100億円負担、県議会では議論なし

2月3日、国道3号北九州~鳥栖間で唯一の2車線区間だった岡垣バイパスが4車線化され、開通した。
昭和54年に4車線道路として都市計画決定されてから50年、多くの人が願いがようやく叶った。

さて、同じ3号線でも、県南では望まれていないバイパスが新設されようとしている。
総事業費300億円とされているが、県議会の先生方もそのことをよく分かっていない。
唐突にバイパスの話が出てきたのが平成30年、令和2年には事業化決定という異例の速さだ。

弊社では、タカハシという土地ブローカーの土地を通るようにルートが引かれている利権道路ということを、証拠を示しながら繰り返し報じてきた。
国や県、八女市や広川町の職員は弊社の記事を読んではいるが、事実関係を調査することもなく、都合の悪いところは触れないようにして計画を進めている。

では、行政をチェックする県議会はどうか。
国が200億円、福岡県が100億円のビッグプロジェクトであるにも拘わらず、県議会の委員会等でその妥当性が議論された形跡が見当たらないのだ。
今年度、初めて5000万円の測量費が予算計上され、そのうち3分の1の1666万円の予算が県議会で承認されたが、予算特別委員会の会議録を閲覧しても 誰一人質問していない。

初めは1666万円だが、これが100億円の一部という認識が県議会の先生方におありだろうか。
このバイパスは「最後のまこと道路」と地元で呼ばれ 土建業者は喜んでいるが、県道82号(久留米立花線)が国道3号のバイパス機能を既に果たしているため、新たなバイパス新設の必要性を感じている住民はいない。

それよりも国道3号では、広川IC入口から南(熊本県)方面より北方面、つまり久留米市に向かう側の渋滞緩和が喫緊の課題である。
また、過疎化が進む八女市では、上陽町、黒木町、矢部村、星野村へ向かう国県道の整備を望む声が多い。

このバイパスに300億円かけるということは、他の道路整備が遅れることを意味するが、県民はそのことに気がついていない。
国会では12月の補正予算で追加の測量費3億円のうち国負担分の2億円が承認されており、間もなく始まる県議会でも1億円の負担金の予算案が上がってくると思われる。

県民の税金100億円を投入する道路の必要性、優先順位の決定の方法等、県執行部に尋ねることは山ほどあるはずだ。
岡垣バイパスが50年掛かったように、県民が本当に望んでいる道路整備事業は他にも数多くあり、忖度している場合ではないはずだ。




弊社参考記事

利権まみれ、それでも進めますか?(2022年8月12日)

コンプライアンス違反の疑い(2022年11月11日)

「優先度が高い」に根拠書類なし(2022年11月13日)


式典の案内

鉛筆なめなめ、どうにでもなる理由付け

国道3号広川八女バイパスは、今年度 5000万円の調査費が予算化され もう止められないところまで来ている。
しかし、国や県、自治体から漏れ聞こえて来る担当者たちの本音は、「こんな仕事やりたくない」と共通する。

この計画は、市長の弱みを握るタカハシという土地ブローカーが 自身の土地を通すよう要求したことから始まったものだ。
そして、バイパスが通る話など何も出ていない頃に、藤丸敏議員が「古賀先生がバイパスを持ってきてくれた」とか、広川町の渡邉元喜町長が「バイパスを上広川小に当てて国のお金で建て替えさせる」と発言していたが、今はその通りに事が進んでいる。
いずれも選挙前の発言で、リップサービスのつもりだったかもしれないが、こうした証拠・証言が残っている。

こうした経緯は 弊社が既に報じており、国の役人も県や市町の職員も 弊社の記事をチェックし把握しているそうだが、弊社に対して役所から反論もなければ、関係者から提訴されてもいない。
全て事実だからだ。

国民・県民の血税を使って、無駄な道路が作られようとしている。
いかに、この計画が利権まみれで 道路行政で公平性を欠いているかを書いているので、是非とも過去記事を参考にして頂きたい。

弊社記事→ 歪んだ3号線広川~八女バイパス



さて、同バイパスについての国の新規事業採択時評価の内容が公表された。
試算された事業費(C)は 272億円、それに対し 総便益(B)は 342億円、いわゆる費用対効果(B/C)は、
272億÷342億 で 1.3、1を超えたことで事業を進める価値があるということだ。

これまで B/C が1を超えたことを根拠に、数えきれないほどの公共事業が進められてきた。
完成後 利用が少なく明らかに無駄だったと言える事業も枚挙に暇がないが、役所が当初の事業見込みを再検証したとか 反省したというニュースは記憶にない。
B/Cは 結論ありきで 1を超えるように 鉛筆を舐めればどうにでもなるが、誰も責任を取る仕組みがないから 繰り返される。

例えば総便益 342億円というが、その前提の作り方で計算が違ってくる。
地元の人の話を総合すると、「このバイパスができても一般の車両は 現国道沿いの店舗や公共施設に用事があり、わざわざバイパスは使わない。久留米方面に急ぐ人は 県道82号線(久留米立花線)を利用しており不便はない。バイパスができて喜ぶのは 熊本方面へ行き来するトラックだけ」ということだ。
また、仮にバイパスの交通量が増えると、広川町の県道82号線や国道3号線で久留米方面に右折する際、混雑が予想されるので、敬遠するのではという声も出ている。
前提が違えば 総便益342億円が著しく減少する。

また、事業費が272億円というが、地元国会議員が建設会社の社長に 600億円と吹聴して回っていたことが分っている。
建設が始まってから工事費を増額する確信犯的な手法は以前から使われており、400億500億と増額していくのは間違いない。
なぜなら、政治家が有権者に嘘をついてはいけないからである。

総便益が減り事業費が増えれば、B/Cは一気に1を切り、事業を進める根拠は消滅する。
このように、B/Cは全く意味のない数値だが、結論ありきで1を超える積算をして、それを錦の御旗にして事業は前に進められていく。

それを指をくわえて見ているしかないのが現状で、タカハシや一部の政治家たちの高笑いが聞こえてくる様だ。
「こんな仕事やりたくない」という本音を殺して 業務を進めている公務員の皆さんは気の毒でならないが、内部から声を上げてほしいという期待もある。
利権絡みで公平な手続きを経ていない無駄な道路と知っているのに声を上げないなら、「役人も奴らの片棒を担いだ」と言われても仕方がないのでは。


- 了 -

利権絡みの計画、税金使って陳情へ

消費税率のアップ、道路利用税・炭素税など新たな税が検討されているという。
新型コロナ対策に当てられた国家予算は令和2年度だけで77兆円、これから防衛予算の増額もあり政府の台所は火の車だ。
各省庁からの予算要求に加え族議員からの圧力があると想像するが、本当に必要なところに必要な予算が配分されるよう、財務省には毅然とした対応をお願いしたい。

ところで、誰が考えても優先度が低く 最低300億円を投入する「国道3号 広川~八女バイパス」の計画が予算化されようとしている。
地元八女市では、県道82号久留米立花線が整備中で必要に迫られていないことから、当初から反対の声が上がっていた。
それを誰とは言わないが、政治家が行政に圧力をかけ利権絡みの計画を力技で強引に進めてきた経緯がある。



そして今月、地元の首長や議員、商工会長ら十数名で大挙して国交省に陳情に行くという話が入って来た。旅費はもちろん税金だ。
予算化を確実にするため 「八女市民の総意」をアピールする目的の様だが、土地を事前に購入していたブローカーと一部の建設業者が潤うだけで、地元住民に殆どメリットはない。

それに 300億円で済めばいいが建設費の高騰でそれで済む訳がない。
そもそも自民党の代議士は600億円と業者に吹聴して回っていた。
福岡県民が3分の1、国が3分の2を負担することを 福岡県民の皆さんはご存知ですか?




