田川バイオマスに新事実、政治不信は県議会でも

政治とカネの問題、岸田総理の生ぬるい対応に政治不信は増すばかりだが、それは自民党の国会議員に限ったことではない。
福岡県議会副議長で立憲民主党所属の佐々木允県議に関する「政治とカネ」の問題を、弊社やネットメディアが報じてきたが、その後説明責任を果たす気配は全くない。

参考記事 → 県議が県道用地取得に担保提供 (2023年11月21日)

ところで、バイオマス発電所の火災のニュースが続いており近隣住民の不安は増しているが、田川市に建設中のバイオマス発電所について、計画当初から佐々木ファミリーが関与していたことが窺える新事実が出てきた。

 

計画前から県に問い合わせ

これまで 佐々木氏は SNS上で「あくまでも民間の工事であり、田川市役所や私自身を含め関係ありません」と自身の関与を否定していたが、バイオマスの計画当初から事業者の南国殖産の代わりに県の出先機関「飯塚市農林事務所」に問い合わせを行っていたことが判った。

平成30年12月13日には 発電所建設予定地の農振除外の進捗について、また、同31年4月23日には 追加用地確保のため隣接地を農振除外するにはどうしたらよいか、佐々木氏から直接電話で問い合わせがあったという。
南国殖産が田川市に「木質バイオマス発電所設置事業計画」を提出したのが、平成31年1月25日なので 佐々木氏の電話はそれよりも前、計画段階から関与していたということである。

つまり、南国殖産は 田川市に計画書を提出する前に、糒地区に建設地を決めて 農振除外の手続きを開始していた。
佐々木氏は 平成30年12月時点で既にそのことを知り 業者のために行動していたことになる。

 

父親が排熱利用を目的に農地購入

ただ、佐々木氏は業者のためだけに動いた訳ではなさそうだ。
というのも、バイオマスの排熱を利用する計画に、佐々木氏の父親の名前が出てくるからだ。

前述の「田川木質バイオマス発電基本計画」の中に、熱利用基本計画という項目がある。
南国殖産と加賀デバイス㈱が主体企業となり、(仮称)田川ほしい農業㈱を設立し地元営農者(法人含む)が出資、発電所周辺の農地4ヘクタール7ブロックにハウスを32棟建設し、排熱を送りミニトマト、ベビーリーフ、ハーブなどの野菜を栽培することが記されていた。

驚いたのは、その後の調べで当該農地の区画のうち、同年3月25日付でバイオマス発電所の北側計 1606平米を 佐々木氏の父親が購入していたことだ。
当初から熱利用が予定されている場所で営農するつもりだったと想像される。





また、計画ではバイオマス発電所の稼働は当初 平成33年2月予定とされていた。
平成33年は令和3年のこと、現在佐々木氏の母親が理事長を務める社会福祉法人の事業として、介護施設の近くのハウスで「あまおう」を栽培中だが、始めたのは令和3年度(4月~)なので、バイオマスの稼働時期と符合する。

バイオマス発電所建設の手続きの遅れや想定外のコロナ禍で計画の日程が狂ったが、佐々木ファミリーは 令和3年度から 佐々木氏の父親が取得した土地でバイオマスの排熱を利用し「あまおう」栽培をする予定だったのではと 関係者は見ている。

バイオマス発電所誘致に前のめりだった佐々木氏が 建設のデメリットを考慮せず、また地域住民の意向も聞かず、身内に優先して利益が入るように動いたとすれば問題ではなかろうか。



バイオマス発電所の火災のニュースが続いており近隣住民の不安は増している。
「あの誠実な佐々木さんがそのようなことをするはずがない」という支持者もいる。
「清潔な県議会議員」を標榜するからには、弊社や 他のメディアが指摘している点も含め、バイオマスへの関与についても住民に説明を尽くし、疑念を払拭する必要があるだろう。

福岡11区でただ一人の 立憲民主党の県議会議員が、疑惑に対し沈黙を続けたままで 県政全体への信頼が揺らいでいる。
立憲県連の城井代表の対応にも注目が集まっている。


アサデスが特集

県議会では15日、臨時議会が開催され、新議長に香原勝司県議(直方市)、副議長に佐々木允県議(田川市)が選出された。

佐々木県議は田川市議を経て現在県議3期目、政策提案能力が高いと評判の人物だ。
特に 再生可能エネルギーの導入には熱心で、2018年6月議会では「バイオマス発電」を県として推進するよう訴えた過去がある。

