藏内氏接戦を制す・筑後市県議選

9日、福岡県議選と福岡市議選の投開票が行われ、注目の筑後市選挙区(定数1)では、現職の藏内勇夫氏(69)が新人で元副市長の北島一雄氏(66)を僅差で退け10期目の当選を果たした。

蔵内 勇夫 自現 9,889 (当選)
北島 一雄 無新 8,237

北島氏には、西田市長や元議長の原口英喜氏、公明党の支援に加え、表では藏内氏を応援しながら藤丸敏衆院議員が動いているとの話も聞かれた。
県議選に挑戦するため、任期途中の今年1月10日付で副市長を辞職しているが、この時点ではかなりの勝算があった様だ。

アジア獣医師会連合会長、自民党県議団相談役等を務め、県政トップと言われる藏内氏だが、令和3年11月の市長選挙で藏内氏が推す新人候補が現職の西田正治市長に敗れた経緯があり、かなりの危機感を持って臨んでいた。
過去4回が無投票、本格的な選挙は20年ぶりということで、後援会を固め直すところからスタート、小まめに集会を開催し対話を重ねていった。

厳しい戦いが予想される中、流れが藏内氏に傾いたポイントは 3月19日に行われた公開討論会ではなかろうか。
経験に勝る藏内氏がこれまでの実績に加え 今後のビジョンと個別政策を詳細に説明したのに対し、北島氏は具体性に乏しく役者の違いを印象づける内容だった。
出席者約300人のほか、動画配信で2000人以上が視聴しており、浮動票への影響は少なからずあったと思われる。

公共工事の地盤沈下で提訴

公共土木工事による地盤沈下で損害が生じたとして、筑後市が2件の裁判で訴えられている。

1件は平成14年に行われた河川改良工事終了以降、原告の住む土地が河川側に傾き始め、建物のひび割れ、各所に歪な隙間など様々な被害が発生、しかし市の担当者は西方沖地震の影響とするなどして瑕疵を認めなかったという。
その後協議が打ち切られたため 令和元年9月、4590万円の損害賠償請求で提訴に踏み切った。

もう1件は平成28年の下水道管渠布設工事終了後、連続する家屋3軒の土地で地割れ、建物のひび割れ等が発生したため、代理人弁護士より筑後市長宛に話し合いによる解決を求める内容証明郵便を送付したが、完全に拒否されたため令和元年12月、合計7227万円の損害賠償を求め提訴した。

2件とも原告の弁護は同じ法律事務所が担当、市が事前の現地調査を行っておらず、基本的な施工方法がされていない点が共通し、建築基準法違反が随所に見られるなど市の監督責任があるとしており、裁判の行方が注目されている。


家屋の随所に亀裂が散見される

「広報ちくご」は私的メディアか

市長選挙が始まった筑後市役所の関係者から、「広報紙の表紙を見て下さい」という連絡を頂いた。

広報紙を発行する自治体は、住民に興味を持って 読んでもらうために いろいろと工夫をするものだ。
特に表紙は重要で、季節ごとの行事に参加した一般市民、特に子どもたちの笑顔の写真が採用されることが多い。
数ある情報のうちどれを掲載するか、どの写真を使うかなど、編集担当職員がアイデアを出し合い、ゲラが出来上がると 管理職、そして最終責任者の首長が決裁するという流れである。

さて、広報ちくご11月号の表紙(下写真)は、建設中の保育園で 子どもたちと市長が写っている写真で、「新しい園舎で何したい?」というタイトルが付いている。
役所の広報では、建物が完成してからお知らせするのが一般的だ。
建設現場に現地視察に来た市長のところに わざわざ園児を呼び出し(ヘルメットも着用せず)
記念撮影をする意味がどこにあるのだろうか。
次ページには、「市への移住・定住のきっかけになる施設となることを期待しています」との市長の言葉まで掲載している。




さらに、ページをめくり 見開きの「ちくご日和 ~まちの話題~」というコーナーには、7つの記事全てに 市長が収まる写真が掲載されている。
福岡市にも 市政だよりがあるが、あの高島市長ですら このようにページを独占しているのは見たことがない。