国交省・財務相の役人に読んでほしい過去記事
 → コンプライアンス違反の疑い




本当に必要とされているのは久留米市中心部への渋滞対策

県予算を引っ張り 小学校建て替えに功績

広川町議会12月定例会において、渡邉元喜町長が来年4月の町長選に立候補しないことを表明しました。
4期16年、本当にお疲れ様でした。
渡邉町長の最大の功績と言えば、3号線バイパスのルートを上広川小学校に当て、建て替え実現に道筋をつけたことでしょう。

町民が望んでいるのは久留米に向かう3号線の渋滞解消ですが早々と見切りをつけ、八女市の不動産ブローカーの土地経由で立花までのバイパス建設に妥協し、実績作りを優先させました。

しかし、ただ妥協した訳ではなく、文科省の補助金で耐震補強が終わったばかりの上広川小学校にバイパスルートを当てて、道路建設の補償金で建て替えるアイデアを思いつきました。
4年前はまだ渋滞対策については白紙の状態でしたが、集会で「バイパスを上広川小に当て補償金で建て替える、これだけは自信を持って言える」と熱く語っていたことは忘れられません。
それは録音があるからです。 → こちら

その発言後、異例の速さで国のテーブルに乗り、形式的な住民の意見聴取を経て、3つのルートのうち上広川小学校側のルート帯(幅1km)に決まり、わずか1年で予言通りルートが上広川小学校に当たることが決定、渡邉町長の自信が本物だったことが証明されました。

政治力によって行政が歪められた可能性が大きいですが、行政も議会もマスコミも 渡邉町長の形振り構わぬ努力に感動してか大目に見ている様です。

建て替え費用を30億円と想定すると、本来なら3分の2にあたる20億円が広川町の負担となるところでしたが、ルートが大当たりしたことで1円も出さずに学校を建設できるようになりました。
町民の皆さんにとってはこの上ない喜びでしょうが、その代わり3分の1の10億円を福岡県民が負担することになります。

県にしてみれば 出す必要のない予算ですが、10億円は「はした金」なので 議会でも問題にならないでしょう。
県民の皆さんにおかれてましても、渡邉町長の有終の美を汚さないよう見逃してあげたらいかがかと思います。

後継には渡邉町長肝煎りの町職員 Hさんの名前が上がっており、既に古賀先生のところにご挨拶に伺ったと聞いてます。
渡邉町長におかれましては引退後も影響力を発揮し、町の発展のためにご尽力いただくことを切に願っています。

「優先度が高い」に根拠書類なし

「国道3号広川~八女バイパス」は、令和元年(2019年)5月に 国道3号の渋滞対策区間として国交省の計画段階評価の対象となることが決まり、1年後の6月には 最終ルートまで決定という異例のスピードで進められてきた。

建設費は 約300億円(国負担200億円、県負担100億円)が想定され、福岡県下における国道整備の年間予算が150億円ということから考えると かなりのビッグプロジェクトである。
しかし、県内には約180箇所の国道の渋滞箇所があり、関係自治体や地元住民から早期整備の要望が上がっている中で、どういうプロセスで このバイパスが「対策の優先度が高い区間」として候補に上がり、その中からどういう比較検討の中から選択されたかが不明だ。

結論から言うと、概算の予算と照らし合わせた比較や当該区間のモニタリング分析、更には会議記録など 根拠書類が一つも存在していないことが判った。
以下、福岡国道事務所が公開している協議資料と情報公開請求の結果を示しながら、道路行政の闇について述べていきたい。



 

そもそも無かった広川IC以南の問題意識

福岡国道事務所は福岡県下の渋滞箇所の解消を目的に「福岡県交通渋滞対策協議会」を定期的に開催し、議事概要と会議資料を公表している。

福岡国道事務所 福岡県交通渋滞対策協議会

平成27年度第1回福岡県交通渋滞対策協議会(H27.08.26)の資料には、筑後エリアの対策方針として「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」と記載されている。
国道3号広川IC入口以北(久留米市方面)で慢性的に激しい渋滞が発生しているため そちらの方が主となっており、広川IC以南(八女方面)に関して特別な言及はない。
また、今後の渋滞対策の進め方について、「最新の交通データを収集・整理し、主要渋滞箇所の交通状況のモニタリングを実施」、「構築した検討体制により、モニタリング結果等を有効に活用し 地域毎の渋滞対策の検討を推進」するとしている。






この対策方針については、平成30年度 第1回福岡県交通渋滞対策協議会資料(H30.8.7)まで変わっていないことが確認できる。

 

いきなり「工業団地入口~旧立花町」が登場

ところが、平成30年度 第2回福岡県交通渋滞対策協議会資料(H31.2.20)で、何の脈絡もなく 「対策検討の優先度が高い区間」として 「国道3号 工業団地入口~旧立花町」が登場し、対策事業の候補となる。
何を根拠に選ばれたか、具体的な説明はない。







 

優先度が高い理由を問う情報開示請求

福岡国道事務所が、「国道3号 工業団地入口~旧立花町」を対策検討の優先度が高いとした理由が分からないので、令和4年8月22日付で、国交省 九州地方整備局長宛に以下の内容で情報開示請求を行った。

福岡県交通渋滞対策協議会の会議資料のうち、平成30年度第2回協議会の資料を見ると、筑後エリアでは、慢性的に渋滞が発生している区間として「国道3号工業団地入口~旧立花町」との記載がある。
筑後エリアで主要渋滞箇所が他にもあり、各地域から要望が上がってくる中で、当該区間の優先度が高いと判断するに至った根拠書類の全て。
また、優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公正性を確保するための規約等があればその書類。



これに対し9月21日、九州地方整備局より 行政文書不開示の回答が来た。

平成30年度第2回福岡県交通渋滞対策協議会の資料において、「国道3号工業団地入口~旧立花町」を対策検討の優先度が高い区間(5区間)の1区間として判断するに至った根拠資料は 福岡国道事務所のホームページに公表しており、当該資料以外に該当する行政文書は存在しないため、不開示とした。
優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公平性を確保するための規約及びこれに類する文書に該当する行政文書は存在しないため、不開示とした。


透明性・公平性を確保していない国交省

これが 国の役所かと驚いた。
当該区間の渋滞対策には数百億円規模となることが分かっているはずだが、その根拠書類がホームページに公表したものだけで、他の行政文書が存在しないとは あまりにお粗末としか言いようがない。

前述のように同協議会の資料には、「今後の渋滞対策の進め方については、最新の交通データを収集・整理し、主要渋滞箇所の交通状況のモニタリングを実施、構築した検討体制により、モニタリング結果等を有効に活用し地域毎の渋滞対策の検討を推進する」と書かれている。
それなら、当該区間についての モニタリング結果等や、構築した検討体制における議事録等、周辺と費用対効果で比較検討した結果等が存在するはずだ。

また、国交省に、道路整備の優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公平性を確保するための規約及びこれに類する文書がないことも判った。
優先順位を決める手続きが決まっていない、しかも透明性も公平性も確保されていなければ、政治的な圧力など外部からの関与があっても おかしくはない。

最近 国交省の役職を持つ方と話す機会があったので、次のように尋ねてみた。
「県内の国道予算は年間約150億円。このバイパス整備には最低300億円、そのうち国負担は200億円だが、工期を10年とすると年間20億円、150億円の予算うち20億円を 県南端の広川~八女の工事に使うことになり、その分他の地域の整備が先延ばしになる。長期にわたり予算も関係してくることから、『対策検討の優先度が高い区間』として 福岡国道事務所の判断だけで選択できないと思われるが、いったい 誰が どの場で協議して選択したのか。

その方は本当に知らないか、首が飛ぶから言わないのか分からないが、残念ながら回答をもらうことはできなかった。
だが 国交省内に、広川~八女を「対策検討の優先度が高い区間」に選択した主体が存在し、ブラックボックスになっていることを確信した。

まさに道路行政の闇の部分と言える。
十分な根拠書類がないことに加え、「〇〇先生がバイパスを持って来てくれた」「バイパスのことは〇〇先生に頼めばいい」など、外部からの関与を連想させる 国会議員や町長の発言があったことを合わせると、優先順位を決める行政が外部からの圧力で歪められたことが推測できる。

消費税増税も囁かれ、今後国民の生活はますます厳しいものとなる。
公平公正な手続きで選ばれた必要な道路なら文句はないが、当バイパスには300億円という予算が 十分な根拠書類もないまま 投じられようとしている。

国会におかれては、当該区間を「対策検討の優先度が高い区間」に選択した根拠を徹底追求すると同時に、今後 外部からの圧力を受け付けない道路行政の構築を提案して頂きたい。

コンプライアンス違反の疑い

広川町長が 県民の血税 収奪発言?

