トップが責任を取らない組織

昨夜エイプリルフールに悪乗りして 冗談みたいなニュースが配信されたと思ったら、今日の朝刊も同じ内容だった。
自民党の茂木敏充幹事長が、派閥による政治資金規正法違反を巡り、清和研と志帥会の議員、39人の処分を行う党紀委員会の開催を要請したという。

対象を「収支報告書に不記載がある議員」としたことから 処分の範囲が限定された。
そのため、
① 逮捕者を出した宏池会の領袖で、大臣規範に反し大規模パーティを開いた上、総理就任祝賀の脱法パーティを開催した岸田総裁
② 同じく、大臣規範に反し大規模パーティを開いた林官房長官
③ 逮捕者を出した志帥会の領袖で、50億円の政策活動費の使途が不明の二階元幹事長
④ 政治資金を資金管理団体からその他団体に移し、億単位の使途が不明となっている茂木幹事長
は不問となる。

収支報告書の不記載は、修正すれば法的に問題はないと強弁してきたのに なぜ処分するのか。
その答えは、国民の批判を真摯に受け止めるため 政治的責任、道義的責任を取ってもらうということだろう。

ならば、上記の4人はどうなる。

対象を決めたのはツートップの岸田総裁と茂木幹事長、普通の組織なら部下の不祥事の責任はトップが取るところ、この組織のツートップは自らの処分は検討しない意向を示した。
日々有権者と向き合っている地方議員からは、組織のガバナンスの在り方について説明がつかないと不満が聞こえてくる。

在任中パーティ自粛発言の余波

岸田総理は2月29日の衆議院政治倫理審査会における野田佳彦議員の質問で、「在任中はパーティをやることはない」と言わされてしまった。
かなり後悔しておられるのでは。

5日の参議院予算委員会では共産党の田村智子委員長が質問に立ち、総務省が岸田総理の政治資金団体「新政治経済研究会」の過去5年分の収入のうち、政治資金パーティによる収入額と割合を答弁した。(下表の通り)


令和4年にはパーティで1億5509万円もの収入があり、収入の98.4%を占めている。
これまで岸田総理が大臣規範に反し、「勉強会だから問題はない」とうそぶいてまでパーティを開催してきたのは、私設秘書や運転手、事務担当者の給与の支払いなど事務所を維持する費用を稼ぐ必要があるからだ。

「在任中はパーティをやらない」という発言を聞いて、林芳正官房長官もギョッとしたのでは。
林氏も外務大臣だった令和4年、パーティを8回開催し 8468万円の収入があった。


これから大臣になる先生方は、在任中は懐が寒くなることを覚悟しなければならないだろう。

安倍派更迭、二階派続投、総理はOKの基準は?

誰の入れ知恵か、早めに清和会の5人衆を切れば支持率が上がると踏んだ岸田総理だが、その後 次々と他派閥、そして自分自身にも疑惑が出てきた。
総理の人事の基準が不明確と批判が高まっている。

総理は、東京地検特捜部が強制捜査に入る前の段階で、清和政策研究会(安倍派)所属の大臣・副大臣を事実上更迭したが、志帥会(二階派)が家宅捜索を受けても 小泉龍司法相には「職責を果たしてもらいたい」と続投させた。
小泉法相と自見英子地方創生相が慌てて二階派を離脱したが、全く筋が通る話ではない。

また、しんぶん赤旗が、新しく官房長官に就いた林芳正氏が、昨年1年間で8回の政治資金パーティを開催し 8468万円の収入を得ていたことを報じた。
林氏が外相就任中だったことから、「閣僚は大規模パーティを開かないとする『大臣規範』に抵触している」と指摘している。

総理自身も11月29日の参議院予算委員会で、昨年1年間で政治資金パーティを6回開催、計1億4730万円を集めていたことが明らかにされた。
「大臣規範」で大規模パーティを開かないとされている理由は、省庁トップの大臣からの呼び掛けを利害関係者は断ることができないからだ。
総理は「パーティーに分類されるが、勉強会だ」と訳の分からぬ屁理屈をこねていたが、大臣規範の趣旨からするとパーティも勉強会も同じである。