二場公人前市長と佐々木県議は、4月の統一地方選で 互いの集会に出席しエールを交換するなど 昵懇の仲として知られている。
水面下での2人の努力が実を結び 南国殖産(鹿児島市)を誘致することに成功、現在 田川市糒(ほしい)地区の 長閑な田園の一角に、住民の反対をものともせず バイオマス火力発電所の建設が進められている。

参考:弊社記事
前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工(2022年8月8日)
南国殖産、永山社長はご存知か?(2022年9月5日)
南国殖産に 田川市議会がイエローカード (2022年12月21日)






偶然にも 同日の朝、KBCの「アサデス。」が、この バイオマス火力発電所を取り上げ、事業を進める南国殖産が資源エネルギー庁に「住民説明会を行い理解を得られた」と虚偽の報告をするなど不誠実な対応をしていることを報じた。

田川バイオマス発電所 地域住民「知らないうちに建設が・・・」

南国殖産に 田川市議会がイエローカード

国が定めるガイドラインを守らないまま 南国殖産(鹿児島市)が 住宅地近くにバイオマス発電建設を続けている問題で、田川市議会において「国が事業者への指導を徹底すること等」を盛り込んだ意見書の提出議案が 賛成多数(10対9)で可決した。

資源エネルギー庁が公開している「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」には、「地域との関係構築のために、計画の初期段階から地域住民に十分配慮することや、説明会の開催で理解を得られるよう努めること」が明記されている。

南国殖産は令和元年11月7日、関係区長3人に酒の席で発電所を建設したい旨を説明しただけの会合を 「第1回近隣住民説明会」と称し 経産省九州経済産業局に「丁寧に説明を行い理解を得られた」と虚偽の報告を行っていた。→ 詳細はこちら

南国殖産と言えば鹿児島を代表する優良企業、地元では この様な姑息な手法は取らないだろうが、鹿児島県民の目が届かないところで気が緩んだか、それともこれが本性か、とにかく 法に触れない範囲の中で既成事実を作り 住民への理解は後からでいいといった横暴さが窺われる。

同議案に対しては、反対の立場の陸田議員から質疑が出された。
文意を正しく理解できていないと思われる質問内容に対して、提案者の村上議員が冷静に回答していたのが印象的だった。

質疑動画は → こちら

採決では、市長派と反市長派で賛否が完全に割れ同数になったが、最後は議長が賛成に回り可決となった。

南国殖産においては、遠い福岡の地のことではあるが、市議会の議決の重みを認識すると共に、国が定めたルールを守らず虚偽の報告をしたことが社史の汚点になること、田川市民の過半数が受け入れていないことを肝に銘じて頂きたい。



採決結果

南国殖産、永山社長はご存知か?

資源エネルギー庁が公開している「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」には、「地域との関係構築のために、計画の初期段階から地域住民に十分配慮することや、説明会の開催で理解を得られるよう努めること」が明記されているが、当たり前のことだ。

弊社記事「前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工(2022年8月8日)」で報じた通り、南国殖産㈱(鹿児島市、代表者 永山在紀氏)は、初期段階から住民説明会を開催せず、いきなり着工した。

同社は鹿児島では誰もが認める優良企業で、福岡県内でもガソリンスタンドを店舗展開、これまで悪い話は聞こえてこなかったが、こと 田川バイオマス火力発電所の計画においては、国のガイドラインを軽視したと言えるだろう。



ガイドラインを守らないことも問題だが、同社が国に虚偽の報告を行っているというコンプライアンス上の問題が指摘されている。
それは、令和2年3月31日付で南国殖産から 経産省九州経済産業局宛に提出された「バイオマス燃料の調達及び仕様計画書」だ。

その中の「燃料供給者等関係者との調整状況、(6)地域社会に対する対応」という欄に、「令和元年11月7日(第一回)近隣住民説明会を開催、煙や火災、騒音への懸念があったが丁寧に説明を行い理解を得られた」という記載がある。

ところが、実際は全く違ったというのだ。

その日参加したのは、地元3区の区長が各1名、しかも 酒宴の席で なぜか糒地区の農事組合長がビールをついで回る中、南国殖産の社員からバイオマス火力発電所を建設したい旨の説明があった。

区長らは、「こんな大きな話は自分で抱え込むことはできない。恐らく住民の皆さんは受け入れられないと思う。速やかに住民説明会を開催してほしい。」と伝えている。
一方で、南国殖産からは「事業計画は案の案なので口外禁止、資料の無断開示・転用も禁止。」と念を押された上、「速やかに住民説明会を開催し、懸念事項の解消に努める」と回答があったという。