現在国交省が進めている 国道3号広川~八女バイパスであるが、コンプライアンスに関わる問題が出てきた。
弊社は、広川町の渡邉元喜町長が ルート決定の1年前に「バイパスを小学校に通して建て替える」と話した際の録音データを入手、確信犯的な発言は波紋を広げそうだ。

それによると、町長選挙を3か月後に控えた 平成31年1月、渡邉町長が町内の行政区の集会で4期目に挑戦を述べ、「バイパスが立ち上がるまでは責任と使命がある」と 意気込みを語ったところまでは良かった。
当時はまだバイパスのバの字もない頃、参加者は何のことかよく分からなかったというが、リップサービスからか、表で言ってはいけない裏話をペラペラ喋ってしまった様だ。

問題の発言は、「バイパスのルートはどこを通るか分からないが、一つだけ言えることがある。絶対に上広川小学校を通せというふうに言っているので、ここだけは自信持って言える。平成4年に建て替えているのでまだまだ文科省の補助金は出ないので、バイパス建設の保証金で作ろうと考えている」という部分だ。
「上広川小学校を通せ」と言った相手は福岡国道事務所と思われるが、ここだけは自信があるということで、実に頼もしい。

小学校の建て替え費用は国が3分の1を補助、町が3分の2を負担することになっているが、当時上広川小学校は築27年、文科省の補助で耐震補強工事も終えたばかりで 建て替えは有り得なかった。

しかし、バイパス建設の話が水面下が進み 予算化の目途がついたことで、小学校の建て替えを思いついたと思われる。
国が新設するバイパスのルートが小学校を通れば保証金が出る、つまり町は1円も出さずに 全額 国道建設の予算(国が3分の2、県が3分の1)で建て替えができるということだ。
広川町の皆さんは、渡邉町長の発言が「町都合の学校建て替えに、福岡県民の財布から費用の一部を収奪する行為」と指摘されていることをご存知だろうか。

その後、とんとん拍子で話が進むことになる。


結論ありき、全て帳面消し

昨日の記事を読んだという広川町在住の女性から情報提供があった。
その方も 町長選に 別の公民館で開催された町政報告会に出席しており、町長が「バイパスの本当の目的は学校を建て替えること」と述べたのをはっきり覚えているとのことだった。
バイパスの本来の目的は「国道3号の渋滞緩和」であり、聞き捨てならない発言である。

このリップサービスが功を奏したのか、平成31年4月の町長選挙で渡邉町長は4選を果たす。
元号が令和に変わった5月、国交省の有識者会議において、国道3号広川~八女間の渋滞緩和について「バイパスを含め」検討する「計画段階評価」を進めることが決定し、初めて国のテーブルに乗ることになった。

同年11月の有識者会議では、① 現道の4車線拡幅化、② 山側バイパスルート帯(帯幅は約1km)、③ 最短バイパスルート帯の3案から住民の意見徴収をしていく進め方が確認されたが、この時点においても まだバイパス建設が決定した訳ではない。



翌 令和2年5月の有識者会議において、住民アンケートなどの結果から、3案のうち山側バイパスルート帯のバイパス案に決定、それを受けて、広川町長から国交省に、地域の集落を分断しないルートを要望する文書が提出されている。
国道事務所の考えていたルートは、小学校のプールに一部に掛かる予定だったが、町長の要望を受け入れ小学校の真上を通すルートで決着した。

平成31年1月の「これだけは自信を持って言える」という町長発言から わずか1年5ヵ月で、その通りにバイパスが小学校の上を通ることになり、町は1円も出さずに国の保証金で建て替える目途がついたのである。
こんな上手い話があるだろうか。

整理すると、
町長が「小学校の上を通せと言っているので、ここだけは自信持って言える。バイパス建設の保証金で作ろうと考えている」と発言
→ 国が 計画段階評価を開始
→ 国が3つのルート案を市・町に提示
→ 国がアンケートを取るなど住民から意見聴取
→ 国が 山側ルート帯(帯幅1km)に決定
→ 町が 集落を分断しないよう国に要望
→ 国は 要望を受けて、小学校の上を通すことを最終決定

必要な手続きを経た上で 学校を建て替えるルートに決まったことになっているが、誰が見ても結論ありき、アンケートなど意見聴取は帳面消しに過ぎず、協力した住民を愚弄していると言えよう。


録音データ公開

渡邉町長の発言通り(文末に録音データ公開)、バイパスルートが上広川小学校の上を通過することになり、立て替えが内定した。
前回までに、
県民が 本来支出しないはずの 町立学校の費用負担を強いられること
国道事務所が行った手続きが 全て帳面消しで結論ありきだったこと
を 問題として指摘した。
これらは国交省と広川町のコンプライアンス違反で、第三者による調査委員会を設置するレベルの話だ。

筆者はこうした問題を引き起こす 根本的な要因が国交省にあると考えている。
それは、道路整備の優先順位を決めるプロセスが不明確で、外部から政治的な関与が可能な仕組みになっている点であるが、下記のリンク先に詳しく書いている。

→ 道路行政の闇 ~「優先度が高い」に根拠書類なし~

渡邉町長の発言は問題だが、地方の首長が国や県の予算で活性化を望むのは当たり前で、バイパス建設を利用して学校を建て替える発想自体は起こり得ることだ。
最近の公務員はそのような要望は受け付けないはずだが、こと道路行政に関しては 政治家が口を挟む余地が残っている様だ。

平成31年4月には、当時の国土交通副大臣が「下関北九州道路」を事業化に向け国直轄調査に移行する決定をしたことについて、「(安倍)総理とか(麻生)副総理が言えないので私が忖度した」と述べ、辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。

広川~八女バイパスについても、渡邉町長が「バイパスのことは古賀先生に頼めばいい」という発言をしたことは関係者の間では有名な話、また、藤丸敏代議士(現在内閣府副大臣)にあっては 平成29年10月の衆院選の際、「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と公衆の面前で叫んでいる。
これは渡邉町長の発言より2年も前の発言で、水面下で古賀先生が国交省と協議をしていたことが窺える。

福岡県内の国道には 約180箇所の渋滞箇所があり、各自治会をはじめ首長や議員から、早急な整備の要望が上がっている。
しかし、一向に整備が始まらない箇所があるかと思えば、 地元の要望のなかった道路が突然予算化されたりすることが起こっている。
今回のバイパスについても 地元住民からの要望が上がったことはなかった。

本来道路の優先順位は、国と県の限られた道路予算の中から、規模や緊急性、科学的データ等を考慮しながら行政が「公平公正」に決めていくべきものだが、実際にはそうなっていない。
その仕組みを改めない限りは、今後も外部からの関与により行政が歪められ、要らない道路に我々の血税が投入されていくだろう。

まずは、国土交通省の関係者の皆さん、そして、これから予算を審議する国会議員や県議会の先生方におかれては、渡邉町長の生の声を聞いて この計画を前に進めていいか判断して頂きたい。

ー 了 ー


国道3号 広川~八女バイパスについての町長発言 録音データ

利権絡みの議案、都合のいい報告で「了承」

9月1日、福岡県都市計画審議会がわずか4日間の周知期間で電撃開催され、利権疑惑を残したままの議案が「了承」されていたことが判った。

同審議会で審査されたのは、「国道3号 広川~八女バイパス」の都市計画道路への追加に係る議案について。
昨年2月に開催された同審議会において、委員(県議)数名から 「住民説明が不十分」、「広川町には期成会もないと聞いている」「最初から決まっていたルートをトレースしている」、「数年前にバイパスを当てて学校を建て替えると言った人がいてその通りになっている」となどの指摘があり、採決が保留され誰も触りたくない案件だ。

しかし、さすがに1年以上が過ぎ、業を煮やした先生がおられたのか、夏頃から遅れを取り戻すかの様に急に進みだした。

5月27日には 地元の首長や議員らで構成される「一般国道3号(広川~八女)バイパス整備促進協議会」、いわゆる期成会の第1回総会が開催され、「広川町に期成会がない」との指摘はクリアされた。

次に「住民説明が不十分」という指摘に応えるため、8月17日に八女市、19日に広川町の会場で、福岡国道事務所と県都市計画課、八女市・広川町が共催で 住民説明会を実施することになった。
ところが、そこで住民からは反対意見や疑問が噴出、行政側からは明確な回答ができないまま終了、それについては弊社記事「質問に回答できない説明会」で詳しく報じている。

質問に全く回答できていなかったため、住民側は もう一度説明会があると信じていたが、期待はあっさり裏切られた。
19日の住民説明会のわずか1週間後の8月26日、県のホームページに 9月1日の都市計画審議会開催のお知らせが掲載される。
告知から開催まで 土日を挟み4営業日しかなく、周知期間としては余りに短い。

こうして開催された審議会では、「国道3号 広川~八女バイパス」の都市計画道路への追加に係る議案が議題となり、都市計画課から委員に対し、昨年の指摘事項が解消されたという報告が一通りあったが、肝心の「最初から決まっていたルートをトレースしている」、「数年前にバイパスを当てて学校を建て替えると言った人がいてその通りになっている」ことについての説明はスルーされた様だ。

採決の結果 「了承」となり、晴れて県の手から放れることとなった。
しかし、審議会が開催されたことを後から知らされた住民から、説明会での質問に回答しないまま 直ぐに審議会を開催し、審議会の委員に都合のいい報告がされたことに、「姑息」「不誠実」と怒りの声が上がっている。

ボールは福岡国道事務所に戻され、今後 2ヵ月以内を目途に、国交大臣協議を経て決定告示が出される予定、利権絡みの指摘に説明がないまま、最低 300億円(国200億円、県100億円)の血税投入に一歩近づくことになる。

質問に回答できない説明会

国道3号広川八女バイパスについての住民説明会が、福岡国道事務所、福岡県、八女市・広川町の共催で開催された。
都市計画審議会で再議するための説明会のはずであったが、行政側に明確な回答ができる責任者の出席はなく、住民側の質問に対し、故意か本気か 的外れな回答に終始しストレスが溜まる結果となった。