更に、総理が会長を務めていた 宏池会(岸田派)も政治資金パーティの収入のうち、2018~20年の3年間で2千万円余りを収支報告書に記載していなかったことをマスコミ各社が報じた。
そして、総理個人に、政党交付金が含まれる選挙資金 192万円を着服した疑惑があることを 週刊ポストが報じている。

繰り返すが、清和会の大臣・副大臣は 強制捜査前に更迭された。
岸田総理には、自身や林官房長官が居座ることができる理由を、分かるように説明してほしい。

シン・選対委員長に期待?

総裁選に向けた内閣改造の中で、林芳正外務大臣の交代は妥当という声も多く聞かれるが、実績が評価されていれば留任となったはず。
4月の訪中では 親中と呼ばれていたにも拘わらず 習近平国家主席には会ってもらえずじまい、外交の席で ピアノを弾いた報道はあるも、とりわけ大きな成果は記憶にない。

ところで、一番話題になっているのが 小渕優子氏が自民党選挙対策委員長に就き、党4役入りをしたことだ。
サラブレッドで将来の首相候補と言われていたが、2015年には不祥事が報じられ 経産相就任1ヵ月で辞任した過去がある。

自民党福岡県連では、9区と10区の総支部長候補がそれぞれ 党員投票で決まり党本部に申請、しかし麻生副総理が9区の大家敏志氏の鞍替えに難色を示しており、県連の顔が潰されかねない状況だ。

県連としては、頑固な重鎮らの頭にドリルで穴を開けてもらい 民主的な党に再生するよう、若き 選対委員長に期待しているのではなかろうか。

衆議院議員 小渕優子 (おぶちゆうこ) 公式サイトより

維新の伊藤博文氏が衆院選出馬へ

日本維新の会は9日、衆議院選挙区支部長選任者6名の発表を行ったが、衆議院山口3区の伊藤博文氏(54)という名前が目を引いた。
同選挙区は、次期衆院選では選挙区の区割りが変更になり、安倍元総理の地盤の旧4区、下関市・長門市に、林芳正外相の地盤である旧3区のうち萩市、美祢市、山陽小野田市、阿武郡で構成される。

松下村塾があった萩市、外国船からの防御のために組織された奇兵隊の本拠地があった下関市が含まれ、維新の聖地と言えるだろう。
初代内閣総理大臣 伊藤博文氏も、松下村塾で吉田松陰先生に学んだ一人、その功績は説明するまでもなく山口県民の誇りとなっている。






その聖地で支部長に選任された伊藤博文氏、伊藤氏については弊社記事でも一度取り上げたことがあるが、沖縄戦で亡くなった祖父が 戦地から家族に宛てて送り続けていた絵手紙を紹介しながら、各地の学校や公民館などで平和をテーマに講演活動を行ってきた人物として知られる。

弊社記事「沖縄戦の慰霊碑修繕、CFで支援を募る(2021年11月10日)」

今年4月の統一地方選では、県議選に福岡市城南区から立候補、組織戦を展開する自民系の候補にわずかに及ばなかった。

今回、新しい区割りの山口3区が面白いのは、林芳正外相の次期衆院選公認が決まり、安倍晋三元総理の後継者、吉田真次氏が比例中国ブロックに回ることが決まったが、林氏に対する反発がある。
それだけではない。

2年前の旧3区の衆院選で林氏が衆院に鞍替えし、そのため 河村建夫元官房長官の後継の建一氏は押し出され、比例中国四国ブロックでの出馬も許されず、北関東ブロックで立候補し落選するという屈辱を味わっている。
建一氏は次期衆院選で、東京6区で日本維新の会から立候補を予定しており、自民党山口県連が7月18日付で 建一氏の除名処分を決めた。

