福岡市営地下鉄七隈線 博多駅延伸事業 ~ さらには環状線化構想!?

昨年11月に発生し、世界中で話題を集めた、いわゆる「博多陥没」により、地下鉄七隈線博多駅延伸工事はストップしたままで、今年6月から9月まで地質調査を行ない、今月4日に技術専門委員会が開かれたようだが、工事がいつから再開され、当初の平成32年度開通予定がいつ頃になるか、現時点では明らかになっていない。

ところで、福岡市地下鉄構想は当初、環状線化もあったようだ。



まず、地下鉄1号線の姪浜駅から石丸、野方を経て七隈線橋本駅と接続する構想。

七隈線には、いくつか枝線の構想があり、梅林駅付近から分かれて、花畑、長住、野間地区を経て博多駅と接続するという構想。

また七隈線天神南駅から中洲川端を経由して、博多港のウォーターフロント地区を結ぶ路線があり、一つ手前の渡辺通駅から住吉を経て博多駅と連絡する構想もあった。

しかし、天神南駅からキャナルシティを経て博多駅を結ぶ、僅かに1.4キロメートルの総事業費が450億円ということを考えると、上記の4本の延伸構想は構想止まりでしかなさそうだ。



アイランドシティへの乗り入れ構想もあるようだが、こっちも無理。

それよりも東区は、西鉄貝塚線との相互乗り入れ案の方が先決問題のはずだが、西鉄は採算面を考えて、10年前に津屋崎~新宮間9.9キロメートルを廃止、新宮~貝塚間11キロメートル・10駅とし、宮地岳線の呼称を貝塚線に変えた。

仮に、この貝塚線に地下鉄が相互乗り入れすることになると、まず多々良川にかかる名島橋梁は大丈夫?という声が聞こえてきそうだが、平成20年に地下鉄車両でも走行可能という結果が出ている。

次に問題になるのが総工費で、同じく平成20年当時の試算によれば、中州川端駅折り返しで220億円、天神駅折り返しで260億円。

ちなみに、西鉄貝塚線の駅間距離は平均1.2キロメートルで、地下鉄2号線は782メートル、この当時で、JR鹿児島線や地下鉄2号線の利用者は増加していたが、西鉄貝塚線は微増に止まっていたようで、だからといって、駅を増やそうとすれば、さらなるコストアップになる。

採算性を考えると、いかに市営とはいえ、簡単に着工できるような金額ではないため、こっちも無理。

となれば、地下鉄延伸事業はおそらくこの七隈線博多駅延伸工事を最後に、終了ということになるのだろうか。

観光都市福岡~博多港中央ふ頭延伸計画・・前編

高島福岡市長の掲げている政策の1つに「観光産業都市福岡」がある。

これを受けて、マリンメッセ福岡や国際ターミナル、クルーズセンターが立ち並ぶ中央ふ頭と、ベイサイドプレイスのある博多ふ頭、そして2つのふ頭を結ぶコンベンションセンターを含めた、ウォーターフロント地区再整備計画が動き出した。

福岡市を訪れる外国人観光客が利用する交通手段の1つである、大型クルーズ船が着岸する中央埠頭は、今のところ1隻が停泊するだけなら問題は無いのだが、2隻が同日に入港するとなれば中央ふ頭はスペースが無いため、貨物船が利用する少し離れた箱崎ふ頭を利用せざるを得ないのが現状だ。

だがこれでは福岡市のイメージがダウンする。

そこで浮上したのが中央ふ頭の延伸計画で、将来的には現在の中央ふ頭の横幅400mをそのまま、北側の沖合いに330m延ばす計画だが、横幅400m×全長330m×水深10m、という巨大な体積を考慮すると、完成するまでには時間と費用が莫大になることから、急場をしのぐため、横幅を取り合えず計画の5%、20mに抑え、大きな桟橋程度のミニふ頭サイズで、平成30年度までに完成させたい考え。

完成すれば、まがりなりにも820mの岸壁が姿を現し、大型クルーズ船が2隻同時に着岸可能となり、世界最長の全長361mを誇るオアシス・ザ・シーズも博多港に寄港可能となる。

だが逆に問題も発生する。


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