回答がなかった点を以下に記す。

1.集落分断に関するダブルスタンダード

17日の八女市の説明会では、忠見・大籠地区の住民から 「なぜ地域を分断する道路を作るのか」「ルートをもっと東側にずらせないのか」という質問が相次いだが、国道事務所は「古墳・大茶園・鉄塔」を避け極力影響を小さくして考えたルートという説明を繰り返した。

しかし一方で、「広川町のルートを決めるにあたっては、町から集落の分断を避けてほしい旨の要望を受け 上広川小学校の上を通した」という説明をしており、「広川では分断を避けるのに、忠見・大籠地区は分断するのか」と怒りの声が上がった。

明らかなダブルスタンダード、住民の言い分はもっともで、納得できる回答がないまま強行すれば、訴訟になったときは行政側が不利になると思われる。


2.審議保留の問題が解決していない

19日の広川町の説明会で、県都市計画課に対し次のような質問が出た。
「都市計画審議会の会議録を確認すると、委員から『ずいぶん前からこのルートについて話があり、ピタッとその通りになっている』、『数年前から 小学校にバイパスを当てて建て替えると言った人物がいる』、『決まっていたルートをトレースするような話は県議として指摘せざるを得ない』と発言があった。それが事実なら大変な問題だが、都市計画課の方で確認はしないのか。」

これに対する回答は、「発言の内容について事実確認する術がない。今のところはそれ以上の内容は承知していない」ということだった。
まさか、事実確認をしないまま審議会で再議するのだろうか。

これは、個人によって行政が歪められた重大事案、事実であれば 後々 刑事事件に発展する可能性も孕んでいる。
県職員なら 委員(県議)が指摘をした事項について、もう一度聞かれることを想定して 回答を準備するはず。

当時、市長の指示で ルートの原形を描いた職員OBが、必要なら証言すると言ってくれている。
また、町長が選挙の集会で、「バイパスを通して上広小を建て替える。これは私にしかできない」と豪語していたのを 町民が確実に聞いている。

事実確認する術はある。


3.久留米市までのバイパス整備が必要では

19日の広川町の説明会で、「このバイパスは広川町のためになるのか。通勤通学の面で、むしろ 久留米市へのバイパス整備が必要ではないか」という質問が出た。
これに対し、広川町の副町長は「工業団地や道の駅の整備で町の活性化に繋がる」と回答、久留米市内へのバイパス整備についての回答はなかった。

2012(H24)年から福岡国道事務所では毎年 「福岡県交通渋滞対策協議会」を開催し、県内の交通渋滞状況を把握し、渋滞の著しい箇所について交通の円滑化を図るために継続的に協議を続けている。
2017(H29 )年8月に開催された会議の資料には、筑後エリアの対策について 3ページにわたって説明があるが、久留米市内に流入する車による渋滞対策が主で、方向性として「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」が掲げられている。

少なくとも、2018(H30)年8月に開催された会議までは、正常に進められてきたと言える。
ところがその半年後、2019年(H31)2月の会議で風向きが変わった。
藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだ 2017(H29)年以降、周到に準備されてきた 広川~八女バイパス化が いきなり顔を覗かせる。



 

4.誰がいつ優先順位を決めたのか

広川町の説明会で、3の久留米までのバイパス整備の必要性に関連して「誰がどういう理由で いつバイパスの優先順位を決めたのか」という質問があったが、その場で回答はできなかった。

下図は2019(H31)年2月に開催された会議資料で、筑後地域の対策方針である。
慢性的に渋滞が発生している区間について、「バイパス整備、拡張事業等」で対策するとしている。



続けて、対策検討の優先度が高い区間として、「国道3号 工業団地入口~旧立花町」が初めて登場する。
同区間は広川から八女方面の区間で、それまで毎年確認されてきた「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」という渋滞対策の方針から逸脱している。

確かに、期成会や広川町・八女市からの要望があったのは事実だが、至るところから要望が出ている中で、なぜ それまでの方針とは異なる区間が、「優先度が高い区間」として突如現れたのか、そこの説明が不足しているのだ。



「誰がいつ優先順位をどうやって決めたのか」という質問に 国道事務所は回答できなかったが、それは意図したものではなく 本当に知らないと想像している。

平成29年の衆院選で藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てました」と叫んで以降、物事が動き出したのは事実なので、地元では「平成29年に古賀先生の政治力で決まった」と受け止められている。

まずは 藤丸議員、いや 藤丸内閣府副大臣におかれては、国交省が事業化を進めようとするのであれば、古賀先生の関与があったのかどうか、内閣の一員として 自身の発言の「真意」について説明が求められる。



そして国交省、優先順位の決定に政治家の関与があるとは言わないだろう。
行政の判断だけで決めるというなら、どういう比較をして何を根拠に決めたのか、そのスキームなどを含めて明らかにするべきだ。

このことは、国道予算の3分の1を負担する県においても同様である。
上表をみると、県道路建設課長と県八女県土整備所長が検討会に出席して、平成31年3月にバイパスを作る方向性に同意している。
事業化すれば 県の道路予算 100億円を使う事業である。
県知事、県議会の了解なく、この2人に決める権限が与えられているのか。


絶対にない。




以上、「質問に回答できない説明会」というタイトルで、4点挙げた。
住民の質問に回答していないことが音声で記録されている中で、県都市計画課がどういう形で審議会に差し戻すのかが注目される。
行政の裏を知る元国家公務員は「何か理由付けをして想定外の形で審議会を開催し、 ウルトラCを使って強行突破するのでは」と悲観的だが、私は全体の奉仕者たる職員の良心を信じたい。

最後にお金の話を。

このバイパス事業は最低でも300億円、向こう10年にわたり 支出が続く事業、年間30億円、そのうち国負担が20億円、県負担は10億円となる。

県内のバイパスを含む道路改築事業に年間、国は約150億円、県は 約160億円の予算でやりくりしている。
そうすると、毎年 国予算150億円のうち20億円、県予算160億円のうち10億円が このバイパスに優先的に取られ、その分 県内主要渋滞箇所の整備が先送りとなる。
財政がひっ迫する中、選挙区から道路整備の要望を直に受けている国会議員や県議の先生はもちろん、現場を知る行政職員の本音は いかばかりか。

さて、不正を嫌う公明党の 斉藤鉄夫国土交通大臣、この福岡の地で、誰も本音を言えないまま、300億円バイパスが予算化されようとしていることを ご存知ですか。

ー 了 ー

利権まみれ、それでも進めますか?

再び動き出したバイパス計画

昨年2月の 県都市計画審議会において、国道3号バイパス(広川~立花)の新規ルートが議題に上がったが、複数の委員(県議)から住民説明の不足などの指摘があり審議保留となった。
国が進めようとしている事業が県の段階でストップするのは前代未聞、この1年半の間、誰も触れない状態で膠着状態が続いていた。

それまで、「バイパスについては古賀先生に頼めばいい」と豪語していた当該地区の首長も ようやく事の重大さに気づきプライドを捨てざるを得なかった模様で、慌ててバイパス化に向けた期成会を結成、ここに来て再び動き出した。
8月17日に八女市、19日に広川町で、福岡国道事務所、福岡県、八女市・広川町の共催で、住民説明会が開催される予定で、住民の対応に注目が集まっている。

総事業費は 当初試算で300億円、ある衆院議員は 600億円はいくという話を土木業者に吹聴して回ったそうだが、本当に 必要な道路なら作ればいい。
しかし弊社では、2020(R2)年10月から翌年1月にかけて、「歪んだ3号線バイパス」というタイトルで利権絡みの出来レースとして連載、バイパスの必要性に疑問を呈してきた。

審議会においても弊社記事を取り上げて頂き、委員にも問題が共有されたはずだが、動き出したとあっては黙っておく訳にはいかない。
問題が解消した訳ではなく、我々の血税が一部の得をする者に流れていくことになる。
改めて利権の部分に絞り、政治家、国道事務所・県庁・八女市・広川町の職員、そして住民の皆さんに向けて説明するので、それでも進めるのか、今後の判断材料にして頂ければ幸いだ。



 

古賀先生が持って来てくれました!

