高い倫理性が求められる政治家

多くの市町村において、首長や議員を対象にした「政治倫理条例」が制定されている。
その目的として、市民全体の奉仕者としてその人格と倫理の向上に努め、市政に対する市民の信頼に応えることと明記されている。

 

忖度が働く政治倫理審査会

政治家が政治倫理条例を遵守しているかどうか疑わしい事実がある場合は、住民の求めに応じて「政治倫理審査会」が事実関係を調査報告をすることになっているが、審査会が機能していないとの指摘が多く聞かれる。
というのも、審査会の委員は、弁護士、税理士など士業や大学の先生が選任されることが多いが、委員が調査対象となる首長や議員と個人的な関わりがあり忖度するケースがあるからだ。

最近では昨年、春日市において、市長の資産報告に疑義があるとして市民が審査請求を行ったが、市長が疑惑を払拭する根拠書類の提出要請を無視したにもかかわらず、審査会としてそれ以上の要求をしなかった。
審査会に利害関係者がいては客観的な審査ができないので、狭い自治体の場合は市外、町外在住の委員を選任するべきだろう。

春日市長等政治倫理審査会 会議結果

 

政治倫理条例がない県議会

ところで、県道延伸予定地を 県議会議員の親戚が代表を務める会社が購入後、県議とその家族が所有する不動産を担保に提供しているケースがあった。
また、親戚が代表を務める事務所を県議が賃借し、家賃の半額を政務活動費から支出しているケースもある。

弊社の記事を見た読者から、「政治倫理審査会で審査されるべきでは」という問い合わせがあったので、福岡県の条例を調べてみたところ 政治倫理条例がないことが分かった。
一般財団法人地方自治研究機構のホームページによると、現在政治倫理条例を制定している都道府県は9団体(岩手県、宮城県、福井県、三重県、滋賀県、奈良県、鳥取県、広島県、長崎県)ということで、意外だった。

一般財団法人地方自治研究機構のホームページ

政治倫理条例がないからと言って、何でも許される訳ではない。
福岡市議会の政治倫理条例を例に挙げると、議員の責務として「市民全体の代表者として市政に携わる権能と責務を深く自覚し、市民の信頼に値する高い倫理性を持つとともに、市民に対し、常に政治倫理に関する高潔性を示すことができるよう努めなければならない」と明記されている。

県議に高潔性が求められていることは言うまでもない。

ここは大任町?「おやつ代」非開示で争う井上市長

弊社では昨年来、春日市の放課後児童クラブの指定管理者「㈱テノ.コーポレーション」が事業報告書の中で、保護者から実費徴収しているおやつ代の支出額を黒塗りにして公開している問題を報じてきた。

おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)

令和2年度と3年度のおやつ代の収支が黒塗りで公開されておらず、現在 住民が開示を市に求め裁判で争っているところだ。
ところが、この黒塗りをしたことで、市民図書館など他の公共施設の収支の一部も黒塗りにすることになり、市民はもとより 議会ですらその中身を知ることができなくなった。
さすがに、市長派の議員からも指摘があり、テノ社の令和4年度分の事業報告書からは黒塗りがなくなり 全て公開されている。

それなのに、令和2年度と3年度分については まだ黒塗りのままで、裁判が継続中という矛盾、令和4年度で 黒塗りを止めた訳だから、これ以上市民の税金を使って裁判で争う必要はないはずである。
余程 黒塗りの中身が見られたくない酷い内容と想像が膨らむばかりで、井上市長の情報公開を拒む姿勢については「大任町と同じ」という声も上がっている。

さて、公開された令和4年度分の事業報告書から判ったこと。
実費徴収した間食代(おやつ代) 2275万4600円に対し、支出が 2056万6964円、執行率にすると約90%、約 218万円の残が出ている。
一般的に、実費とは「実際に支払った金額」を表す言葉で手数料や利益は含まない。
余ったら返すのが実費徴収の常識だろう。

しかし、9月議会の一般質問で教育長が、
「おやつ代については、指定管理者との協定により、実費相当額となるよう保護者から徴収し、指定管理者の収入とすることができる旨を定めている。保護者が負担したおやつ代の合計額と、実際におやつ購入に充てた費用総額との差額が生じた場合であっても、保護者に返金するようにはなっていない。」
と答弁、協定書そのものが考えられない内容になっていることが判った。
この内容で通るなら、徴収したおやつ代の半分だけ提供して、残りは利益に回しても問題にならないことになる。
市は執行率が何%までなら実費相当額として許容するか基準を決めるべきだろう。

テノ社もやましいところがないなら、堂々と 令和2年度と3年度分を堂々と公開すればいいはずだ。
市がテノ社の主張に沿って 未だに黒塗りの正当性を主張し争っているのは「執行率が常識の範囲を超えて、後ろめたいところがあるからでは」と疑われても仕方がない。
テノ社が、常識の範囲を超えて他の経費に回していたことになれば、上場会社としての信用を大きく失墜させることになる。

テノ社がそんな疑念を払拭し今後発展していくためにも、井上市長におかれては 直ちに裁判を中止すると同時に 令和2年度と3年度の黒塗り部分を公開するよう決断することを期待したい。

上場企業が協定書違反、監査から厳しい指摘

春日市の監査委員が、放課後児童クラブを運営する指定管理者 ㈱テノ.コーポ―レーションの監査を行った結果を公表した。
同社は福岡発の上場会社、異次元の少子化対策で株価も上昇しているが、情報公開においては極めて消極的、実費聴取のおやつ代さえも 何に使ったか黒塗りで公表しない残念な企業だ。

