ツートップ交代の理由

新国立競技場の設計で知られる ㈱梓設計(東京都)は、福岡市でも総合体育館 (TERIHA SEKISUI HOUSE ARENA)、福岡市美術館リニューアル、福岡空港国内線旅客ターミナルビル、そして現在建設中の福岡市民会館と 馴染みが深い。

その梓設計で 今年8月、社長が会長に、副社長が相談役に、それぞれ第一線から退く人事が行われたが、売上を上伸させてきたツートップの同時交代だけに驚きをもって受け止められた。

ところで、弊社は 過去に梓設計が担当した複数の新体育館の建設工事の入札で予定価格を上回る不落が続いたことを報じている。
過去記事

2019年10月に行われたSAGAアリーナの入札は象徴的で、144億円の予定価格に1者JVのみが参加し 57億円も超過し不落となる。
その後、予定価格を196億円に引き上げた再入札では 1回目と同じJVのみが参加し 195億円で落札、露骨な価格吊り上げではないかと県議会でも問題になった。

こうした中、20年4月に久留米市の建設会社の実質経営者が「暴力団との密接な関係」があったとして福岡県警に逮捕され、その後、梓設計が請け負った神奈川県の公共工事で、スーパーゼネコンの一次下請に 同社が入っていた事が判明した。
第三者調査委員会を設置して真相究明を進めるべきという外部からの指摘もあったが、何事もなかったかのように 梓設計は営業を続けてきた。

数年前から世代交代が議論されてきたという今回の人事だが、建設業界では距離を置こうとする動きも出ていたとの話もあり、イメージ刷新のためにツートップ交代をせざるを得なかったのではと見ている関係者が多いようだ。

情報公開に消極的な自治体

平成26年に一般競争入札が行われるも不落となり、その後予定価格が4億5千万円引き上げられ 中堅ゼネコンが落札した太宰府市総合体育館建築工事について、市民が市が作成した見積額に関する資料を情報公開請求したが、市は一部を非公開としていた。

市民側は非公開処分の取り消しを求め提訴していたが、福岡地裁は30日、処分の取り消しを命じる判決を下した。

仕事柄、国や自治体に情報公開請求をすることがあるが、黒塗りの箇所があまりにも多いことに驚く。
個人情報の部分は仕方ないとしても、業者選考の際の点数や金額などまで黒塗りになるから意味不明だ。

首長の権限が異様に強い、地方のガラパゴス自治体ほど その傾向が見られる。
これは、安倍政権が「赤木ファイル」や「桜を見る会」の関連資料などを ひた隠しするなど、悪しきお手本を示してきた結果だろう。

ちなみに、弊社の調べでは、体育館建設の一般競争入札が不落になることは 下図の様に、珍しくない。
偶然とは思うが、4つの体育館の設計は 同じ設計会社だ。