M資金の変異種

5月12日より福岡県にも緊急事態宣言が発せられ、昼夜を問わずアルコール類の販売提供が禁止され、飲食店はもちろん、ゴルフ場などからも悲鳴が聞こえて来る。
一方で、夫婦で商売を行っている小さな飲食店の中には、国や地方自治体から支給される資金で潤い、中には店の設備投資や骨休みでの旅行に出かけるなど、両極端の結果となっている。

コロナで外出を控え時間を持て余している、欲ボケの老人経営者を狙って、新型コロナウイルス同様に変異したM資金「三井育成資金」なる、怪しげな儲け話の書類が出回っている。

MSA協定資金なる名称で贈与された実績の一覧表には、日本を代表する一流企業や地方銀行名が名を連ねているが、マル秘情報として複製が禁止されているのがミソだ。

話は大きく何兆円の世界だが、過去に有名企業の代表が騙されたM資金だけに、晩節を汚さぬように用心して欲しい。

M資金

8月15日のポツダム宣言受諾で、日本は連合国軍最高司令官マッカーサー元帥と、その総司令部・GHQの占領下に置かれた。
日本銀行地下金庫もGHQが管理することになったが、占領下の混乱の中でここから持ち出されたといわれる膨大な資金が、今でも詐欺事件の材料として利用されている「M資金」だ。
約50年前には当時の全日空大庭社長が3000億円の融資詐欺で騙され、東急電鉄事件では兆の単位の融資申込書が出回ったこともある。
こうした資金に関しては必ずといっていいほど、皇族の末裔と呼ばれる怪しげな人物が登場し、一般庶民には縁遠い雲の上の話として煙に巻かれことが多いため、過去に一度だけだが、宮内庁儀典部に問い合わせしたこともある。
ただ最近のM資金問題は昔に比べるとひじょうに小粒化しており、元横綱の朝青龍が騙されたM資金は2億円規模だった模様。
こうした中、最近もM資金の話が出回っているようで、信用金庫の代表や地銀の役員の名前などが取り沙汰されており、今年の人事で辞任した中に、数名が含まれている噂も聞かれ、もう一度人事を見直してみると、思わぬ人名が浮上してくるのではないだろうか。
週刊誌のネタとして登場する日も近いことだろう。


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