初心を忘れたJR九州

JR九州が昭和62年に民営化してからは、鉄道事業に留まらず旅行業、FC、小売業、農業など幅広い分野に事業を展開していったが、平成31年3月期にはグループ全体で4404億円の収益のうち、建設業が917億円、不動産・ホテルが726億円を占めるようになり、今や九州トップクラスの不動産業者と言っても過言ではない。

2月4日に当サイトで報じた問題の分譲マンションは、民営化後のJR九州が初めて取り組んだマンション事業と言われ、事業に乗り出して間もない頃は、竣工後に起きたトラブルの対応に社員が真摯に向き合い、迅速かつ丁寧に対応することで、顧客から一定の評価を得ていた。

問題のあったマンションで、竣工から5年が経過した頃に5階の1室において、階上のルーフバルコニーから室内に雨漏りがした際も、防水処理工事と天井及び壁のクロス張り替えなど直ぐに対応してくれたという。

しかし、マンション開発でノウハウを得た後はMJRシリーズの販売を開始するなど、JRブランドをフルに活かして急成長したことは周知の通りだが、事業も20年経つと顧客への対応が粗雑になってきたようだ。

平成28年に同マンションの玄関ドアが開閉困難になった際、管理組合がこれまで通りJR九州に修理依頼をするも、当初は他会社に対応を押し付け、協議にすら出て来なかった。

その後、一旦は協議の窓口になることになったが、建物構造の調査の結果、水平レベルで最大高低差が104mmあることや、基礎杭が支持層に未到達の疑いがあることが判明してからは、再び他社に対応を押し付け、窓口ではなくなった旨を管理組合にメールで一方的に通告してきたという。

昨年6月に開催されたJR九州の定時株主総会において、この件についての対応を問われた際、執行部は「話を賜って対応する」、「今後の対応については倫理憲章に則り誠実に進めていく」と回答したものの、その後も自ら話を聞く場を設ける気配はない。

自身が販売したマンションに問題が生じているのに、住民と向き合うどころか逃げ回っているのは得策ではない。
むしろ、傷口を広げるだけだ。

マンション事業を始めた頃の初心に戻って、真摯に問題に向き合うことが肝要ではなかろうか。



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近郊散策~JR九大学研都市駅

今宿街道の旧大字徳永から大字女原にかけた一帯の中心部に、JR筑肥線九大学研都市駅がある。ほんの10数年前、202号バイパスは既に通っており、筑肥線も高架になっていたが、九大学研都市駅は影も形もなかった。ただ、区画整理上必要だったのだろう、片道1車線程度の道路が一部出来ていただけで、福岡大学の野球場とサッカー場だけは現在地にあった。その後の大字徳永および大字女原の変貌ぶりはご存知の通りで、町名も新しくなり、現在は西の副都心をイメージしたのだろうか、福岡市西区西都1丁目や2丁目などと呼称されている。

ところでこの九大学研都市駅周辺はしばらく分譲マンション建築がお休みだったが、現在3棟の大型マンションが開発されているため、9月23日秋分の日に、一帯を散策してみた。

昔パチンコ店のフェスタ今宿店があった場所で、14階建ての「MJR九大学研都市レジデンス」161戸が基礎工事の段階。建築は松尾建設。竣工予定は平成29年3月。

西隣には、ドン・キホーテ福岡西店が10月から着工される模様。

ちょうど、今宿街道をはさんだ北側には、ラーメンで評判の「安全食堂」がある。今日は祝日でお休み。

ドン・キホーテ予定店舗の西南20メートルにはコメダ珈琲店があり、


さらに南側に行くと、約100メートルで焼肉のワンカルビ。

そして筑肥線高架をはさんださらに南側で、第一交通産業が住居107戸、店舗4戸、合計111戸の大型分譲マンション「九大学研都市タワー19」を開発中。


ゼネコンは吉川工務店、名前通り19階建て、竣工は来年2月。残戸数は1戸。

道路をはさんだ東側に福岡大学付属大濠高校野球場があり、そのさらに東側には福岡大学の野球場がある。

マンション西隣は西区役所の出張所である「さいとぴあ」。
再び九大学研都市駅の北側に戻ると、町名の西区西都からはほんの数十歩しか離れないが、西区周船寺で大阪のサンヨーホームズが新たに116戸、12階建の大型分譲マンション「仮称・サンメゾン九大学研都市エルド」を開発する。

写真手前も広大な更地になっているが、ここではない。


ここは棒ラーメンで有名なマルタイの本社工場があったところで、現在同社は西の丘近くの中村学園三陽中高校の隣に移転している。

元春田勲志商店の跡地にサンメゾンシリーズが建築される。写真で見ればわかるように、未だ解体工事の最中で、


どうやら来月いっぱいかかる模様。計画書によれば、着工は11月だが、ゼネコンは公表されていない。
隣の大きなマンションは「ストリームライン周船寺」。手前は周船寺3号公園


ところで、ここから南へ約400メートル、筑肥線を超えたところに大きな前方後円墳がある。


時代は5世紀半ば。前方部は三段。


今宿から周船寺にかけては5世紀半ばの古墳が数多くあり、福岡市中心部よりも大昔は栄えていたエリアだったという声もある。下は石室。

そのためかどうかはわからないが、毎年お盆前には奉納和太鼓や奉納獅子舞、奉納花火大会が行われている。



このエリアはまだ需要があるだろう。

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福岡都心部の高額マンション~誰が買う?

福岡市中央区の浄水通りから薬院、桜坂、赤坂、そして大濠、六本松など、福岡都心部では高額マンションが相次いで着工されている。
これらが竣工した暁には一挙に中央区の人口が増加、どこの小学校区に建物を振り分けるか、市役所は線引きの真っ最中だという。
そのすべてで価格帯が発表されている訳ではないが、業界関係者によれば、3LDKで5000万円は下らないだろうということだ。
その価格で売れるのかと一瞬思ったが、よく考えてみれば、高額所得者は全国にいるし、株価2万円で一段と増えており、また海の向こうには爆買いの中国人が溢れている。
中国バブルは崩壊が始まったと昨年来言われ続けているが、先日の春節の時期の訪日客の買物ぶりを見るとただ事ではない。
テレビ東京で「YOUはなにしに日本へ」というバラエティがあり、関空や成田で外国人に来日した目的を面白おかしく取材している番組がある。
再放送だったが、先日は「日本のお土産はなに?」という企画だったが、どういうわけか東南アジア、欧米人とも大多数が買っていたのが、キットカットの抹茶味、翌日、サニーで買って食べてみたが、あんまり好みではなかった。
番組の中でびっくりしたのが、日本の語学学校に短期留学していた19歳の女性で、父親へのお土産として「ひげそり」が5~6個、数10万の「時計」が5~6個」を含めて200万円弱買って帰ろうとしており、大型のキャリーバッグを買い増しし、それらを山積みしたカートを一人で2台、四苦八苦しながら使っていた。
話がそれた。
「虎もハエも叩く」習近平主席が汚職官僚を世界中に手配しており、バブルは崩壊したといわれる中国だが、まだまだ需要は期待できるということなのだろう。
だから前述の業界関係者によれば、販売先は中国人30%、東京20%、福岡以外の道府県人30%、地場福岡で販売するのは20%だという。
投資、つまり賃貸に回すという意味ですか?と尋ねたところ、福岡に100万円前後の家賃を払える高額所得者はほとんどいないから、福岡に遊びに来た時の仮の住まいで、実需ではない、仮需だよ、とのことだったが妙に納得できた。 続きを読む