国は自分の首を絞めることに?

最近、猿が出没することで知られる那珂川市であるが、市道で起きた怪我の損害賠償裁判が注目を集めている。
記録によると、令和2年8月の朝、国土交通省勤務の50代男性がランニング中、那珂川市が管理する歩道に生えたコケで滑って転倒し、坂道で5m程滑り落ちたとされる。

男性は右背中を打ち通院を繰り返し、同3年3月には右第3~10肋骨の骨折と胸椎部の障害が認められると診断された。
その後男性は市道の管理に瑕疵があったとして福岡地裁に提訴、男性の損害賠償請求額は約1652万円、うち治療費は3万6860円に過ぎなかったが、傷害慰謝料約287万円、後遺障害逸失利益約1070万円、後遺障害慰謝料290万円が請求の大部分を占めていた。

裁判では事故発生時刻や打撲の箇所に変遷があったと記載があるなど、男性の主張に不確かな点もあり争点となったが、10月19日の判決では、後遺障害逸失利益を177万円、後遺障害慰謝料を110万円と大幅に減額したものの、その他の請求は大筋で認め、市側に過失割合が 6割あるとして約280万円の支払いを命じた。



那珂川市は11月2日、判決を不服として福岡高裁に控訴している。
管理責任はもちろんあるが、山間部の市道全てに苔が生えているかどうか把握するのは現実不可能で 全国の地方自治体にとっても共通の問題だ。

男性は国交省の職員とあって役所の攻め方を熟知していたと思われるが、事故後の那珂川市の対応に落ち度があり 男性を怒らせた可能性もある。
損害賠償請求額には、傷害慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料という名目で計約1484万円が含まれていた。
1審の判決では 計約407万円まで大幅に減額されたが、2審では それらの内容や額、6割という過失割合の妥当性についても争われることになりそうだ。

このまま確定すれば、将来 「国」が管理する道路において類似の訴訟があった場合の判例として、自分の首を絞めることになりかねない。
また、自治体が賭けている保険料にも影響が及び、我々納税者にも関係してくる話である。

男性は順調に怪我から回復し、昨年と今年のハーフマラソン大会において素晴らしいタイムでフィニッシュという嬉しい話もある。
ひと頃のマラソンブームは落ち着いてきた様だが、公道を走る際は怪我のないようランニングを楽しんで頂きたい。

歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ①」

現在、国道3号 広川町~八女市間のバイパス建設事業化に向けて、国・県・八女市・広川町で協議が進んでいるが、国から図面(詳細なルート案)が示され、八女市と広川町が県に都市計画決定の要望をしている段階だ。

八女市・広川町は、ルート案について了承したことになっている。
しかし、学校や生活面に大きな影響を与えるにも拘わらず、地域住民への周知が十分にされないまま、急ぎ足で法定手続きを進めており、地元からは不満や戸惑いの声が上がっている。

話は変わるが2ヶ月程前、政治家の贈収賄についての投書があった。
それは、県南の田園都市における土地改良区事業に係る贈収賄についてだった。



2007年6月28日付、福岡地方検察庁検事正宛の告発文のコピーで、告発人の名前は消されており、手書きで「このたびの件は大物政治家の介入で事なきを得ていますがまだ外に業者からのワイロが沢山ありますので警察も全見逃すことはできないと思います。しっかり監視して下さい。(原文ママ)」と書かれていた。



告発文の内容を要約すると、「土地改良(農業促進のために行われる基盤整備)事業は、原則農地を宅地にして売却してはいけないが、減歩して余った土地を宅地にして売却し、利益を上げてきた。その謝礼として土地改良区理事長N氏は、便宜を図った県議M氏に400万円を支払った。それらは贈収賄にあたり、その2名を告発する。」というものだ。

興味は湧くが、古い話で既に時効も成立している。
出どころも不明、偽造の可能性もある。

しばらく書類の中に埋もれていたが、つい先日、国道3号のバイパス計画を取材している際、贈賄で告発された理事長N氏と懇意にしていた方(Aさん)に偶然出会うことができた。

