JR九州住宅・過去の決算書を修正(前編)

JR九州は2020年3月期の決算短信を公表し、6月には株主総会を控えているが、連結子会社が過去の決算書を修正したことが関係者の間で話題になっている。

JR九州の子会社、JR九州住宅㈱(福岡市博多区吉塚本町13−109 代表者島野英明氏)が、2018年3月期の損益計算書及び貸借対照表、2019年3月期の損益計算書の数値を変更したことが判った。
JR九州住宅は、建設業の監督官庁に今年3月12日付で過去の決算書を含む法定書類を修正して提出したが、2018年6月に退任した松尾前社長の時代に行った粉飾決算を本来の形に戻したものである。

対象となった物件は2018年5月末に完成引渡しされた糸島市のタウンハウス、修正前の「工事経歴書」には2018年3月期決算の締日である2018年3月31日完成、建築代金の合計は3億7200万円とされていた。
それに合わせて決算書も作成され、本来であれば2019年3月期に計上すべき売上3億7200万円が、2019年3月期に前倒しされていた。

施工会社から施主への物件の引き渡しは工程上重要な節目であるため、本来は受領した日に施主の社印が押されるところだが、この物件の鍵受領書は「仮」とされ、日付が 平成30年(2018年)3月31日、受領者の欄には施主の社員の個人名と認印が押されている(写真)。
おそらくこの書類を 3億7200万円前倒しの根拠にしたと思われるが、この操作により2018年3月期の営業利益・経常利益・純利益は赤字を免れている。
粉飾されたままJR九州住宅の決算書は公告され、JR九州の2018年3月期連結決算の一部となった。
これは前社長の松尾氏の指示だったかもしれないが、社長一人でできるものではなく、他の役員や監査、更にはJR九州の幹部も同意していた可能性も否定できない。

(続く)

JR九州住宅・前代未聞の決算書修正

JR九州住宅の平成31年3月期の決算書類等の事業報告書に、数字の不整合が随所に見受けられていたため、監督官庁から建設業法に基づく聴取が行なわれ、再三に亘り修正を求められていたが、5回目の提出でようやく受け付けられた。

驚いたのが、同31年3月期だけでなく、1年半前に提出された同30年3月期の決算書の数字までが書き換えられたことだ。

売上高と売上原価の項目で、建設工事の金額と兼業事業の金額をそれぞれ増減させ調整を図った。

これに付随して、工事原価のうち外注費を平成30年3月期で約1億円増額、同31年3月期で約3億円減額修正しており、通常考えられない相手先がある外注費の増減がなされている。

取引先や関係者などから、JR九州グループの社内監査体制や決算書に問い合わせが相次いでいる。



続きを読む

JR九州住宅・公開続く決算変更届の誤記載

JR九州住宅㈱が監督官庁である九州地方整備局に提出した決算変更届であるが、7月末に提出されてから3ヶ月経った今でも、誤記載のまま公開され続けている。

決算変更届は、建設業法で提出が定められており、施主が施工業者を選定する際の判断材料にすることもあるため、誤記載のまま公開を続けているのは「国民を騙している」と指摘する声もある。

今回、1年前の平成30年3月期の決算変更届から誤記載があったことも判明しており、JR九州グループにあるまじきお粗末さである。

JR九州は子会社の監査を担っているが、その責任において、子会社の決算変更届の修正を急ぐべきではなかろうか。



続きを読む