今回の監査で、テノ社が複数の基本協定書違反を行っていることや、基本的な経理の知識が不足している点を指摘されており、公共事業にも拘わらず ブラックボックス化していたテノ社の運営が、いかに杜撰だったかが明らかになった。
また、市側も 補助金で購入した備品の取り扱いについての規定に則っていない点など不備が指摘されている。

監査結果(春日市公式ウェブサイト)はこちら

これで謎が解けた。
今まで 情報公開請求で テノ社と市が結託し、肝心な箇所を黒塗りにしてきた理由は ここにある。

そもそも、上場企業が 協定書違反を犯すこと自体が考えられない。
市側も基本協定違反を把握していたのではないか。
情報公開請求があった時に気づくはず、気がつかなければ 行政のプロ失格だ。

おそらく、情報公開請求を受けた際、市はテノ社の違反と自らのミスに気がつき、公開することができず黒塗りで提出する判断をしたのだろう。
そして、公開している他の公共施設の事業報告との整合が取れないため、 他の公共施設の事業報告まで黒塗りにしたと思われる。

おかげで 春日市民は図書館がいくら分の図書を購入したか 知ることができなくなった。
また、議会も 予算決算の審査で公共施設の収支を見ることができない。
これは異常なことだ。

6月20日から一般質問が始まり、岩渕穣議員、吉居恭子議員、船久保信昭の3人が監査結果について質問する。
特に、岩淵議員と船久保議員におかれては、この異常事態を改め、公共施設の収支は全てオープンにするよう求めて頂きたい。

大任町と同じと言われないように。





令和4年度公の施設の指定管理者に対する監査結果報告

(1) 指定管理者に対する指摘事項

ア 帳簿の整備及び経理の区分について
指定管理者は、本業務に係る帳票や記録を整備し、常にその状況を明らかにしておかなければならず(基本協定書第23条)、本業務の実施に係る経理についてはその他の事業に係る経理と区分しなければならない(基本協定書第28条)。
しかし、本業務に係る請求書、領収書等の証憑や帳簿を本業務以外の業務に係るものと一括して管理しており、本監査においてそれらの書類を円滑に提出することができなかった。
本業務に関する帳簿と証憑を区分して保管し、独立した経理規定及び会計帳簿書類を設け、会計年度における施設の収支状況が明らかになるようにすることが必要である。
基本協定書違反

イ 支出(計上)内容について
(ア)児童クラブを利用する児童の父親に係る弔慰金10,000円児童クラブを利用する児童の父親に係る慶弔は、本業務の範囲外(基本協定書第7条ほか)である。
(イ)小口現金の紛失金16,000円現金の管理は、厳重かつ適切に行う必要がある。
基本協定書違反

ウ 収支決算書等について
(ア)収支決算書は予算と比較する形で作成されているところ、予算は現金主義で計上されているが、決算において発生主義に基づく項目(減価償却費)が計上されていた。予算と収支決算書は計画された業務が適切に実施されたかどうかを確認できるように、同じ基準で作成すべきである。
(イ)新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金等に関する収入及び支出が計上されていなかった。また、一部の支出について、計上区分が誤っていた。
(ウ)「その他」の項目があり、その内容が分かりづらいものとなっていた。
基本的な経理の能力がない

 

(2) 所管課(市)に対する指摘事項

ア 補助金の活用により購入された備品について、備品台帳への登録が行われていなかった。
基本的な業務を怠っている

イ 指定管理者は、指定管理料について、児童クラブに係る修繕費の年間の実績額が基準額に満たない場合は、その満たない部分の金額(以下「剰余金」という。)を本市へ返還しなければならない(基本協定書第25条第3項及び年度協定書第4条第4項)。しかし、指定管理者に対し、令和3年度における剰余金147,787円の返還を求めていなかった。
協定書違反を指摘していない

 

首長選挙に出るということ

首長選挙は まぐれで当選することもある市議選挙とは違う。
国会議員や県議が付いている現職は資金が豊富で組織もしっかり出来ていて、これに勝つのはかなり難しい。

現職相手は反体制派と見做され、今まで仲間と思っていた人が離れていく。
その代わりに選挙の勝ち方を指南する人が集まって来る。
チラシをもっと撒けとか 事務所はこうでなければいかんとか、人が足りんとか、的を得た話ばかりだが、こちらの懐事情もあり 曖昧な返事をすると怒られたりする。

それから、右翼のおじさんから 市民運動をしているおばさままで、これまで話したことのなかった人が 次々に訪ねて来て時間がなくなっていく。

相手陣営は、接戦が予想される場合、かなり「えぐい」ことをしてくる。
団体に票の取りまとめを依頼、数千万円の金が動くときも。
また、票の分散を狙い、こちらと似たようなタイプの第3の候補者を立て、三つ巴戦にすることもある。もちろん、相応の謝礼がわたる。

選挙数ヵ月前には、あることないこと、ないことないこと書かれた怪文書がばら撒まかれ、これがかなり痛い。
最近はSNSを使ってあっという間に拡散され、家族もたまったもんではない。

田舎の選挙では、自治会長は現職と親しく、地域住民にこちらの集会に行かないように指令が出る。
自治会によっては、公民館を貸してもらえないこともある。
小さなムラだと 自治会長に逆らえない空気があり住民は動きづらく、お陰でこちらの集会は閑古鳥が鳴くことも珍しくない。