バイパスの話が以前からあったのは事実で、毎年 国道3号期成会(鳥栖市・基山町・久留米市・小郡市・広川町・八女市)は、渋滞の激しい久留米市上津町から八女市立花までの区間のバイパス化を国に要望していた。
ところが、2017(H29)年11月の要望書では上津町から広川を除外し、広川~立花までの区間をバイパス化するという内容に変わる。
水面下で事業化が決定したと推測される。

なぜ渋滞区間の上津町から広川が省かれたかは不明だが、政治の力で決まったことを裏付ける現職議員の発言がある。
2017年10月の衆院選挙の演説会場で、福岡7区の藤丸敏議員が「古賀先生が3号線バイパスを持ってきてくれました!」と叫んでいるのを多くの聴衆が耳にしている。
当時、現場にいた人の話では、何のことかよく理解できなかったという。

それもそのはず、一般の人には初めて聞く話、藤丸議員には自民党の政治力をアピールする狙いがあったかもしれないが、正式には決まっていない段階で、特定の政治家名を挙げて道路予算を確保したことを公言したのは 取り返しのつかないミスだ。

仮にバイパスが完成すれば、八女市民や一部の広川町民には多少恩恵があるだろうが、久留米市民には殆どメリットはなし、逆に上津町から広川までの渋滞解消については 先送りされたことを意味する。

また、広川から立花までは、県道82号(久留米立花線)が整備中で、同じ目的で 県道とバイパスを平行させて整備するのは無駄という指摘もある。
更には福岡県議会においても、苅原交差点、上津荒木交差点、二軒茶屋交差点を整備していく必要があると道路建設課長が答弁しているように、久留米市内において 国道3号で懸案となっている渋滞箇所があり、バイパス化による費用対効果がそれらと比較検証されたかも疑問だ。

まず、福岡県全体の利便性を考える政治家や行政職員、そして 久留米市民、広川町民、八女市民の皆さんにおかれては、限られた 300億円もの予算を 本当に このバイパスに使うことが最適かどうか考えて頂きたいと思う。



 

ルート決定までの表向きの経過

下表は、バイパス化が 国の事業としてテーブルに乗り ルートが決まるまでの「表向きの経過」である。
藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだのが2017(H29)年10月なので、全てその後の出来事、事業の必要性を帳面に残すためのアリバイづくりだ。



初めて 国道3号期成会から国に、「広川から立花まで」のバイパス化の要望書が正式に提出されたのが 2017(H29)年11月、改めて注目してほしいのは、2019(R1)年11月時点においても 国の方では「4車線拡幅」を検討していて、バイパス化が決定事項ではなかったこと、そして、2020(R2)年5月になって「山側ルートのバイパス化」に絞り込まれ、6月に最終ルートが決定したことである。
この間、何も知らない市民・町民の中には、もし自分が所有する土地を国道が通れば国が買い上げてくれる、そんな淡い期待を抱いた方もおられたのではなかろうか。



しかし、これは初めから出来レース、市民・町民は茶番劇に付き合わされただけだった。
八女市役所で「本地区を通るのが大前提」に ルート原案が作成されたのが2009(H21)年、いわゆる山側ルートだ。(詳細は次回)

その後、2014(H26 )年頃から現実味を帯び、2017(H29 )年には水面下で山側ルートで事業化がほぼ確定したことが推測される。
以下、その根拠について述べる。

 

広川町の3つの事例

以下に広川町の3つの事例を挙げる。

事例1.上広川小、移転先候補の農地取得(2014年10月)

今回のルートは、上広川小学校の校舎を横切るため 建物を移転建築することになっている。
当初 国が提案したのは プールの一部にかかるルートだったが、2020(R2)年5月に 広川町から「バイパスによって集落が分断されるのを避けたい」「学校の真横に盛土のバイパスが走ると、教育環境としてよくない」という要望があり修正に応じている。

だが、これこそが出来レース、2019(H31)年4月の町長選挙の集会で、渡邉元喜町長が「バイパスを通して上広川小学校を建て替える」と発言しており、最初から決まっていたことが地元の人なら誰でも知っている。
このことで、町は負担なしで小学校を建設でき 業者も潤うので、地元からは異論は出ていない。




現在地から距離が離れておらず 十分な面積がある場所というと、地図上でも候補地が限られる。
2014(H26)年10月、町長と親しい不動産屋が 移転の有力な候補地と思われる農地 約1000坪を取得し、以後他人に米を作らせている。

地元では なぜ不動産屋が農地を購入したのか憶測を呼んでいたが、国の計画段階評価が決定した後の2019(R1)年9月、アパートか住宅を建てるという理由で 農振除外申請を行い開発の準備を進めている。
この場所に小学校が移転してくれば、ただ同然で買った土地が かなりの値段で売れるのは確実だ。

事例2.広川町日吉で農地の大規模造成(2017年9月)

始めたタイミングと開発理由の稚拙さで笑えるのが、広川町日吉の開発行為だ。
場所は県道82号(久留米立花線)、広川インターから東に来て突き当たったT字路の東側の小高い丘である。
元からバイパスの起点になる可能性もあり、目利きのきく不動産屋なら手を付けたい場所だ。
当該用地の一人の地権者によると、この場所は20年以上前から「事例1」の不動産屋が全ての地権者から委任を取り付け、開発する算段を整えていたという。



藤丸議員が叫んだ年の 9月27日、地権者名で開発行為の申請が農業委員会に提出されている。
目的は果樹園を作るための農地の改良、3年間で 約1万400平米の山林から、土砂約2万5000立米を採取し、梨の木 約48本、梅の木 約15本を植栽するという計画で、造成費用は約1200万円とされている。

梨の木 約48本、梅の木 約15本のために 1200万円かけて造成すると聞いて、素直に信じる者はいないと思われるが、農業委員会で問題視されることはなかった様だ。
現在は 苗木が植えてあるが、実がなるまであと何年かかるやら。
一つ言えるのは、今すぐにでも道路や工場に転用できる農地に変わったということである。




事例3.ルート上の農地を取得(2017年7月)

同じく、藤丸議員が叫んだ年の7月31日、農地 約1000坪(下図の緑色の2ヶ所)を購入した人物がいる。
建設資材を販売する事業者で 事例1の不動産屋とは旧知の間柄だ。

農地の売買は営農意欲の高い人に許され、広川町農業委員会の内規では「所有権移転後3年間は農業を行う」とある。
しかし、現地(写真)を見る限り意欲はなさそうだ。

以前の所有者は、「相続した土地だが、遠方に住んでいて管理できないので売却した。バイパスが通ることが分かっていれば売らなかった」と話した。



 

私的要求から始まったバイパス

以下は、取材で職員OBらから聞き取った内容をまとめたものである。

1977(S52)年から4期務めた斉藤清美市長は、八女市本地区を開発して工業団地を作る「八女市東部開発構想」を掲げていた。
工場を誘致するには、広川インターから同地区までのアクセス(約 6km)が課題で、バイパス整備の話はこの時代まで遡る。
同地区に住む土地ブローカーのT氏は、当時から土地の買収話をまとめる力に長けており、自宅の近くに工場を誘致し成功させている。

1995(H5)年に野田国義市長に変わってからは同構想は立ち消えとなったが、T氏の事業意欲は衰えることなく本地区の周辺の農地や山林を積極的に買収し、地元住民の反対をものともせず、農業委員会をうまく丸め込めながら 産廃処分場の誘致を実現させている。

2008(H20)年11月、野田氏が国政に転身し、代わって市長になったのが県議会議員だった三田村統之氏、旧知のT氏は早速バイパスを本地区に持ってくるように要求している。
三田村市長は市長になる前から金欠病でT氏に弱みを握られていたというのは地元で知られた話、というのも T氏本人が事あるごとに「三田村に金を借りてることをバラすと言えば何でも言うことを聞く」と知人に話しているからだ。
実際、八女市本地区の市道は近隣と比較にならないほど整備が行き届いており、職員はT氏の対応に苦慮してきたという。

当時のバイパスルート作成の経緯を知る職員OBは、弊社の取材に応じ、「T氏から市長に圧力が掛かっており、2009(H21)年、市長から職員にバイパスのルートを作るよう指示があった。T氏の土地を必ず通すことが前提で、民家をなるべく避けるようルートを考えていた」と語った。

その時描いたルート原案と 現在の国が示した山側ルートを比較したのが下図である。
後述するが、黒い円がT氏が不動産情報としてホームページで宣伝している箇所である。



これは衝撃的な話である。
国・県・八女市・広川町、そして住民を巻き込んで動いているバイパス計画が、たった一人の私的要求によって始まったというのだ。
翌2010(H22)年には、T氏が「3号線バイパスは俺が持ってきた」と自慢して話すのを地域の知人や業者が聞いているので、前年の要求に対して 前向きな回答を得ていたものと思われる。

それを証明するのが下図だ。
2011(H23)年3月に八女県土整備事務所が作成した今後の整備箇所等を記した管内図には、職員が描いた原案通りのルートで「国道3号バイパス事業」と明記されている。



 

ルート決定前にホームページで告知

藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだ翌2018(H30)年5月、八女〇〇開発株式会社という法人が設立されている。
代表者はT氏と市職員OBのJ氏、同社が同年6月、現在の不動産売却物件情報で「八女北部工業団地」としてホームページに掲載したのが下図で 円で囲んだ部分が対象となっている。



藤丸議員が口を滑らしたことを除けば、表向きにはバイパスの話は一切ない時期、ホームぺージには「国道3号線バイパスの開通(来年着工予定)」と記載されていた。
現在ホームページは削除されているが、T氏は丁寧に、バイパス化が決定される前の段階でバイパス情報を入手していた証拠を残している。



2019(H31)年3月、国が「広川八女地域の幹線道路に関する検討会」でバイパスの概略ルート・構造等検討に着手する準備を進めることを決定した後、T氏は土地の取得を加速させ農業委員会の許可もないまま大規模造成を始めている。



下図、ピンクの線が 今回決まったルート、黒い円が 八女北部工業団地として同社が示した範囲、黄色がそのT氏が買収に掛かっている地域、緑色が造成している地域を示しているが、これは偶然ではなくT氏の要求に従った必然である。



 

それでも進めますか?

