九電に押し出される みやまSE

「財源確保」を目的として、地域新電力会社設立を目指している宮崎県延岡市の読谷山洋司市長が、九州電力が構想を妨害したとして抗議文を送っている。
内容は、3月議会の予算案提出前になって、九電職員が市議らに対し「新電力の拠出金負担は多額で赤字になる」と説明して回り、且つその根拠となる試算に、九電グループ会社を通じて違法に取得したデータを使用したというものだ。
九電は事実と異なると反論しているが、延岡市議会では3月24日、新年度予算から新電力への出資金6000万円を含む関連予算を減額する修正案が可決、市長は積み上げてきた構想の仕切り直しを迫られる結果となった。

確かに、自治体新電力を取り巻く環境が悪化している。
折しも、今冬の日本卸電力取引所におけるスポット市場価格が、これまで年間平均価格 11.8円/kWhであったところ、12月後半から高騰し、一時は10倍以上となる150円/kWhを超える水準になり、新電力経営基盤の危うさが露呈したばかり。
独立系新電力最大手 ㈱ F-Power(東京都)は3月24日、東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請、負債総額が約464億円と見られている。
また、自治体新電力では、秋田県鹿角市の第三セクター「㈱かづのパワー」が一時休業を余儀なくされた。

福岡県においても、みやま市が 95%出資する第三セクター「みやまスマートエネルギー㈱(みやまSE)」は、電力スポット市場の高騰の影響で、2月末時点で約2億円の営業赤字が出ており、4期ぶりに赤字になることが確実となった。
それでなくとも大口高圧の顧客離れが加速しているという。
その背景には、九電が平成31年4月に送配電部門を分社後、単価を落として営業に回っていることもある様だ。

みやまSEは 昨年5月、市役所の元部長が社長に就任して経営方針の変更をしたばかり、赤字経営となると第三セクターの存在意義を問われることになる。
今後更なる九電とのシェア獲得競争が予想される中、新電力経営に素人である社長の舵取りに 注目が集まっている。