ー 続く ー

続きを読む

JR九州住宅・公開続く決算変更届の誤記載

JR九州住宅㈱が監督官庁である九州地方整備局に提出した決算変更届であるが、7月末に提出されてから3ヶ月経った今でも、誤記載のまま公開され続けている。

決算変更届は、建設業法で提出が定められており、施主が施工業者を選定する際の判断材料にすることもあるため、誤記載のまま公開を続けているのは「国民を騙している」と指摘する声もある。

今回、1年前の平成30年3月期の決算変更届から誤記載があったことも判明しており、JR九州グループにあるまじきお粗末さである。

JR九州は子会社の監査を担っているが、その責任において、子会社の決算変更届の修正を急ぐべきではなかろうか。



続きを読む

JR九州住宅・またトラブル?

既報の通り、JR九州住宅は監督官庁に提出する決算書類の不備を指摘され再提出していたが、現在、何か問題があったのか、九州地方整備局による聴取が行われている様だ。

仮に建設業法に問題があるなど、結果次第では行政処分が下される可能性もあり、また、決算書類に訂正があれば連結決算のJR九州の決算書にも影響が出る恐れがあるため、関係者は注目している。



 

続きを読む

㈱協和製作所 ~ 指名停止・福岡市

福岡市は下記の通り、競争入札参加停止措置を行なった。

【対象業者】
商号:㈱協和製作所
本社:佐賀市高木瀬西6丁目9-1
代表:藤井 道博
登録:工事(鋼構造物、機械)
内容:平成29年12月12日から平成30年4月11日まで4ヶ月間

【事件の概要】
件名:西区元浜3丁目地内 沖田上井堰改良工事
工期:平成27年11月7日から平成28年2月14日まで
金額:216万円(税込み)
発注:農林水産局農林部農業施設課

【事故および契約違反(事故報告)の経緯】
佐賀労働基準監督署に対し、労働災害の発生場所や発生状況を偽った労働者死傷病報告書を提出したとして、同社および同社代表取締役が佐賀地方検察庁へ送致されたもの。
また本市発注工事において労働災害が発生したにも関わらず、本市監督員へ当該労働災害の通用および事故発生報告書の提出がなく、本市は事故発生を知らされていなかった。

【事故内容】
発生日時:平成28年2月4日(木)15時00分ころ
発生場所:西区元浜3丁目地内
発生状況:接続鉄板(60kg)の取付作業で、人力作業で持ち上げた際に手を滑らせて右足甲部に落とした。
被害状況:作業員負傷(右足中指・くすり指・小指骨折)

●その他
簡単に言うと、福岡市が発注した工事でケガ人が出たにもかかわらず、福岡市に連絡しなかったばかりか、本社がある佐賀の労働基準監督所にも偽りの報告書を提出したとして、書類送検されたもの。
工事金額が216万円だったため、経営規模の小さな会社が、穏便に済ませられるように報告書を偽ったのかと思ったのだが、念のために売上を見てみたら驚いた。
平成28年9月期の売上は16億9494万円、経常利益▲886万円だが、同22年9月期には、売上25億円、経常利益1億7600万円を挙げたこともある、水門や橋梁などのメーカー、おそらく佐賀ではトップクラスではないのか。
おまけに、九州地方整備局からはほぼ毎年、優良施工業者としての表彰を九州一円の河川事務所所長から受けている。
ちなみに、元請工事比率85%のうち、ほとんどが官庁工事。

ところで官庁の指名停止は、各官庁担当者が他の自治体などの指名停止を知ったときに措置が下される。
官公庁では年度末から新年度にかけて、工事が多く発注される時期にだけに、大変だ。
大口得意先の1つであろう、九州地方整備局の動向が気にかかる。