T氏の要求通りのルートで事業化は最終決定目前である。
農地の大規模開発は終わり 今すぐにでも工場用地に転用可能で、莫大な利益を手にすることになる。
本当にこういうことが まかり通っていいだろうか。

2009(H21)年にルート原案作成を指示したのは市長だが、市長の一存でルートが決められるはずもない。
時を置かずして2011(H23)年3月には 県土整備事務所の管内図に「国道3号バイパス事業」と明記されていたことからすると、後盾となる国会議員が介在していたと思われ、T氏はその政治家の弱みまで握っているか、或いは強固な関係があったと推測される。

それが古賀先生かどうかは不明だ。
しかし繰り返すが、2017(H29)年に藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持ってきてくれました」と叫んだのを多くの町民が聞いている。
藤丸議員は今回の内閣改造で内閣府副大臣に任命されるだけの人物、水面下で決まったバイパス化をリップサービスで伝えようとした正直者で、ありもしない話で有権者を騙すはずはない。

日本中に国道の整備を心待ちにしている 政治家、そして住民がいる。
その優先順位に特定の政治家が力を発揮するというのは噂では聞いていたが、現実にあるとなると看過することはできない。
事業費は 最低でも300億円、この予算があれば どれだけの整備ができるか。
地方議員や行政職員の間で 本当に整備が必要な国道は、同じ国道3号でも久留米市内の渋滞区間という認識で一致するはずだが、今となっては流れに身を任せるしかないだろう。

先月21日には福岡県が国交省道路局長宛に「早期事業着手を求める要望書」が提出された。
県が都市計画審議会に付随する住民説明会を開催する前に要望を出すというのも呆れた話で、かなり焦っていることが窺える。

国民の血税を使った我田引水のバイパスが、もう後戻りできないところまで来ている。
関係者におかれては下記表をご覧になり、それでも進めていくかどうか判断して頂ければ幸いである。

ー 了 ー

どうなる「国道3号バイパス広川~八女」

弊社記事「シャンシャンで終われない都市計画審議会(2021年2月1日)」で報じた、広川IC(広川町)から道の駅たちばな(八女市)までを結ぶ国道3号バイパス計画は、昨年2月の福岡県都市計画審議会で委員から厳しい物言いがついた後、修正案も中止の表明も出ないまま放置状態が続いている。

国の直轄事業が、県の段階で1年3ヵ月もストップしたままというのは前代未聞、県の都市計画課に確認しても、「現状何も動きがありません」としか回答がない。

このバイパス計画が国交省のテーブルに初めて上がったのが平成30年11月だったが、その1年前の平成29年10月の衆院選の演説で「古賀先生がバイパスを持って来てくれた」と現職議員が叫んだのを多くの市民が聞いている。
また、国が計画を承認しルート3案を提示したのが令和元年、最終的に山側のルートに決まったのが令和2年、しかし、平成31年の町長選の集会で「上広川小学校の上を通して学校を立て替える」と現職町長が語ったのを 町民がしっかり覚えている。

政治家というのは自身の力を誇示したいのか、選挙の時には水面下で決まっている決定事項を つい 口を滑らしてしまう傾向にある様だ。
宣言したことがストップしていては、面目丸つぶれだろう。

更に、広川町の業者がルート上の土地を先行取得、八女市でもルート付近の広大な土地を買収し工業団地用に造成を始めるなど、ルートが決まる随分前から 動きが出ていたことが確認されている。
一部の民間人に 機密情報が流れていたことが窺われ、利権の温床になっているとの指摘もある。

過去の記事は 歪んだ3号線バイパス(八女市編①~⑰・広川町編①~⑨)をご覧いただきたい。

利権絡みで 出来レースを裏付ける材料が満載のバイパス計画、そう簡単に前に進められないのではなかろうか。




国主体の計画が県の段階でストップしている以上、いつまでも放置という訳にはいかないだろう。
こうした中、5月27日に「一般国道3号(広川~八女)バイパス整備促進協議会」、いわゆる期成会の第1回総会が八女市で開催されたという情報が入った。

国道の新設を要望する関係自治体や住民らは 期成会を作るのが慣例となっており、予算措置を行う国(3分の2)や県(3分の1)に要望活動を行う。
これまで このバイパス計画に 期成会もなかったというから驚きであるが、その背景には 地元の元代議士で国交大臣、自民党幹事長等を歴任した古賀誠氏(81)の存在がある。
現在も古賀氏は、道路行政に絶大な影響力を持つと言われている全国道路利用者会議」の会長を務めており、広川町の町長が「古賀先生に頼めばいい」と豪語していたという話もある。
今回、古賀氏が動いたかどうかは不明だが、現状 膠着状態となっていることから、バイパス建設を急ぐグループは 期成会を作らざるを得なかったのだろう。


バイパス整備には 600億円(予定では300億円、自民某代議士が土建業者に吹聴しているのが 600億円)もの費用が投入される。
このバイパス整備に着手すると、本当に必要な国道3号の整備は後回しになるということを八女市・広川町の住民は認識すべきだ。


久留米市を通勤・通学圏とする八女市・広川町の住民からは、むしろ上津町~広川町間の国道3号の渋滞緩和、バイパス整備を望む声が圧倒的に多い。
また、広川IC~八女(立花町)間はの渋滞緩和を目的に、現在県道82号(久留米立花線)が整備中で、並行したルートに 国・県の予算が投入されることも忘れてはならない。

前述の様に、利権絡みで出来レースと判明しているこの計画が前に進むことはないと信じているが、期成会発足をきっかけに何らかの動きが出て来るかもしれないので 今後も注視していきたい。

物事には順序がある(後)~ 3号線バイパスの事業化~

昨日の続き…

2つ目が 広川町から道の駅たちばなまでを結ぶ 国道3号線バイパスの整備である。
本来の計画通りなら 今頃着工していたはずだが、弊社が特集記事で報じた様に 着工前、まだバイパスの話が全くない頃から、地元国会議員が「●●先生がバイパスを持ってきてくれた」とか、町長が「バイパスを通して学校を建て替える」などと話していたことや、事前に ルート上の土地が先行取得されていたことが明らかになった。
昨年2月の福岡県都市計画審議会でルートの決め方等が問題視され、今は1年以上もフリーズしている状況だ。

弊社記事【 歪んだ3号線広川~八女バイパス  】

市長としては 何としても打開したい様で、全員協議会では「8月に県の都市計画審議会で承認してもらい、10月には国の方で事業化する」と話したという。
しかし、県都市計画課に確認したところ、「そのような話は初めて聞いた」とのことだった。

市長は、全員協議会の場で 意欲を述べたに過ぎないかもしれないが、大方の場合、議員に話すときは決定事項の報告というのが殆どである。
もしかしたら、「やんごとなき方」とのトップ会談での決定事項で、つい先走ってしまったことも有り得るが、物事には順序というものがある。

公立病院については 病院のあるべき姿と将来に亘る費用負担について、住民の皆さんに丁寧に説明する必要がある。
また、3号線バイパスについては 利権にまみれていることが分かっていながら このままのルートで進めることは 八女市と広川町の住民が許さないだろう。

病院にしても バイパスにしても、2年半という短期間で決まる話ではない。
八女市では、三田村市長が5期目を目指していると、まことしやかに囁かれ始めている。

(了)

物事には順序がある(前)~ 公立病院の移転・改築~

八女市の三田村統之市長は現在4期目、年齢も77歳で今期で最後と言われている。
今年3月には 総工費58億円、八女市役所新庁舎建設工事が 紆余曲折を経てようやく着工した。
自身の足跡をしっかり残すことができ、安堵しておられることだろう。

しかし、それで満足できなかったのか、4月4日に開催された市議会の全員協議会で、2つの目標を掲げ 残り任期で道筋をつける意欲を示したという。

1つ目が 公立八女総合病院の移転・全面的改築である。
市長は 広川町、隣接する筑後市、そして久留米医大と協議をして、150億円をかけて移転改築する方向で進めたいと語ったそうだ。