このように、どんなに素晴らしい政策を考えても、斬新なチラシやポスターを作っても、資金力や組織力で勝負は殆ど決まっている。
首長選挙に出るということは そういうことだ。
もう後に引けなくなった頃に そのことに気付く。

今回の統一地方選でも、純粋に街を良くしようと思って首長選に挑戦し散った人たちがいる。
地域には、現職相手に戦った挑戦者の悪口を言ったり非国民的扱いをする心無い輩も多数いる。

全力を尽くし、お金も底をつき、応援してくれた人たちも事務所を去り、負けた実感が湧いてきている頃だろう。
しかし、この 誰もができない経験を糧にして 前を向いて踏ん張って頂きたい。
何より 逆風の中でチャレンジした気持ちに 心より敬意を表したいと思います。

選挙管理委員会にクレーム

16日告示23日投開票の春日市長選・市議選について、選挙管理委員会の対応への不満が聞かれた。
まず、17日から期日前投票が始まっていたにも拘わらず、「投票所入場整理券」が有権者の家に届けられたのが 18日から19日にかけて。
春日市の市報には「整理券は事前に郵送する」と書かれてあり、送られてくるのを待っていた市民からクレームが多かったという。

市報には、「整理券がなくても選挙人名簿の登録が確認できれば投票できます」という記載もあるが、一般的に整理券を持参するものと認識されており、整理券なしで投票所に行くという発想にはならない。
また、ここにも 不思議な話が。
整理券なしで投票所に行く場合は本人確認書類が必要と考えられるが、春日市の投票所では手ぶらで行っても可ということで、「成りすましができるのでは」との指摘もあった。



それから、期日前投票の投票所の入口に 一部の候補者が見えるように選挙公報が置かれていたことに対する苦情があった。
投票所に選挙公報が置かれているのは見た記憶はないが、投票に来た人に求められたときのために選挙公報を備えておく必要があるのは理解できる。

しかし、3人が立候補している中で 特定の候補だけが見えないということは そちらに不利になる可能性もある。
来場した有権者から指摘があり、選挙公報そのものを目に触れない場所に置くようにしたという。



そして、開票について。
各自治体の選挙管理委員会は、開票の途中経過を30分おきにホームページで公開している。
23日の夜は県内26市町で首長選・市町議員選の開票が行われていたが、春日市は途中経過を公表していなかった。
後で確認したところ、公表する体制を取っておらず、これまでの選挙でも同じだったという。

事務局も県議選に続く市長選・市議選で大変だったと思うが、クレームの中には 見直すべき点は多々あったろう。
春日市選挙管理委員会は、今回寄せられた意見を参考に改善点等を検討していくとしている。

私たちの地区だけ投票用紙が届かない?

「期日前投票が始まっているのに私たちの地区だけ『投票用紙』が届かない」という話が入ってきた。
「投票用紙」ではなく、正しくは「投票所入場券(以下入場券)」、選挙管理委員会から郵送されてくる「投票日時や投票場所、期日前投票の案内など」が記載されたハガキのことである。

16日に告示された大野城市と春日市では、18日火曜日になっても入場券が届いていない世帯が多く、市役所に問い合わせが増えているという。

法令上は公職選挙法施行令 第31条に、「選挙管理委員会は 告示の日以後 できるだけ速やかに選挙人に投票所入場券を交付するように努めなければならない。」とあるので問題はないが、期日前投票が17日から既に始まっているので、投票するつもりの人に入場券が届いていなければ疑問に思うだろう。

そこで、近隣自治体の選挙管理員会に尋ねてみたところ、入場券発送のタイミングに違いがあることが分かった。
福岡市・久留米市・那珂川市では、告示日の前の週までに配達が終わるようにしている、筑紫野市では期日前投票の初日に間に合うように手配しているという回答だった。

大野城市と春日市では、告示日に郵便局に入場券を預け、順次発送されているそうで、いずれも博多南郵便局との協議でそのように決まったとのことである。
次回からは告示前に配達することを検討するという。

そういう訳で、冒頭の「私たちの地区だけ届かない」ということではなさそうだ。

※ 入場券がなくても投票はできます。
入場券がなくても選挙人名簿に登録され、選挙権がある場合は、直接投票所に行けば
投票できるそうです。

運転免許証等の本人確認ができるものをお忘れなく。

井上市長は室屋氏(立憲)とバーター?

春日市の県議選(定数2)が激戦になりそうだ。
現職はいずれも自民3期目の 中牟田伸二県議(65)と松尾嘉三県議(54)、過去3回の選挙は 1・2位を激しく争ってきた。
両陣営ともこれまで以上に厳しい選挙になると見ている。



というのも、前回無所属で県議選を戦った室屋美香氏(50)が、今回は立憲民主党公認で出馬を予定しているからだ。
室屋氏は、ケーブルステーション福岡の元アナウンサーで知名度は高い。
現在は 福岡5区・堤かなめ衆院議員(立憲)の公設秘書を務め、堤氏と春日市内の公民館で小まめに集会「りっけん市民カフェ」を行い、支持を広げている。



気になるのが井上市長の動向だ。
もともと中牟田県議は2011年に井上市長が擁立した人物で、市長の後継者と言われていた。
ところが、前回2019年の選挙で、井上市長が裏で室屋氏を応援したという噂が飛び交い、幸いにして中牟田氏はトップ当選で 事なきを得たが、後援会には不信感が募っていたという。

そして、今回 室屋氏が立憲公認で立候補予定だが、3月5日に開催された室屋氏の総決起集会では 井上市長が挨拶を行い 支援を呼び掛けた。
実は、今回7期目に挑む井上市長には、既に立憲から自民よりも早く推薦が出してもらったという事情がある。

過去に多選批判を繰り返してきた民主系の立憲が、プーチンより任期の長い井上市長に推薦を出すとは驚きだが、「市長の室屋支援と立憲の市長支援はバーター」と見られており、あからさまな市長の室屋支持に中牟田県議の支持者からは不満の声が上がっている。

政治の世界は何でもあり、戦国時代と同じだ。
どうする、中牟田県議?