こうした経緯があり、安倍元総理や河村氏らの反発票が 林氏にそのままいくことはないだろう。
維新の聖地で伊藤博文氏がそれらの受皿になり、現職外相を脅かす存在になるか、今後の展開に注目だ。

割れる総理の評価

新政権発足当時は期待薄で低かった岸田内閣の支持率が上昇している。
この短期間でいくつか政策のブレがあったが、世論に敏感に反応し、「聞く力」で持って 速攻で軌道修正するところは これまでの総理とは違う。
今日から通常国会が始まるが、一度決めたことは頑として変えない安倍・菅政権と違って、野党は責めづらい様だ。

こうした意外な強かさをもつ岸田総理を評価する声がある一方で、新政権発足後の一丁目一番地とされる日米首脳会談が就任から3ヵ月経っても開催されていないことを取り上げ、外交が上手く行っていないと指摘する識者もいる。
林芳正外相が 就任後に行った中国の王毅外相との電話会談で、中国訪問を打診され 調整を進めると発表した(後に修正)ことが、米国から岸田政権が中国寄りと見られている様だ。

マスコミは、林外相が12月11日のG7外相会合の夕食会で「イマジン」のピアノ演奏をしたとして 上々の外交デビューを果たしたと報道したが、実はメインのイラン問題についての協議には参加させてもらっておらず、信用されていないことを伝えていないという。

岸田総理はテレビ映えし、前総理と比べて受け答えも明瞭で好感が持てる。
だが、我々をどこに連れていこうとしているのか、どんな未来にしようとしているのか、今一つ伝わって来ない。

河村建夫元官房長官の英断

自民党甘利幹事長から 出馬見送りを打診されていた 山口3区の河村建夫元官房長官(78)が、それを受け入れ 引退する意向を固めたという。

さすが、元官房長官だけあって英断を下されたと思う。
エゴを貫いて 足元から反発されるようでは、何のために政治を行っているのか分からない。
おかげで同区では 保守分裂を回避できた。

そして 同様に 公認が保留になっている福岡5区は、明日15日までに 決定するという。
現職の原田義昭元環境相(77)も全く同じ状況だ。

昨日、共産党の立候補予定者が出馬を取り止め、立憲民主党の堤かなめ氏(60)の支援に回ることを発表した。
このまま保守分裂で選挙に突入すれば、共倒れの可能性は高い。

元官房長官と年齢も近い 元環境大臣にも 英断があるかに注目が集まっている。

本気で喧嘩できるか

来月17日告示 29日投開票と決まった自民党総裁選であるが、これほど国民の心が離れているにも拘わらず、派閥のリーダーは 相次いで菅総理支持を表明している。
そうした中で唯一、宏池会の岸田文雄前政務調査会長が26日、「国民の声に耳を澄まし、政治生命をかけて新しい政治の選択肢を示す」と述べ 立候補を表明した。

昨年は、安倍前総理からの禅譲の思惑が外れ、総裁選に出馬するも大差で菅氏に敗れた。
そしてこの1年は散々だった。
特に、4月の参議院広島選挙区再選挙では、河井議員夫妻逮捕の影響で 宏池会が全面支援した自民候補が敗れ、衆院広島3区に公明党に先手を打たれ自民候補を擁立できなかった。
7月には派閥のパーティで秘書ら 5人がコロナ感染と報じられる。
勝負弱さに加え、ツキのなさを感じてしまうのだ。

次期衆院選で、林芳正元文部科学相が勝ち上がれば 宏池会の総理候補になるのは確実、これがラストチャンスになるかもしれない。

今回、「菅総理にノー」という票の受皿になれるかが鍵だが、お坊ちゃまというイメージが定着している岸田氏に、我が国を任せていいものかとも思う。
多くの国民は、相手が二階幹事長だろうが安倍前総理だろうが 喧嘩を吹っ掛け、ねじ伏せるくらいの 猛々しい姿を期待しているのだが。

山口3区

老人8人の集まりでステーキを食べた菅義偉総理大臣が、行動自粛を叫んでも若者は聞く耳を持たず、コロナ感染は拡大するばかり、1都3県に緊急事態宣言を発出しても、「時既に遅し」との感がある。