市長の写真を多用する編集は年間通してなのか、念のため 過去の広報紙を全て確認してみたところ、ここまで市長の写真が多用された例はなかった。
平成29年11月号(下写真)では、表紙が運動会の写真、子どもたちの綱引きに当然市長は写っておらず、また「ちくご日和」は 半ページで、市長が写る写真は1枚だけだ。

広報ちくごは、総務部総務広報課が編集とされているが、自身の写真を多用するよう指示をしたのか してないのかはともかく、発行責任者は市長、広報の私物化と指摘されても仕方がないだろう。

また、選挙管理委員会は 今回の広報11月号の表紙を問題視していないというが、選挙管理委員会の事務局は総務広報課が兼任しているというから驚きだ。

福岡都市圏のある自治体の選挙管理員会の委員は、「公正公平な選挙が行われるよう監督指導すべき選管事務局が、市長選挙のある月の広報紙に現職市長の写真を多用することを 事前に知り得ていたなら、当然 ストップをかけます。福岡都市圏では考えられません。」と話す。

市長直属の総務広報課が選管事務局を兼ねているのは 殆どの地方自治体で同じだが、だからこそ 選挙近くに 広報紙には 公平性を疑われるような内容を掲載しないよう細心の注意を払うものである。

田舎の役所だから何でもありという時代でもない。
選挙は 公平公正に行われるべきで、選挙月に現職市長の写真を多用する広報紙を 平気で発行する市役所を、市民が信用するはずがない。
「法に触れないからいい」ということはなく、市民を分断するようなやり方を 市役所が行うべきではない。

最終責任者は市長だが、編集の決裁をした管理職にも責任がある。
最近の公務員はコンプライアンス意識も高く、今回の広報紙の公平性に疑問を持つ市職員は少なくない。
日々 市民と向き合い 真面目に業務に励んでいる 部下が見ていることを 忘れてはいけない。



 

自民党県議団、JAに筑後の土地取得疑惑で調査要請 ④

ー 方向はひとつ ー

自民党県議団が動いたことで、組合員らは力強い援軍をもらった形だ。
ただ地元では、怪文書をきっかけに別の思わぬ波紋が広がっている。
同文書には、「なぜ大物議員に情報を漏らしたのか?」との見出しもあるからだ。
大物議員とは、地元選出の蔵内勇夫県議を指していると思われる。
その後も、組合の会合でこの問題が話題になった際、ある組合員から県議の名前が出てきたという。

確かに、パール社が土地購入を決めた頃と時期を同じくして、全農ふくれん幹部が筑後市長に面会した際、蔵内県議が同席したことは事実のようだ。
その時は全農ふくれんの事業の件での訪問だったが、その際に、同系列のパール社が駅裏に工場建設を予定している旨、市長に報告があったとしても何ら不思議ではない。

しかし、同席したというだけで「情報を漏らした」との情報が独り歩きし、まるで6億円の取引に関与があったかのように印象づけられてしまっては、県議にとっていい迷惑だろう。
そもそも怪文書は、その「情報」の内容や、情報と県議や土地取引との関係については何も述べていない。まさに最近流行りの印象操作の感がある。
巻き添えを食った形の県議や自民党県議団も余りに度が過ぎると立腹しており、繰り返される場合は法的措置も視野に入れているとの情報もある。

重要なことは、土地の価格が2年間で3倍になった事情の解明だ。
もし仮にJA予算から合理性のない法外な支出がなされ、しかもそれが全て東京の机上で決められたということであれば、情報収集、経理、監査に問題があると言わざるを得ない。
JAという組織が持つ「個々の農業者が互いに助け合って、営農と生活を守り高める」という目的から逸脱していると言ってよいだろう。

今、自民党県議団と地元の組合員は同じ方向を向いている。
JA全農の体質を、ここ福岡から問う良い機会と捉え、歩調を合わせていくべきではなかろうか。

― 了 ―

自民党県議団、JAに筑後の土地取得疑惑で調査要請 ②

ー 舞台は筑後、役者は東京 ー

東京都に本社を置くパール社は、用地取得に際し、土地の選定や仲介をJAグループの ㈱全農ビジネスサポート(東京都)、不動産鑑定をアデックスリサーチアンドコンサルティング㈱(以下アデックス社、東京都)に依頼、そして、福岡でサポートしたのが JA全農ふくれん(福岡市中央区)である。