井上市長の資産報告に虚偽記載の疑い?

殆どの自治体において、首長には政治倫理条例に基づく資産報告書の提出が毎年義務付けられており、不正な収入等がないか審査会がチェックすることとなっている。
しかし、審査会の委員は首長が委嘱することになっており、構造的に審査がザルになりがちという声もある。

ところで、春日市の井上澄和市長の資産報告書の内容に「記載漏れ 或いは虚偽記載の疑いがある」として 2月1日付で 市民65名が調査請求を行っていることが分かった。

疑義の根拠として「井上市長は7年間で約2億円の収入を得ているが、贈与の記載もないのに資産が減少している」ことを挙げている。
調査請求書には、平成27年から令和3年分まで過去7年の資産報告書の明細を一覧表にした資料が添付されているが、確かに不思議な点がある。

収入面では 2回の退職金計3884万円を含め 7年間で約2億円、一方資産では 預貯金が増えるも借入金がそれ以上増え、不動産・動産、有価証券等含めた資産が 合計で418万円目減りしていた。
2億円収入がありながら資産が 418万円減少ということで、調査請求書は「タンス預金をしているなら別だが、社会通念上考えられない」と指摘している。

春日市長の給与は条例で月額95万2100円と定められており、県内60自治体のうち 5番目に高く、令和3年実績でボーナスを含め年間1648万円の所得があった。
また、1期4年務め終える度に 退職金が1942万円支払われるが、6期目の井上市長には既に5回、そして任期が終わる4月には6回目が支払われることになっており、その合計額は 1億1652万円に上る。

今後、審査会で調査が行われるが、本当にこれだけ貰っても資産が目減りするなら「市長」という仕事は割に合わない職業ということになるだろう。

こんな地方議員が増えればいい

弊社では、公金をかすめ取ろうとする首長や地方議員の話題をお届けすることが多いが、こんな政治屋ばかりでないことも是非知って頂きたい。

春日市で15日、テレビでもお馴染みの 北川正恭氏(早稲田大学名誉教授)を招いて「輝け議会!! 対話による地方議会活性化フォーラム in 春日」が開催された。
同フォーラムは九州の市町村議員が 政策立案能力の向上や議会改革について学ぶ場で、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州(代表 神吉信之氏)がサポートしている。

統一地方選前ということで「有権者にどうやって届ける?あなたの想い、あなたの政策 ~選挙で効果的な情報発信とは~」というテーマについて三部形式で行われた。

一部は北川氏による講演、三重県議(3期)から知事(2期)、そして国会議員(4期)と保守系改革派として政治のド真ん中を歩き、 「対執行部」、「対議会」、「政党と派閥」など実体験として苦労をして来られた方だけに、言葉には重みが感じられ、参加した議員は熱心に聴き入っていた。

二部ではマニフェストを取り入れた議員の事例報告と 飯塚市の市民団体による地方議会の内容を市民に伝える活動紹介、三部では「どうやって届ける?あなたの想い、あなたの政策」というテーマでディスカッションが行われた。

地方議会も変わろうとしているが、未だボスが牛耳っている議会も多い。
質問をしない、議案書見ない、首長に媚びる、手を挙げるだけ、委員長になりたい、少数派を虐める、そんなボスの言いなり議員がいる。

世の流れに敏感で改革を望む議員が行動を起こそうとしても、往々にして潰されてしまう。
それでも、このフォーラムに参加している様な意識の高い議員が増えていけば、変わっていくと思われる。

統一地方選では、北川氏の言う「生活者起点」で考え行動する 多くの地方議員が誕生することを願っている。





異次元の少子化対策でテノ株価急騰

岸田首相が23日の施政方針演説で「異次元の少子化対策」を実施する方針を表明したことで、㈱テノ.ホールディングス(福岡市博多区上呉服町10-10-31 呉服町ビジネスセンター5F 代表 池内比呂子氏)の株価が2日連続でストップ高と急謄している。
全国規模で子育て支援関連事業を行っている上場企業は殆どなく、テノ社に買いが集中した様だ。

同社は福岡発で2021年12月期の売上は114億円、最終利益4億5500万円を計上した優良企業、創業者で代表の池内氏は 福岡市女性活躍推進会議のメンバーになるなど、女性のオピニオンリーダーとしても注目される存在だが、ただ一つ情報公開に消極的なところが残念でならない。



消極的といっても 投資家向けのIR情報はきっちりと公開している。
問題は、現在小学校61校で行っている学童保育事業の 情報公開、そのうち一部の自治体で 頑なに情報開示を拒んでいるのだ。