国会が開会しても菅総理は、伝家の宝刀である国会解散も出来ず、マスコミが世論調査を実施するたびに内閣支持率は下がっていく。

既に一部マスコミは総選挙の予想を行っているが、特に注目されているのが山口3区の選挙区だ。

正式な表明はしていないものの、岸田派の林芳正参議院議員が出馬を決意し、早くもポスターなどの準備を進めている様だ。
現職の河井健夫衆議院議員は病気を理由に、議員在職30周年パーティーも欠席したそうだが、もう既に裏で決着したとの情報も聞こえてくる。

同時に安倍晋三前総理の地盤にも、小さな亀裂が入り出したとの噂もある。



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下関市長選挙

平成29年3月に実施された下関市長選挙は、自民党内部の勢力争いとして語り草になっている。

新人の前田晋太郎氏(当時40歳)は、安倍前総理の秘書を務め市議2期目、自民党から公認を受けた。
迎え撃つ現職市長は中尾友昭氏(当時67歳)、林芳正参議院議員に近い人物で、実質2人の一騎打ちとなった。

ファーストレディだった昭恵夫人が、元秘書の為に東京から応援に駆け付けた甲斐あってか、前田氏が3000票余りの差をつけて中尾氏を破り、初当選を果たした。
安倍事務所や後援会の幹部らが、山口のみならず東京の街も闊歩し、祝杯を挙げたことは言うまでもない。

あれから3年半が経過し、今年9月24日、前田市長が来年3月14日投開票の市長選挙に2期目を目指して立候補する意向を示した。
しかし、下関市も高齢化と人口減少に歯止めが掛からず、思うように市政運営がいかない中、安倍氏周辺が騒がしくなり、歯車が狂い始めた様だ。
熱心だった安倍支持者の一部も距離を置き始めており、早くも苦戦を強いられているという情報が伝わって来た。

代理戦争~下関市長選挙

今度の日曜日、3月12日が投開票日の下関市長選挙は、地元参議院議員の林芳正元農相が推す現職の中尾友昭氏(67)と、総理の元秘書で前市議の新人、前田晋太郎氏(40)が激しい選挙戦を戦っており、下関市を二分する代理戦争になっている。

両陣営ともに、親の代からの政争が続いており、市庁舎建設でも意見が分かれて、現時点では総理が後ろ盾になっている、新人が有利な様相を呈している。

しかし国会では森友学園問題で、安倍昭恵夫人の行動が取り上げられ、安倍総理は窮地に立たされており、答弁でも苛立ちの様子が目立ち始めているのが、テレビでも放映されて話題になりだし、現職の巻き返しが強くなって、現時点では五分五分になってきたようだ。

下関市長選挙~3月12日投開票

先日来、第二の森友学園としてマスコミの俎上に上ってきているのが加計学園(岡山市)で、同学園が運営する岡山理科大が新しく獣医学部を開設するに当たり、候補地の愛媛県今治市が、市有地16.7ヘクタール、時価36億円余りを無償譲渡し、さらに獣医学部の施設整備費も96億円を限度として、助成するため議案を3月市議会に提出するというもの。

同学園理事長は安倍総理と親しく、さらに昭恵夫人が名誉園長という構図も同じであるところから、日本共産党の国会議員など数名が現地調査に入ったようだ。

その一方、安倍総理のお膝元、下関市では3月5日公示、3月12日投開票の日程で、保守分裂の下関市長選挙が今たけなわ。

立候補しているのは3名、現職の中尾友昭氏(67)は林芳正参議院議員の支援を受けており、また自民党所属の前市議、前田晋太郎氏(40)は安倍総理の元秘書だった人物、そして3番目は無所属で元市議の松村正剛氏(63)だが、自民党市議団18人は自主投票の模様。

地方選挙とはいえ、安倍総理の地盤だけに、関係者の間では解散総選挙を占う選挙になるかもしれないと噂されている。