同病院は現在、広川町と共同で運営しているが、老朽化が進み 建て替え時期に来ている。
国が赤字の公立病院の統廃合を進める方向を示す中、隣の筑後市の公立病院は 経営が安定し 公立八女総合病院との合併には否定的。
また 広川町も地理的に民間病院の多い久留米市に近く 公立病院を自前で経営する必要性を感じておらず、むしろ共同運営から離脱したい立場と聞いている。

単独での経営は難しいため、2市1町の共同経営に移行することが理想ではあるが、相手の事情を考慮すると、簡単な話ではないと思われる。

ー 続 く ー

若い力に期待・県議補選(八女市・八女郡選挙区)

4月2日告示、4月11日投開票の 県議補選(八女市・八女郡選挙区)に出馬を表明している新人の栗原悠次氏(44)にお会いしたが、たいへん好感の持てる青年だった。

今から25年ほど前、八女農業高校在学中には「(矢部村の)村長になりたい」と語っていたと聞く。
卒業後は東京農業大学へ進学し、農学博士の学位を取得、その後 八女市に戻り、実家の製茶業に励む傍ら、商工会やJA、消防団、観光協会等 地域活動に積極的に取り組んできた。

ここ数年で地元の矢部村は過疎化が進行し、地域の担い手が急減、危機感を 強く肌で感じるようになった。
また、緑茶消費の減少による茶価の低迷で、離農者が増えており、八女地区の農業を何とかしていかなければならないと思ったという。
このチャンスを生かして、県政に対し、自らの言葉で 中山間地域の危機、農業の現状、災害対策等を訴えていきたいと、熱く意気込みを語ってくれた。

思いの強い人こそ政治家になるべき、必ず県政に新しい風を起こしてくれると思った。 

つまづいた「国道3号線広川~八女バイパス」

2月10日に福岡県都市計画審議会(折登美紀委員長・福岡大学法学部教授)が開催され、弊社が報じてきた「国道3号八女~広川バイパス」のルートについての議案が審査されたが、採決が見送られる異例の事態となった。

審議会の委員は28名(県議会議員8名)、代理出席や公務による欠席で、規定の過半数ぎりぎりで開催されることが通例で、今回も「シャンシャン」で終わるものと思われたが、自民党の県議から異論が出た。

「広川町では数年前に、バイパスを小学校に当てて建て替えると言った方がいるがその通りになり、バイパスルートが随分前に決まっていたのではないか?」
「小学校の建て替えや盛土による道路建設で用地買収の範囲も広くなる等、県の財政負担が大きくなるが、ルート決定に小川知事は了解していたか?」
等の質問があったが、県の担当者からは明確な答弁が得られなかった。

また、別の県議からは、「地元県議から住民に十分な説明がされていないと聞いており、今日採決すべきでない」との意見が出され、最後は委員長が審議保留を提案し 了承された。

過去の選挙において、現職国会議員が「K先生が持ってきてくれた」、また広川町長が「学校の上を通して 建て替える」と吹聴したバイパス計画だったが、県議会が待ったをかけたことで、関係者の間に動揺が広がっている。

今回の保留を受けて、国・県・八女市・広川町がどういう対応をするか、注視していきたい。

シャンシャンで終われない都市計画審議会

都市計画法は、国・地方公共団体の責務として、「国及び地方公共団体は、都市の住民に対し、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならない。」と定めているが、県や市町村からの情報提供はお茶を濁す程度で、住民への周知されているとは言い難いのが実情だ。

福岡県都市計画審議会が、2月10日に開催される予定だが、10日前になってもまだ県は公表していない。
今回は 「国道3号広川~八女バイパス(筑後中央広域都市計画道路)」が都市計画道路として承認されるか注目されているが、この道路について行政はあまり傍聴を歓迎していないようだ。

その証拠に、県に先んじて1月7日に開催された八女市都市計画審議会では、開催予定が市のホームページに掲載されたのが1月1日、年末年始休暇中で審議会の6日前である。
年末年始の休暇中の公表は姑息という指摘もあるが、「八女市附属機関等の会議の公開に関する規則」第三条において、1週間前までに公表すると定められており、それならば遅くとも12月31日に公表しなければならない。
内規違反の審議会が成立するかという問題もあるが、聞くところによると、同審議会では今回160通程の 意見書が提出されている報告はあったが、その内容については触れることもなく、委員からは何も質問も出なかったという。

都市計画道路に地元から160通もの意見書が出るのは異例中の異例だが、意見書に込めた住民の思いは何一つ汲み取られておらず、怒りの声が上がっている。



情報公開の本来の趣旨に照らせば、行政は開催が決まった時点で、2週間でも3週間でも前もって公表することができる。
実際、福岡県の都市計画審議会、前回は令和2年7月28日に開催されているが、開催予定をホームページで公表したのは、1ヶ月以上前の6月17日だった。
しかし、今回の審議会については、都市計画課は内規に照らして1週間前までには公表すると消極的で、基準がよく分からない。

ところで、福岡県の都市計画審議会の委員は、学識経験者、行政、市長、県議会議員ら合計28名で構成されているが、欠席や代理出席で過半数ぎりぎりで開催されていることが多い。
また、会議録を見る限り、執行部からの説明に対して委員からは何の意見も出されず、「シャンシャン」で終わる形式的な会議だ。

今回の新バイパスは、弊社が「歪んだ3号線広川~八女バイパス」で報じてきたように、利権絡みの道路ということが判っている。
また、地元住民からも小川知事宛に、嘆願書まで提出されたと聞く。

委員になっている県議の先生方から質疑が飛び交う場面があってもいいと思われる。



 

 昨年12月9日~22日、都市計画道路(国道3号広川~八女バイパス)の縦覧が行われた後、160通の意見書が県に届いたが、そのうち1枚を紹介させて頂く。





国から八女市に対し、道路の詳細ルート(原案)が初めて示されたのが、令和2年6月中旬でした。
その後、八女市から福岡県に「筑後中央広域都市計画道路の変更について(申し出)」という文書で、都市計画決定手続きの依頼が提出されたのが7月上旬と聞いています。
福岡県都市計画課は「八女市の総意」として、手続きに入ったということです。

確かに、昨年はバイパス計画そのものについてのアンケート調査はあったみたいですが、それは「3案のうちどれにするか」「山側ルートの帯でいいか」というものに過ぎません。
付け加えるなら地元忠見地区にはアンケート調査は一切ありませんでした。
詳細ルート(原案)が示された6月中旬以降、八女市が住民の意見を聴く、質問を聴くという手続きは一切行われていません。

八女市長名で申し出文書が出されたことで「総意」ということかもしれませんが、意見聴取をしていないことから、総意の根拠になるものが存在しません。
八女市が行った手続きには重大な瑕疵があり、今の計画で進めていけば「大きな問題」「住民の後悔」につながるのではないでしょうか。

よって、住民の声をもっと聞き 不安を払拭するためにも、ルートの再検討をお願いします。






八女市の都市計画審議会では、こういった地元の声の紹介すらなかった。
福岡県の都市計画審議会も同じだろうか。





国道の整備は国の直轄事業で、事業費の3分の2を国が、3分の1を県がそれぞれ負担、国が事業化を決定し予算化すると、県も併せて3分の1を予算化し議会に提案、議会は 原則 反対できない仕組みになっている。
財政が逼迫する福岡県、コロナ禍で更に予算が窮屈になることが想定される中、県議会はどう考えるのだろうか。

今回事業化の検討が進められている 国道3号広川~八女バイパスの総事業費は300億円、地元の国会議員は600億円になると吹聴していると聞くが、そうなると県は100~200億円の負担を余儀なくされる。
そうであれば、県はどこかの時点で国と協議していなければおかしい。

過去の会議を辿ると、2018年(平成30年)9月に、八女市と広川町が共同で要望書を提出した後、市と町の代表者を交え、国と県が2回に亘って幹線道路に関する検討会を開催していることが判った。
それ以前に 県と国が正式な協議をしたという記録はない。

検討会は、福岡国道事務所長、福岡県道路建設課長、八女県土整備事務所長、八女副市長、広川副町長の5名で構成され、1回目で八女市・広川町がバイパスの必要性を説明し、2回目で国がバイパスの概略ルート・構造等検討に着手する準備を進めることが決定している。



1市1町が初めて出した要望に対し、わずか2回の会議で 国が いとも簡単に事業化のテーブルに乗せたことに驚いたが、2名の県職員が予算の裏づけもなく同意していることはもっと驚きだ。

福岡県全域から、毎年数多くの国・県道整備の要望が届けられている中で、小川県知事は2名の部下に、将来100億円以上の負担となる道路事業を「優先的に選択する」ことを許容していることになる。
100億円あれば、どれだけ県民の要望に応えられるだろう。

都市計画審議会委員28名中8名は県議会議員の先生だ。
今回の審議会で都市計画決定の承認となれば、次に県議の先生がこのバイパスと向き合うのは、国が事業化を決定した後、3分の1の負担金が予算で上がってくるときである。