情報開示請求で、以上のやり取りについて「近隣住民説明会を開催…丁寧に説明を行い理解を得られた」と 国に報告していたことが判ったのだが、これでは公文書で虚偽報告と言われても仕方がないだろう。



国への虚偽報告が指摘されている南国殖産だが、代表取締役の永山社長はこうした一連の出来事をご存知ないのではなかろうか。
なぜなら、同社の公式ウェブサイトに掲載されているビジョンと、実際に起こっていることに かなりの乖離があるからだ。

グループ経営基本理念 及び 行動憲章を読むと、企業を成長させて社会に貢献していきたいという 社長の熱い想いが伝わってくる。

南国殖産のビジョン「グループ経営基本理念」「グループ行動憲章」

そこには、
「環境に重視した豊かなまちづくり暮らしづくりに貢献」
「社会規範を遵守することは勿論、高い倫理観・道徳観に立って自らの行動を律する」
「お客様の声を真摯に受けとめ、誠意をもってお応えします」
「社会に信頼され成長し続ける企業を目指します」
と素晴らしい言葉が並んでいる。


だが、今 田川市で起こっていることは、
「地域住民の住環境を悪化させ まちづくりと逆行」
「国に虚偽の報告を行い 社会規範・倫理観・道徳観が皆無」
「住民の声は受け止めず、応えようともしない」
と真逆の行為ばかり。
地域住民は、「初期段階から情報が隠蔽され、着工して初めて発電所が建つことを知り、騙し討ちをされた」と感じている。
これでは社会に信頼され成長することはできないのでは。

恐らく、経営基本理念 及び 行動憲章に反する行為が 田川市で行われてきたことについて、永山社長の耳には入っていないはずだ。
この状況が一刻も早く社長に伝わり、企業イメージが低下しないよう 適切な対応が取られることを切に願っている。

前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工

7日午前、田川市糒(ほしい)地区の「バイオマス火力発電所」建設計画に反対する住民集会が開催され、現場近くの舗道で約70名が抗議の声を上げた。

建設場所は静かな田園地帯、学校の通学路に面しており、周囲には小中学校、保育所、市民病院、そして住宅団地があり、火力発電所はどこの誰が見ても馴染まない。



問題は、「住民説明がないまま着工」という前代未聞の進め方だ。
糒地区の住民が、発電所建設を回覧板で知ったのが着工直後の令和3年6月、隣の星美台地区に計画のパンフレットが配布されたのが その 4ヵ月後の10月に入ってからだった。

事業主である南国殖産㈱(鹿児島市)から 田川市に対し、事業計画の提案があったのが平成31年1月25日、そのわずか 11日後の2月5日には、市が同社に全面的に協力する旨の協定書を締結している。
翌日の毎日新聞が「糒地区に建設し『田川ほしい農業株式会社』(仮称)が廃熱を利用した工場を建設検討」と報じていることから、この時点で建設場所は特定され、事業に関わる農業関係者が存在していたとみて間違いないだろう。



市は協定締結後、同年3月に関係者らで構成される協議会を設置し 事業内容について協議を開始、事業者は発電事業許可、農地転用や開発許可の手続き等の手続きを進めていったが、着工するまでの 2年半の間、場所や事業内容が 糒地区・星美台地区の住民に知らされることはなかった。

市内でそれらを知っていたのは、協議会のメンバーである市の職員、糒地区の農事組合と水利組合の役員、JA田川の一部職員、糒地区の区長、そして、地権者と農業委員会のメンバーに地元県議。
発電所建設となると農業用水路の利用にも関係するが、これだけの農業関係者が知る情報なのに、糒地区の近隣農家の耳に入っていなかったというのも不自然だ。

その理由は、仮に事前に計画や場所が漏れれば 反発は必至、法的な手続きが終わるまで かん口令が敷かれていたというのが大方の見方だ。
田川ほしい農業株式会社(仮称)の設立計画や、農地転用や水利の許可に関しても 農事組合と水利組合の役員だけが知り得る情報で、近隣農家からは 農事組合長らの行動に不信感が広がっている。

話を戻すが、昨年6月の着工後も、住民に対し正式な事業説明がされず仕舞いである。
正確に言うと、11月と12月に説明会は開催されたが冒頭から紛糾、説明に入る前に流会となり、次回開催が約束されたまま開かれていない。

ところが今年7月に入り事業者が工事を再開、現場事務所を設置し基礎工事を始めた。
今回の住民集会は、市と事業者、そして「一部の得をしそうな
者」に対する抗議を表すもので、今後も定期的に続けていくという。

何かと話題の大任町と田川市、また注目材料が増えてしまった。
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