福岡市東区・傾斜マンション⑤

問われる企業倫理

JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションの原因調査であるが、最終報告書が出てくるのが4月末、その結果を見て住民側は法廷に持ち込むか方針を決める予定だ。

裁判になればJR九州側が時効を盾に戦うことも考えられるが、既に大手報道機関もJR九州等の企業名を出して「傾くマンション」という記事を出しており、更には新事実の手抜き工事と思える事案も判明していることから、世論が被害者側に傾くのは確実と思われ、企業倫理を問われることになるだろう。

平成7年にこのマンションが販売された際、購入者の背中を押したのは「JRブランド」だったことを忘れてはいけない。

現在JR九州が販売中のMJRシリーズも、JRのブランドだからこそ売れている。

JR九州には民営化以来、築き上げてきた企業イメージを損なうようなことはしてほしくない。

このようなことで同社の歴史に汚点を残すことなく、前述のように九州最大の交通インフラ企業として、威風堂々と九州の経済を牽引して頂きたい。(了)



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福岡市東区・傾斜マンション④

新事実!手抜き工事

JR九州が主となり販売した「傾斜」マンションであるが、重大な瑕疵と言える新事実が判明した。

㈱日本建築検査研究所が3月1日から始めた調査の中で、「構造スリット(柱際、梁上、梁下などに設ける緩衝材)」が入っていないことが判明、建物は「構造スリット」を入れる前提で構造計算がなされており、当然であるが図面には示されていた。

この他にも、住民は長年結露や黒カビに苦しんできたが、内装工事で断熱材が図面通り施工されていない箇所が幾つも見つかっている。

こうした悪質な「手抜き工事」とも言える事案も次々に明らかになっている。
これらは時効で済まされる問題と言えるだろうか。(⑤へ続く)



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JR九州販売のマンションに手抜き工事

平成7年にJR九州が販売した福岡市の分譲マンションで、竣工後23年経ってから内装に手抜きがあったことが判った。

同マンションの管理組合に住民から、「結露で壁が濡れる」「天井からしずくが垂れる」「壁や梁に大量のカビが発生している」等の苦情が多数寄せられていた。

そのため、管理組合は平成30年3月に調査を業者に依頼、竣工当時に設計会社が作成した仕上表を基に、3階・4階・6階の3世帯において、室内の石膏ボードを剥がし断熱材の有無及び厚みを測定する方法で調査を実施した。

調査の結果、各居室共に「外部に面する部分はウレタン吹付30mm」と設計会社が指示しているにもかかわらず、実際には10~17mmしかなかった。

更に、天井や梁部分ではコンクリート下地の上に直接クロス貼りとなっている箇所があることが確認された。

ウレタンは断熱材の一種、密閉性の高いマンションで、断熱剤が基準以下で断熱効果が不足していれば、多量の結露が発生しカビが発生するのは当然で、ましてやコンクリートにクロスの直貼りなど通常は考えられない。

直接的な因果関係は証明されていないものの原因不明の頭痛やじん麻疹などの健康被害に、長期間悩まされてきた住民も多い。

管理組合によると、JR側との直接の話し合いは中断しており、内装の手抜き工事について把握しているものの、ノーコメントを貫いたままという。

同マンションのポストには、JR九州が近所で販売する分譲マンションのチラシがよく投函されるという。

被害を受けている住民のひとりは、「無神経さに腹が立つ。人生最大の買物だったのに、傾く、ひびが入る、カビが生える、販売した後は知らんぷり。誠意のかけらもない会社だ。」と語った。



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