3本の矢はどこへ? ー 自民こそ アベノミクスの総括を ー

10月4日に発売された経済誌の表紙には、「日本株上昇相場へ」と書かれていた。
しかし、岸田新総裁が決まる前日(9月28日)の日経平均株価終値  3万0142円から、本日で5日間続落となり、2万8000円を割り込み 先行き不安な新政権の船出となった。

これまで自民党はアベノミクス(+スガノミクス)の総括をこれまでしていない(避けてきた?)が、立憲民主党が先月 総括結果を発表、「アベノミクスは失敗、格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった」とした。
確かに、株価は上がったが 経済成長という面では諸外国に遅れ、借金は膨れ上がり社会保障制度を立て直すこともなかった。
いったい放たれた3本の矢はどこに行ったのか?

総裁選で「国民の声が政治に届かない」と これまでの政治を批判した岸田氏。
「成長と分配の好循環」「所得倍増」「新自由主義的政策を転換」を掲げているが、つまりそれらは 安倍政権、菅政権の経済政策の批判と捉えてよいだろう。

アベノミクスを継承するとした 高市早苗氏を政調会長に選任したのは意味不明だが、自民党が岸田新総理を支えて新しい経済政策に踏み込んでいくのであれば、高市氏は率先してアベノミクスの功罪の検証・総括をする必要があろう。

その上で自民党は、今すぐ取り組む緊急経済対策、そして中長期的な計画を国民に示し、総選挙で投票してもらうべきである。

新たな 所得倍増伝説を!

8月に総裁選に立候補表明後、弊社記事でも「喧嘩できない いい人」などと 多少皮肉をこめて書いたが、岸田氏は逆転して見事に総裁の座を射止め、来週には総理に首班指名される。

宏池会からは 宮澤喜一氏以来 30年ぶりの総理、同会を旗揚げしたのが池田勇人。
池田内閣が策定した国民所得倍増計画を念頭に、岸田氏は 「所得倍増計画で分配重視」を掲げた。

当時は高度経済成長の波に乗り目標以上の結果を残したが、今の時代 そう簡単ではない。
財政、金融の両面から思い切った政策転換が必要で、多方面から反発が予想される。
重圧に屈して短命で終わることのないよう、リーダーシップを発揮して、2倍とまで言わなくても、国民の所得が1.2倍、1.5倍に増えるよう 努めて頂きたい。

ちなみに、所得倍増計画については ネット記事等や書籍でも読めますが、大和田秀樹氏作のマンガ、「疾風の勇人(モーニングコミックス) 」は面白いと評判です。