春日市では令和2年度から、子会社のテノ.サポートが指定管理者となったが、スタート当初は保護者から苦情が相次ぎ、議会でも取り上げられるようになった。
こうした中、令和2年度の学童保育事業の収支決算書で、おやつ代の支出が黒塗りになって出てきたのである。
当然、実費徴収しているおやつ代を全部使わず、利益に回しているのではないかと保護者から疑問の声が上がった。

弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)」で詳しく触れているが、市民が情報公開請求を行っても拒否、その理由が「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」、つまり、集めたおやつ代をいくら使ったか公開するとテノの地位や利益を害するらしい。

黒塗りを止めて潔白を証明すれば済むことだが 隠すので疑惑は膨らむばかり、これでは 「上場会社が おやつ代を誤魔化して利益を出している」と指摘されかねないので心配になる。

池内代表におかれては、異次元の少子化対策で今後ますますのご活躍を期待するばかりですが、全国の顧客や投資家に好印象を持って頂けるように、おやつ代の使い道ぐらいは公開した方が良いのではないでしょうか。

学童危機管理マニュアル、著作権理由に不開示?

「子育てしやすい街」というイメージの春日市だが、引越し先を探している子育て世代が同市の学童保育の実態を知れば、候補から外すことになるだろう。

市民が市に対し、放課後児童クラブ(学童保育)の「安全危機管理マニュアル」「けが、病気対応マニュアル」等の情報開示を求めたところ、「公表権を持つ指定管理者(テノ.サポート社)が 開示に反対意見を表示した(著作権法第18条第3項第3号)」との理由で開示しないことを決定した。
つまり、運営するテノ社が開示を拒否したので見せられないというのだ。
テノ社と言えば、実費徴収した おやつ代の支出を黒塗りにして開示しないことで知られる。

市民が安全危機管理マニュアルの情報開示を求めたのには理由がある。

令和4年8月、テノ社が指定管理者を務める福岡都市圏の某小学校の学童保育で、担当者(支援員)がアレルギー反応を起こした児童の対応を誤るという重大事案があった。

その児童は 卵・小麦アレルギーが有り「エピペン」を所持、エピペンとは、医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)である。
食物によるアナフィラキシー発現から心停止までの時間は わずか30分と報告されており、症状があらわれたらできるだけ早期にエピペンを注射するとともに、救急車を呼ぶこととされている。

こうした対応は学校現場においては常識で、日頃から保護者も同席する中で研修も行われているという。



しかし、事件は同じ学校の敷地内、学童保育の施設内で起こった。
当日、学童保育で誤ってアレルギー物質入りのおやつが児童に提供され、腹痛が起こり嘔吐を始めたが、支援員はエピペンを使用せず 母親に連絡したのである。

母親が到着して 病院に連れて行き幸いにも大事には至らずに済んだが、30分以上時間が経過しておりアレルギー対応としては不適切、テノ社の安全危機管理体制が疑われる状況だった。

この話が保護者間のネットワークで広まり、テノ社が運営している春日市放課後児童クラブの保護者からも心配する声が出てきた。

そもそも安全危機管理マニュアルはあるのか、児童クラブに常備しているのか、アレルギー対応について記述があるのか、エピペンについての知識があるかなど、子どもを預ける親にとって把握しておきたいのは当然だ。

公共施設の事業における児童の安全危機管理マニュアル等が、そもそも著作権法の著作物に該当するのかという問題もあるが、6期24年の井上市長もテノ社の主張を認めた格好となっている。
市の担当者は、「マニュアルは見せることができないが 疑問点があれば個別に回答する」としている。

テノ社と春日市が実費徴収のおやつ代をいくら使ったか黒塗りで出してきたのにも驚いたが、両者の隠蔽体質は筋金入りの様だ。

春日市長に読んでほしい社説

1月12日の西日本新聞の社説は、春日市の井上澄和市長にとって耳の痛い指摘だろう。
冒頭に、「行政機関が持つ情報は公開が原則だ。悪質な情報隠しや非公開は住民の信用を失墜させる。首長は常に肝に銘じておかねばならない」とストレートな正論。
実費で集めたおやつ代の支出を黒塗りで公表しない春日市長もそうだ。

参考 → おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022/8/20)

参考 → 図書購入費も黒塗りの怪(2022/9/2)

また、大任町を例に挙げ、「厳しい視線は町の行政全体に向かっている。是正できない町議会も同罪」と厳しく断じている。
春日市議会にも言えることだ。

参考 → 市議会が おやつ代黒塗り企業を承認(2022/9/29)

更に「情報隠しは主権者である住民への背信行為、職員にも継続的な研修を求めたい」と続く。
井上市長の判断だとしても、それにモノを言えない職員も みな同じと見られて仕方がないだろう。

最後に「国、地方を問わず行政機関全体に、不都合な情報を覆い隠す温床がないだろうか。首長や議員に対する行政職員の忖度は誤った判断につながる。悪意があろうとなかろうと起こり得る。」と結ばれている。
職員も本当は分かっているはず、大任町を笑えないと。

職員を追い詰めた市長

今年は選挙イヤー、特に住民生活に直結する市町村長を選ぶ選挙は重要だ。
国や県から予算を取ってくる能力や人脈の多さも大事だが、人を使えるかどうかも大切なポイントである。
首長によって役所内の空気はガラリと変わり、職員のやる気を引き出せば 延いては住民サービスの向上に繋がる。