安全施設㈱・佐賀市~営業停止・指名停止・一般競争入札参加資格認定取消

安全施設㈱(佐賀市大和町川上153-1 代表者西富幸一氏)は、平成28年7月31日基準日の決算書で、借入金などを過小に計上、逆に売上は水増しした粉飾決算書で、官庁に指名願いを提出したことが発覚、佐賀県、佐賀市、そして国土交通省九州地方整備局から、以下処分を下された。

佐賀県 営業停止 45日間 平成29年5月15日から6月28日
佐賀市 指名停止 5ヶ月間 平成29年5月12日から10月11日
九州地方整備局  認定取消 平成29年6月2日

九州地方整備局~指名停止

国土交通省九州地方整備局は、下記の業者に指名停止措置を下した。

業者名
①㈱川浪組      大分県日田市友田3725
②エスイーリペア㈱  福岡市南区日佐5-15-24
停止期間
平成28年6月6日~6月19日 2週間
概要
大分河川国道事務所発注の「大分中西部地区構造物補修工事」において、平成27年10月12日、クレーン付きトラックで資材の荷下ろし作業を行っていたところ、トラックが転倒し、クレーン操作者がトラックの下敷きとなり死亡、トラックのあおりから飛び降りた玉掛け者が左足首およびくるぶしを骨折したため。


続きを読む

九州地方整備局~監督処分~内山緑地建設

福岡は言うに及ばず、国内でも有数の規模と実績を持つ造園業者である、内山緑地建設㈱(久留米市)に対して、九州地方整備局は11月6日、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が法令で定める金額以上となる下請契約を締結したとして、監督処分を行った。

簡単に言うと、特定建設業の許可ではなく、一般建設業の許可しか持っていなかった業者に対して、3000万円以上の造園工事を発注したということ。

ちなみに、建設業許可を持たない小規模な工事業者に対しては、500万円を超える工事を発注してはならないことになっている。


続きを読む

続報~談合・指名停止~空港消防設備点検業務

国土交通省発注で羽田空港などの消防設備が、正常に作動するか調べる業務入札で、第一防災㈱(大阪府守口市)の代表取締役と支店長が、入札に参加したほかの9社と談合、公契約関係競売等妨害容疑で警視庁捜査二課に逮捕されたため、国土交通省および全国の地方整備局は、第一防災㈱を平成27年9月8日から平成28年6月7日までの9ヶ月間指名停止措置を下していた。
残り9社の担当者も、警視庁が8月6日談合罪で略式起訴したため、国土交通省および各地方整備局は以下の措置を行った。

◆指名停止措置業者
① ㈱エノモト防災工業   千葉県期木更津市長須賀627-2
② ㈱ニッショウ        東京都江東区猿江2-8-2
③ ㈱清水商会        千葉県千葉市中央区松ヶ丘町635
④ ㈱千代田防災       東京都東村山市多摩湖町1-24-1
⑤ ㈱東洋実業        北海道札幌市中央区北六条西22-2-7
⑥ 旭防災設備㈱       東京都世田谷区代田3-13-12
⑦ 三津浜工業㈱       東京都大田区東蒲田2-19-12
⑧ 富士防災設備㈱     東京都文京区後楽2-20-15
⑨ 防災技術センター㈱   千葉県千葉市中央区若草1-20-10

◆指名停止期間
③④⑥       平成27年9月24日~平成28年5月23日 (8ヶ月)
①②⑤⑦⑧⑨  平成27年9月24日~平成28年1月23日 (4ヶ月)

◆九州地方整備局管内で登録されている業者は、
㈱ニッショウ、㈱清水商会、㈱東洋実業、旭防災設備㈱ の4社で、
指名停止期間も上記。

 

九州地方整備局~指名停止措置

九州地方整備局は下記の企業に対し、一般競争入札参加停止措置を行った。

●指名停止措置対象業者
商号:増田建設㈱
本社:佐賀県藤津郡太良町多良1815

●指名停止の期間
平成27年7月31日~平成27年8月30日(1ヶ月間)

