自浄作用が働いた社会福祉法人

春日市の認可保育園「若竹保育園」で、運営する社会福祉法人「共栄福祉会」の理事長の娘(46)が、不正に少なくとも2000万円以上を引き出していたことが判った。

一般的に法人の創業者一族の権力は強く 不祥事は表に出にくいが、監査委員の指摘を受け 内部調査委員会を設置して 詳細が明らかになったという。

同法人は、春日市で 若竹保育園・岡本保育所のほか、福岡市南区に福祉型障がい児入所施設「若久緑園」、同早良区に障がい者支援施設「板屋学園」を運営、と聞けばご存知の方も多いだろう。

今年3月に行われた日本アカデミー賞では、「すばらしき世界(西川美和監督)」が 7部門で優秀賞を受賞し話題になったが、若久緑園もその舞台の一つとなっている。
弊社記事「映画と萬行寺と若久緑園(2021年12月13日)」参照

現理事長の父親が創業者、 昭和21年に戦後の引き揚げ児の教育の遅れを危惧し 私塾を開設したのが始まり、その後 福祉事業で業歴を重ねると共に 地域や行政からの信頼を積み上げてきた。
歴史が長い分だけ多くの人が関わり、現在も多数の園児や入所者が在籍し、想いを持った職員らが支えている。

管理が甘かったのは反省点だが、こうした職員が勇気を持って聖域に切り込み、法人として自浄作用が働いた点は評価すべきだ。
理事長辞任は言うまでもないが、信頼回復を向けて法人運営への創業一族の影響力を 排除していく必要があるだろう。