令和になってすぐ、某市役所勤務の40代の課長が自宅で亡くなっているのが発見された。
遺書がなかったので 警察は「不審死」として処理、しかし 役所内の職員の多くが 状況から自殺で間違いないと見ている。

市役所内は常にピリピリした空気に包まれている。
市長が部長を怒鳴ることは日常茶飯事、時には教育長までも怒り上げる。
直接 課長に暴言を吐くことはないが、「報告受けてない」「聞いてない」「出ていけ」「出直せ」「やり直せ」が口癖、意に添わぬ時は 関係のない部署の決裁までストップ、1~2週間決裁が止まることも珍しくない。

こんな話もある。
課長がある企画について段取りをして市長に説明に行き、「よし、わかった」と決裁を貰った。しかし、翌日呼ばれ「これは何だ」と聞かれ「昨日決裁を頂きました」と言うと、「俺は判を押してない」と全てなかったことに。

亡くなった課長が働いていたのは そのような職場だった。




市長が期数を重ねると権力が集中し、こうした状況になりかねない。
以前は多選となると批判が多かったが、最近は4選も珍しくなくなった。
中には7期目を目指す首長もいるというので驚きだ。
また、高齢者特有の症状が顕著になり 周囲に様々な弊害を及ぼしている市長もいると聞く。

皆さん自治体の首長が、やる気を引き出すタイプか 追い詰めるタイプか ご存じですか?

井上市長、7選出馬へ!

斉藤国交大臣に違法状態を指摘されても改めようとしない大任町の永原譲二町長は現在5期目、多選がいかに望ましくないか教科書の様なケースと言える。
予算や人事の権限が集中する首長が長期間在任すると、政策や人事が硬直し 役所内は忖度が横行、また利権絡みで汚職の温床になりがちだ。



ところで、春日市の井上澄和市長が12月議会の一般質問の中で、4月の市長選で7選を目指す意向を表明した。
県議3期を経て、1999年(平成11年)4月に初当選し現在6期24年目、もちろん福岡県内の現職首長の中では最も長く、あのプーチン大統領(70)の在任期間を超えている。

だが、どんなに多選であっても選挙で住民が選べば何ら問題はない。井上市長はまだ 71歳、筑紫野市には 80歳で4期目を目指す大先輩もおられるので、7期目は通過点として9期目まではいけるという関係者の声も聞こえてきた。

市議会が おやつ代黒塗り企業を承認

春日市議会の最終日、放課後児童クラブの指定管理者の指定に関する議案の採決が行われ賛成多数で可決された。

再指定を受けたのは、あの「おやつ代の黒塗り」で知られる ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)、来年度から5年間の予定となっている。

採決前に討論が行われたが、賛成の議員からは
「議会は選考委員会での結果を尊重するべきだ」
「コロナ禍の中、ここまでやってきたテノには感謝したい」
という頓珍漢な意見が飛び出しズッこけた。
選考委員会の結果を追認するだけなら議会は要らないし、今後5年間で7億円近く支出する企業として相応しいかを審査するのに「感謝」してどうする?


一方、反対の議員からは、
「保護者の改善要求に対応しようとしない」
「支援員の入れ替わりが多い」
「学童保育やケガ病気対応のマニュアルが未だに整備されていない」
「収支決算書が黒塗りで透明性が確保されていない」
「指定管理者の選考委員会に市民や有識者を入れず、市の幹部だけで選定している」
という指摘があった。


最後の選考委員会だが、原則公募の指定管理者制度なのに 放課後児童クラブについてはテノ社ありきの非公募、しかも 審査結果は得点率69.5%(合格60%以上)と決して高くはない。

非公募に決めたのは市の幹部、点数をつけたのも市の幹部、こういう仕組みなら人事権を持つ首長の意向で何でも恣意的に進められる
大任町を彷彿とさせるが、春日市のガバナンスについても心配になる。

最終的に議会の議決なので口を挟むつもりはないが、弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育(2022年8月20日)」で報じた間食代や保険代等の実費徴収分について、賛成議員からは異論が出なかったということで 非常に残念だった。
「議会は公共事業の収支の非開示を容認」という 間違ったメッセージを テノ社に与えかねない。
市議の先生におかれては 国や県に問い合わせるとか 他自治体の状況を調査するなど最低限の仕事をして、情報公開を進めるよう市に働きかけて頂きたい。

但し、そのようなことをしなくても、井上澄和市長が公開すると決めればいいだけの話、簡単なことだ。


 

図書購入費も黒塗りの怪

春日市では、春日市民図書館をはじめ公共施設の指定管理者の「収支計画書」が黒塗りで公開されており、波紋が広がっている。

事の発端は、弊社記事「おやつ代と保険代を隠す学童保育」で報じた、 ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)が提出した 令和2年「収支報告書」が黒塗りになっていたことだ。

実費で徴収しているおやつ代が 適正に使われているか 黒塗りで分からない状態だが、春日市はテノ社から非開示の要望があったため黒塗りにしたという説明をしている。
だが、筆者の知る限り、福岡県や近隣市町村で 公共施設の収支報告書が黒塗りで公開している自治体はない。

そして今度は、テノ社の「収支計画書」までもが 黒塗りで提出されてきたのである。
これに対し、市議会で「他の公共施設の指定管理者の収支計画書は公開されているのにこれだけ黒塗りというのはおかしい」と疑問の声が上がった。
そこで市は、他の公共施設(スポーツセンターや図書館、児童センターなど)の指定管理者の収支計画者も一律に黒塗りするという対応に打って出たのだ。