価格決定の経緯についての組合員からの質問に、全農ふくれんは、「不動産鑑定業者の評価により価格を決定した。不動産鑑定は近隣地域での取引事例の価格を基にした取引事例比較法によって算定された。」と回答している。

しかし、同用地は都市計画法で用途が制限された工業地域で、市内の工業地の公示地価は約4.5万円/坪、商業地でも15.5万円/坪とされており、組合員らにとって到底納得いく回答ではなかった。

また、不動産鑑定を行ったアデックス社は、ホームページが存在せず、公益社団法人「日本不動産鑑定士協会連合会」のウェブサイトの業者検索でも、会社名はヒットするものの「(同社に)所属個人は存在しません」と表示され、実体がよくわからない会社である。

舞台は筑後市、JAの大型の施設建設の取引が行われたにも拘わらず、役者は全て東京、頼りの全農ふくれんからは十分な回答は得られない状況が続き、組合員らの不信感は募るばかりだった。

弊社も、パール社、全農ビジネスサポート、全農ふくれんにそれぞれ取材を申し込んだが、「個別の取引については回答できない」とのことだった。
また、アデックス社の代表を務める男性に電話取材を申し込むも、守秘義務があることを理由に断られてしまった。

ー 続く ー

自民党県議団、JAに筑後の土地取得疑惑で調査要請 ①

10月13日、福岡県議会自民党県議団、農政懇話会(原口剣生会長)は、JA全農(東京都)に対し、全農パールライス㈱(以下パール社、東京都)が、筑後市の日清製粉工場跡地を2年前と比較して約3倍の価格で購入した具体的経過について、調査及び説明をするよう要請した。

ー 出回った怪文書 ー

2014年4月、JR羽犬塚駅西側に隣接した日清製粉㈱筑後工場が閉鎖され、2016年5月に広川町の不動産会社が同工場跡地(約5466坪)を3億3000万円(6万371円/坪)で購入、2017年12月には筑後市が市道として土地の一部約204坪)を約1248万円(6万1050万円/坪)で購入した。
しかし、その7ヵ月後の2018年7月には、パール社が同不動産会社より 9億5000万円(18万548円/坪)で購入し、価格が約3倍になっていた。

一連の売買は民間同士の契約で他人が口を挟む余地はないが、問題は購入したパール社がJA(農業協同組合)グループということだ。
不動産取引の売買価格や面積は通常当事者以外は知り得ない情報だが、間に入った不動産業者は、約2年で6億円以上の利益を手にしたことになり、関係者の間で噂になっていた。

今年6月頃、「農業の自立を考える会」という団体名で、土地取引の履歴と地元の政治家の関与をほのめかす怪文書が筑後市内に出回り、JA組合員からは事実の解明を求める声が上がり始めた。

ー 続く ー

JAの怪

農水省の指導で、福岡県内20のJA組織を一つにまとめるよう改革が進められているが、同じ組織でありながら農業主体型と、金融主体の都市型では収益性に大きな開きがあり、思惑通りには進まないようだ。

筑後市の工場跡地を約3億3千万円で購入した業者から、全農パールライス㈱(東京都)が2年後に約9億5千万円で購入したことが話題になっている。

民間同士の取引だが、東京の不動産鑑定会社が出した価格に沿って購入したというJAの説明に、地元農協の組合員らが納得しておらず、同時に地元警察も捜査を行っていると聞く。

脚本は東京で書かれているだけに、地元警察の捜査では荷が重く、福岡県警の2課か福岡地検が乗り出さないことには真相究明には至らないだろうと、関係者は語っていた。

筑後市のPR動画

最近は地方自治体も様々なPR動画を企画制作している。
プロ野球ソフトバンクホークスのファーム球場がある、筑後市も「恋のファーム♡chiku-go」を初お披露目!可愛い女性3人が、楽しいダンスパフォーマンスを披露!是非ご覧ください。
そして筑後市に足を運んでみては!

「恋のファーム♡chiku-go」
https://www.youtube.com/watch?v=wUS5G_y1xC0

 



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