選を同時に迎える。市長選に関心が集まるのは当然である。だが、市長がどれほど優れた政策を持っていても、議会が政争に明け暮れ、調査や議決の基準が不透明であれば、市政は前に進まない。
市長と議会は車の両輪である。
一方が壊れれば、もう一方だけを新しくしても、田川市政は正常には動かない。
田川市議会に欠けているのは「賛否」ではなく説明
議会には、市長に賛成する議員も反対する議員も必要である。全員が市長に賛成する議会は監視機能を失う。すべてに反対する議会も、市民生活を止める。
大切なのは、賛否そのものではない。
- なぜ賛成したのか。
- なぜ反対したのか。
- 何を調べ、どの資料を根拠に判断したのか。
- その判断が後に誤っていた可能性が生じた時、どう総括したのか。
それを市民が確認できることだ。
福岡市議会では、議案ごとの会派別、無所属議員別の賛否状況をウェブ上で公表している。議決行動を見えるようにすることは、特別に過激な制度ではない。
田川市議会も通常の公開採決では議員別の賛否を掲載している。だからこそ、市長不信任や政治倫理に関わる最重要案件だけが無記名となる現状には、再検討の余地がある。
誰が市長でも公開すべき10項目
今回の市政混乱を繰り返さないため、市長と議会には、少なくとも次の10項目の制度化が必要だ。- 市長交際費と議長交際費
支出先、目的、金額を原則公開する。 - 市長、副市長、議長の出張記録
日程、目的、同行者、公費、成果を公開する。 - 市長と議員の外部面会記録
企業、他自治体、政治関係者との面会日時と目的を公開する。 - 重要議案の議員別賛否
市長不信任、政治倫理、100条委員会設置などは、原則記名とする。 - 白票・棄権の理由
重大議案で意思を示さなかった場合は、各議員が理由を説明する。 - 100条委員会設置の判断基準
証拠、公益性、緊急性、費用など、調査権を使う共通基準を作る。 - 新庁舎など大型事業の費用と工程
契約、変更理由、進捗、将来負担を継続的に公開する。 - ふるさと納税の寄附額・経費率・純財源
集めた金額だけでなく、市に実際に残った額を示す。 - 教育・福祉・企業連携の成果指標
協定締結や事業実施ではなく、市民にどの成果が返ったかを公表する。 - 市長と議会による定例説明
成功だけでなく、遅延、失敗、見直しも市民に説明する。
田川市議会は2025年11月、約60人が参加する議会報告会を開いている。市民と意見交換する場を作る力は、すでに持っている。必要なのは、通常の活動報告にとどまらず、今回の市政混乱について議会自身が検証結果を示すことである。
市議補選候補者に聞くべき7問
市議補選は、単なる欠員補充ではない。今回の混乱を踏まえ、議会の正常化に寄与できる人物を選ぶ選挙である。
候補者には、次の7点を同じ条件で問うべきだ。
- 二度の市長不信任案否決をどう評価するか。
- 市長不信任や政治倫理案件の無記名投票に賛成か。
- 村上市長の公務調査案否決をどう評価するか。
- 市長・副市長・議員を対象とするハラスメント防止条例に賛成か。
- 全議案の賛否と理由を実名で公開することに賛成か。
- 今回の市政混乱について、議会独自の検証報告書を作るべきか。
- 過去市政と現市政を、同じ基準で検証すると約束できるか。
この回答を一覧で掲載すれば、市民は、候補者がどの陣営に近いかではなく、議会改革に何を考えているのかで選べる。
「村上派」を探すより、政治行動を見る
今回の検証で重要なのは、「誰が村上派か」という名札を貼ることではない。名札は変えられる。会派も組み替わる。選挙時の立場も変わる。
だが、議会での発言、提出議案、採決行動は公文書として残る。
市民が見るべきなのは、議員が誰と親しいかではない。
- 重要な場面で、どのような判断をしたのか。
- その判断を、現在も自分の言葉で説明できるのか。
- 判断が結果として適切でなかった可能性がある時、自ら検証できるのか。
それこそが、議員の品格である。
市民ファーストの議会とは、市長を守る議会でも、市長を倒す議会でもない。
事実を調べ、同じ物差しで判断し、賛否を公開し、自らの選択に責任を負う議会である。
市長を替えるだけで、田川市政は変わるのか。
その答えは、市長選だけでなく、市議補選と、現職議員一人ひとりの今後の行動によって決まる。
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