下の写真は 令和4年度市民図書館の収支計画書、これでは 図書館がいくら分の図書を購入したかも分からない
公共施設、それもこの程度の情報を なぜ公開できないのか。
これは事業者が黒塗りにするように希望したのではなく、春日市の判断である。

テノ社の要求を優先したことで、他の事業者の収支計画書まで黒塗りにするという、情報公開の流れに逆行する対応で、あの「大任町」と同じという声が聞こえてきた。



市の判断で公共施設の収支計画書が黒塗りになっている件だが、8月31日の担当課への電話取材では、「これは一時的な措置で 公開する方向で検討しており、テノ社に公開するよう理解を求めていく」という説明があった。
2ヵ月前に取材した時は、「現在情報公開請求の不服審査が行われており、その結果を待って 統一して公開するか このまま黒塗りにするか判断する」としていたので、どうやら方針を転換した様だ。

現在、黒塗りの決定を不服とした市民と 春日市長が 「不服審査会」の場で争っているが、市長は弁明書の中で 黒塗りの判断が間違っていなかったことを主張する一方、市民の反論内容が「反論書の体裁となっていない」などと 強い言葉で全否定している。(下図)

「おやつ代がいくら使われているか知りたかっただけ」の、弁護士でもない 一市民に対し、完膚なきまで論破しようとする文面から、市民から選ばれたという謙虚さは感じられない。

「公開する方向で検討している」のが事実なら、これ以上不服審査会で争う必要はないはずだ。
直ちに 全ての黒塗りを公開し、市民に時間と労力を使わせ、礼を欠く言葉で対抗したことも含めて謝罪すべきだろう。


春日市ともあろう自治体が、一企業の要求を飲んだばかりに 辻褄が合わなくなり 迷走している。
これが 6期24年の長期政権と関係があるかどうかは不明だが、早く正常に戻ることを期待したい。

おやつ代と保険代を隠す学童保育

森友事件の黒塗り文書がそうだが、何でもない項目を隠せば隠すだけ疑惑は深まる。
やましいことがなければ 黒塗りにする必要はない。
今から約40年前、市として全国初となる情報公開条例を制定したのは 春日市ということだが、その春日市の指定管理者の事業報告書において、ただ一つの業者の報告書の一部が黒塗りで公開されており 話題になっている。

それは、放課後児童クラブの指定管理者である ㈱テノ.サポート(福岡市博多区)が提出した 令和2年度事業報告書(下図)の収支報告書である。

事業費予算が4594万7000円に対し、執行額が3975万3656円とマイナス619万3344円と大幅減。
一方で、その他(本部経費・諸経費)の予算が 360万円だったのに対し、執行額が2000万1845円で 1640万1845円のオーバー、執行率が なんと 556%という計算になる。

そして、一番問題と思われるのが、執行額のうち 間食(おやつ)代 2100万2900円、保険代 172万6400円が収入として入ってきているが、事業費の中で いくら使われたか 黒塗りになっているため 確認できないことだ。

このことについて 保護者から疑問の声が上がった。
当然だろう。

この程度の収支報告書なら何も黒塗りにする必要はなく、事業として必要なものに支出した場合は 内訳を示し 説明をして、保護者を安心させればいいだけだ。



これに納得がいかない保護者の相談を受けたある市議が、情報開示請求を行ったが黒塗りの箇所は開示されることはなかった。
非開示の理由として「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」とされていたという。

しかし、筆者が春日市庁舎内の情報公開室で、同年度における他の指定管理者の事業報告書を確認したところ、黒塗りにされている報告書はなく予算決算報告も詳細まで細かく公開されていた。

この点について市総務課に質したところ、「統一されていないことを認めた上で、テノ社からの要望があって黒塗りにしている。現在、市議から情報の非開示決定に対する不服審査が行われており、審査会の結論を待ってどちらかに統一する」ということだった。

市に主体性がなく判然としない。

春日市は テノ社の要望を聞き入れて黒塗りにしているが、他の自治体はどうか。
隣接する那珂川市や太宰府市において、春日市と同じ放課後児童クラブの事業で テノ社が指定管理者として運営している。

テノ.サポート学童保育所(放課後児童クラブ)

情報公開請求で、同じ収支報告書を取り寄せたが 印影以外に黒塗り箇所はない。
これを見て、あらためてこの程度の収支報告書で 黒塗りにする必要はないと確信した次第である。

そこで、福岡県や複数の市に指定管理者の情報公開のあり方について尋ねてみた。
「税金で運営し透明性が求められる公共事業で、指定管理者の予算書や収支報告書が黒塗りになることは考えられない」というのが共通の見解である。
つまり、春日市の方が普通ではないということだ。

太宰府市・那珂川市で公開されているテノ.サポートの報告書
(印影以外は黒塗りなし)

 

テノ社の要望で 市は黒塗りにしたというが、同社は福岡発の急成長した上場企業、代表にあっては 活躍する女性リーダーとして注目を集めている人物だ。
公の施設の管理を請け負うなら、あの程度の収支報告書は堂々と公開できるだろう。