●概要
平成21年度に佐賀国道事務所が発注した「佐賀497号髙瀬橋下部工ほか工事」の完成後に、上部工工事の着工前測量を実施したところ、髙瀬橋A2橋台が設計値より約20cm高く施工されていることが判明した。
原因は、橋台施工の際、施工管理用の測量標を監督職員の承諾無しに移設した上、基準髙の確認を怠り、誤りを生じさせたためである。
なお、粗雑工事については、平成27年7月13日に修補を完了している。

○その他
増田建設㈱
代表:増田 正弘
設立:昭和38年3月
資本金:2000万円
業績:平成26年6月期
売上:7億4,517万円
経常利益:▲2,239万円
純資産:1億2,280万円
総資産:3億6,325万円 続きを読む

ちょっと厳しい営業停止~戸上電機製作所

今日5月27日、九州地方整備局は㈱戸上電機製作所(佐賀市、東証二部上場)に対し、神奈川県内の民間発注者から請け負った電気工事を、許可を受けないで建設業を営む者と、政令で定める金額以上の下請契約を結んだとして、下記の処分を下した。

営業停止命令
期間、平成27年6月11日~6月17日までの7日間

停止を命ずる営業の範囲
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県および長野県における電機工事業に関する営業のうち、民間工事にかかるもの。

7日間とは言え、営業停止処分は厳しいといえば厳しいが、エリアは山梨、長野を含む首都圏で、九州は関係なしで、おまけに同社の平成27年3月期売上217億円に対し、電気工事は約9億円ほどで、こっちもあんまり影響なし。

続きを読む

上滝建設~指名停止措置で苦情申立て

昨年4月と7月に、唐津市が発注した駄竹漁港工事で、上滝建設(佐賀市)の当時の徳島武彦非常勤副社長(別名:唐津の虎)が、贈賄事件により今年1月22日逮捕されたため、佐賀県と唐津市から13ヶ月、佐賀市からは4ヶ月、そして国土交通省九州地方整備局からは、2月13日から5月12日までの3ヶ月間の指名停止を受けていた。

ところが上滝建設は、処分が最も軽かった九州地方整備局に対し、指名停止期間の短縮あるいは解除を求めて、2月26日苦情申立てを行った。

その理由を原文のまま記載すると、以下の通り。
①駄竹漁港工事事案については、㈱上滝建設の非常勤取締役副社長徳島武彦氏が弊社業務として取り行っていないことは2月3日付掲載の朝日新聞報道でも明らかであり、実際弊社からの支出の事実もありません。
②(当時)非常勤取締役副社長徳島武彦氏が、平成26年7月上旬ごろ唐津市の当時部長より最低制限価格の教示を受けたが、弊社にはその類の情報は一切もたらされておりません。
上記により元副社長が行った行為は弊社業務の一環として行われていないのは明白であると考えます。  

これに対する国土交通省九州地方整備の回答を、原文のまま記載すると以下の通り
①本件苦情申立てを棄却します。
②工事請負契約に係る指名停止等の措置要件は、代表役員等が当該地方整備局の所管する区域内の他の公共機関の職員に対して行った贈賄の容疑により逮捕された場合に該当するものであり、贈賄行為が貴社業務として行われたか否かにかかわらず適用されるものです。

当たり前と言えば、当たり前のこと。

なにせ、㈱上滝建設元非常勤副社長徳島武彦氏(唐津市在住)は、地元の公共事業の仕切り役として業界では知られており、別名「唐津の虎」として有名だった。

一昨年1月の唐津市長選で3選された、坂井俊之市長の企業後援会長であり、選対幹部として陣頭指揮も執っていたようだ。
坂井俊之市長との仲は異常なほど密接だったようで、市長杯ゴルフの呼びかけ人を徳島武彦氏が務め、また徳島武彦氏の「古希の会」には坂井俊之市長が発起人となっていた。

写真(西日本新聞より引用)で、3選された坂井俊之市長の後ろで万歳しているのが、上滝建設元非常勤副社長だった、「唐津の虎」こと徳島武彦容疑者。

続きを読む