だが、非開示に拘る理由、もしかしたらと思える点が1つある。

太宰府市・那珂川市と春日市の収支報告書を比べるうちに、「間食(おやつ)代」と「保険代」の取り扱いが違うことに気がついた。
両市においては間食代・保険代は指定管理料に含まれているが、春日市では別徴収になっているのだ。
令和2年度、テノ社は 間食代として2100万2900円、保険代として172万6400円を徴収し収入としているが、支出が黒塗りとなっているのである。
仮に、間食代と保険代を徴収しておきながら使ってないとなれば問題だ。
まさか、上場企業に限ってそのようなことはないと思うが、黒塗りになっているだけに妙な想像をしてしまう。

令和元年度まで春日市は、全ての指定管理者の収支報告書について公開しており、そこには公共事業の透明性を図るという ごく当たり前の方針があったはず、その方針を変えてまでテノ社の要望を聞き入れたということは、何か特別な力が働いたか。
担当課長レベルで判断できるはずもなく、おそらく「上」から指示があったと思われる。

その「上」が誰かは不明だが、市長は現在6期目、24年目に入った井上澄和氏だ。
まさか、井上市長ともあろう人が、おやつ代を黒塗りで隠すような せこい指示を出すはずがない。
これは何かの間違いと思われるので、事実確認をして黒塗りを止めて全て開示するよう指令がいくものと信じている。


プーチンと井上市長、任期が長いのは?

予算や人事の権限が集中する首長が長期間在任すると、政策や人事が硬直し 役所内は忖度が横行、また利権絡みで汚職の温床になるという指摘もあり、多選禁止(3選まで)条例を制定する首長もいる。
しかし、多選批判で初当選しながら4期も居座り、5期目をうかがうっている北九州市の某市長のように、一度当選すると公約を翻す首長も少なくない。

3期で12年、4期で16年、これでも随分長いと思われるが、現在6期目、任期を全うすれば 何と24年というスーパー市長が 福岡都市圏にいる。
1999年(平成11年)4月、春日市長として初当選を果たした井上澄和氏(71)だ。
その 8ヵ月後の12月、健康上の理由で引退するエリツィン大統領から 大統領代行に指名されたのがプーチン大統領(70)なので、いかに長いかお分かりだろう。

ある出版社が行った「住みよい街ランキング2021」で、福岡県内1位(全国11位)に選ばれたのが春日市だ。
福岡市に隣接し、西鉄やJR鹿児島線 及び博多南線(新幹線)の鉄道が走り、大型商業施設や救急病院、都市公園が近くて便利、警察署もあって治安も良い。
更には 子育て支援や教育などソフト面も充実しているところが高評価の要因だ。これらのまちづくりの成功は、ひとえに井上市長の手腕によるものと言って良いだろう。

一方で、これまで意に添わぬ市職員を冷遇したり、議会の場で市議を執拗に攻撃したりという一面も知られていたが、長期政権に加え 年齢による弊害が 市役所内で囁かれ始めたという。
また、選挙前のビラ配りなどの政治活動に動員させられているという複数の業者からSOSも聞かれ、後援体制に綻びが出てきた様だ。

栗原氏支持が定数の過半数超え・福岡5区

3月13日、春日市のクローバープラザにおいて、次期衆院選に福岡5区で出馬の意向を示している、栗原渉前県議会議長を支援する「くりはら渉さんを支援する議員団の会」が開催された。

自民党所属の議員を中心に、公明党所属や保守系議員らが参加、議員団の会の会長に就いた加地邦雄県議(南区選出)は、あと1期で引退を表明した現職を「鞘を捨てた小次郎」に例え、一致団結して栗原氏を支えていく決意を述べた。

現職との関係が近い市議らが多い筑紫野市・太宰府市を除き、栗原氏の地盤の朝倉市・筑前町・東峰村をはじめ、大野城市・春日市・那珂川市の保守系議員は全員が参加、福岡市南区の市議は5区(4小学校区)を地盤にしている議員で、いつ選挙があっても戦える体制づくりが着実に進んでいる様だ。

これで、5区内で栗原氏支援を明確にした市町村議員数は 82名となり、議員定数の過半数を超えたことになる。



くりはら渉 筑紫後援会発足式

12月19日午後、大野城市まどかぴあで前県議会議長、栗原渉県議の後援会発足式が開催された。
既に甘木・朝倉後援会は組織されているが、栗原氏の国政挑戦表明を受けて、票田となる有権者45万人の筑紫地区(筑紫野市・太宰府市・大野城市・春日市・那珂川市)における戦う体制づくりのため、新たに立ち上がった。
後援会会長にはナガノ電気㈱(本社 福岡市博多区)代表の長野正治氏が、副会長には筑紫地区から4名がそれぞれ就任した。

発起人代表の井上順吾県議(大野城市選出)の挨拶の後、自民党県連常任相談役の蔵内勇夫県議が登壇し、「党本部は一つの見解を出し、ボールをこちらに投げたが、これからも県連として一本化できるよう努めていく」「栗原氏を自民党の国会議員として押し上げていきたい」と述べた。

また、筑紫地区市長会の代表として、武末茂喜那珂川市長が登壇し、「自身の後援会を挙げて、栗原氏を応援していきたい」と、かなり踏み込んだ応援のメッセージを送った。

その後、栗原氏が登壇し、「課題は現場にある。現場を知り課題解決と地域経済の発展に取り組み、しっかりした社会を創って次の世代に残していきたい。」と力強く決意を述べた。

現職の原田義昭氏が、次の次は栗原氏を後継にすると明言した様だが、既に5区内の保守系の市町村議員88名が栗原氏支持を表明しており、流れは栗原氏に傾きつつあるようだ。


地方議員によるガンバローコール