2月10日に福岡県都市計画審議会(折登美紀委員長・福岡大学法学部教授)が開催され、弊社が報じてきた「国道3号八女~広川バイパス」のルートについての議案が審査されたが、採決が見送られる異例の事態となった。

審議会の委員は28名(県議会議員8名)、代理出席や公務による欠席で、規定の過半数ぎりぎりで開催されることが通例で、今回も「シャンシャン」で終わるものと思われたが、自民党の県議から異論が出た。

「広川町では数年前に、バイパスを小学校に当てて建て替えると言った方がいるがその通りになり、バイパスルートが随分前に決まっていたのではないか?」
「小学校の建て替えや盛土による道路建設で用地買収の範囲も広くなる等、県の財政負担が大きくなるが、ルート決定に小川知事は了解していたか?」
等の質問があったが、県の担当者からは明確な答弁が得られなかった。

また、別の県議からは、「地元県議から住民に十分な説明がされていないと聞いており、今日採決すべきでない」との意見が出され、最後は委員長が審議保留を提案し 了承された。

過去の選挙において、現職国会議員が「K先生が持ってきてくれた」、また広川町長が「学校の上を通して 建て替える」と吹聴したバイパス計画だったが、県議会が待ったをかけたことで、関係者の間に動揺が広がっている。

今回の保留を受けて、国・県・八女市・広川町がどういう対応をするか、注視していきたい。

歪んだ3号線広川~八女バイパス「広川町編⑨」

今から10年以上前、八女市本地区在住の一人の不動産ブローカーが市長に要求して始まったと言われるバイパス構想、市長が道路族の元国会議員にお願いして水面下で事業化を検討、ついに平成29年に内定した。

住民が本当に望んでいた 国道3号久留米市上津方面のバイパスは、だいぶ先の話になった。
今回のバイパス案は県道久留米立花線と並行する不要不急のルート、更に八女市本地区と広川町の上広川小学校の2ヵ所を通ることが必須条件であるがゆえ、住民のニーズを無視した歪んだルートになってしまった。


この事業費は最低でも300億円、国が200億円、県が100億円の負担をすることになっている。
県は事業化が決定すれば、予算が逼迫する中でも支出しなければならない。
住民の皆さんは、八女市と広川町が毎年、国と県に道路整備の要望を出しているのをご存知だろうか。



直近の要望を下表にまとめたが、事故の多い箇所、狭隘な箇所、過疎化の進む地域へのアクセス向上のための道路など、整備を急がねばならない事業が多数ある。
限られた予算の中から不要不急のバイパス事業に300億円を使えば、これら国・県道の整備は後回しになるのは確実だ。
バイパス建設を推進している 市長、町長、国会議員、地方議員ら政治家の先生は、この点についてどう考えるのか、支持している政治家に是非尋ねて頂きたい。

現在、県の都市計画決定手続きの最中で、遅くとも2月中には都市計画審議会が開催され、承認されれば、国の方で事業化に向けての最終手続きに入っていく。
この段階で、事業化にストップをかけることは通常は不可能と思われるが、弊社の記事は現地に足を運び取材に基づいたものということを申し添えておく。

仮に事業化が決定した場合、住民が刑事告発やそ行政訴訟を起こすこともじゅうぶん考えられ、その場合には証言してもいいという関係者が複数いることも事実、弊社としても今後の経過を見守っていきたい。

今回で「歪んだ3号線広川~八女バイパス『広川町編』」の連載は終了するが、今後ニュースや事件があれば随時掲載していく。



― 了 ―

違法な農地改良を不問に?・福岡県

八女市本地区のブローカーTA氏が、農業委員会の許可も得ず大規模な開発行為を行っているのは既報の通りだが、福岡県が不問に付すという噂だ。

問題の場所は、同氏が代表を務める㈱八女北部開発が、平成30年6月にホームページで、「来年バイパス着工予定」と記載し、「八女北部工業団地」として不動産の物件情報を掲載した地域にあたる。

八女北部工業団地の売却物件情報(2018年6月27日現在)

もともと農地だった場所、事前にバイパスが通る情報を掴んで売り出しているものだが、簡単には農地転用の許可は下りないので、いったん「農地改良」の目的で造成しておき、芋でも植えて、時期を見計らって 農地転用の申請を出すつもりだろう。

しかし、農地改良であっても、「施工期間が3ヶ月以内であること」「施工面積が1000㎡以下であること」「造成高が現況より原則として概ね1m以下であること」のうち1つでも条件を満たしていない場合は、県知事の許可を得ることが義務付けられていて、その際、多くの添付書類の提出が必要でハードルが高い。

今回のTA氏が開発中の土地は、施工期間が1年以上、施工面積は10000㎡以上、しかも1m以上の造成高、3つの条件の全てを満たしていないにも拘わらず、無許可で工事を進めているのだ。



なぜそのようなことが許されるのか。
ある住民は、「TA氏は以前から無許可で開発行為を続けてきた常習犯、三田村市長とは県議時代から深い付き合いで、市もTA氏のために市道の整備などで便宜を図ってきた。敵にすると厄介なので、地元の人や市役所の職員も触りたくない人物」と話す。

福岡県のホームページには、「県知事の許可を受けないで無断で農地を転用した場合には、農地法違反で原状回復等の命令がなされる場合や、罰則が適用されることもある」と記載されている。
このように意図的な確信犯を野放しにして、造成後に追認したり不問に付すようなことがあれば、いわゆる「やったもん勝ち」、今後県内各地で同様の開発行為を行う者が出てくるだろう。

こういう悪質なケースこそ、「原状復帰」などの厳しい処分が必要と思われるが、県の対応を注視していきたい。


現地の地図はこちら

農地転用に必要な多くの提出書類

 

歪んだ3号線広川~八女バイパス「広川町編⑤」

TY氏が動き出した平成29年、もう一人動いた人物がいた。
製材業を経営するW氏であるが、平成29年7月31日付で土地6筆約3785㎡(下図の緑色の2ヶ所)を購入、その3年後にバイパスが通ることが決まった。



この場所は農地で、農業委員会の許可を得て購入している。
農地の売買は営農意欲の高い人に許されるのが前提で、広川町農業委員会の内規では、「所有権移転後3年間は農業を行う」とされているが、現地(写真)を見る限りW氏にそのような意欲はなさそうだ。

土地を売った方の話によると、「相続した土地だが、遠方に住んでいて管理できないので売却した」ということだった。
購入して3年でバイパスが通る、W氏は買い物上手の様だ。


W氏が購入した農地(田)

ー 続く ー

歪んだ3号線広川~八女バイパス「広川町編④」

ところで、広川ICの供用開始が平成10年(1998年)、もう20年以上も前だ。
IC出口から3号線を突っ切って東に約1.8km、県道82号(久留米立花線)に突き当った場所、利便性の高い地点で、実際に県道84号(三潴上陽線)のバイパスの話もあったようだ。
今回、国道3号線のバイパスの起点になることがほぼ決定しているが、TY氏の「目の付け所」はさすがだったと言える。

二人の地権者の話を合わせると、TY氏が国道3号線のバイパスの話が出てくるずっと前から、バイパスが走ることを確信しており、計画が確実になればTY氏が法定手続きを代行し、開発行為に入るつもりだったと思われる。

問題は今回の開発行為を始めた時期だ。
平成28年11月、一般国道3号線改良促進期成会(久留米市・鳥栖市・小郡市・八女市・広川町・基山町)の要望書が国に提出されたが、この年までは、「未整備区間の整備(久留米市・広川町・八女市)久留米市上津町~八女市立花町」と記述されている。
だが、翌29年に、国交省福岡国道事務所が八女市と広川町のバイパスで検討するという考え方を取りまとめており、同年11月に提出された同要望書では、久留米市が分離され、バイパス新設(広川・八女東部地域)という記述に変更されている。
そして、農地を平地にする申請書が出され、開発行為の手続きが始まったのが同年9月20日のことだ。

このタイミング、偶然と言えるだろうか。
八女市編でお伝えしたように、T氏やJ氏が新会社を作って土地開発に動き出す時期とほぼ一致する。
バイパスの話は漏れたら大変なことになり、自治体の幹部と所管課の担当職員以外は知り得ない情報だ。
TY氏が何らかの方法で情報を掴んだと考えて間違いないだろう。





 

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「広川町編③」

今回開発行為が行なわれた場所の地権者お二人から話を伺った。
一人は80歳は過ぎておられるようにお見受けしたが、
「あの場所は、土採取業者の営業が来て土砂を取りたいと言ってきた。平地になったら梨の栽培を始めたい。土砂の費用はもらってない。」
とのことだった。
ご高齢とは言え、農業に対する意欲は感じられた。
造成費用は全体で約1200万円とされているが、実際は土採取業者に無料で土砂を提供することで造成費を相殺、「Win Win」の取り引きが成立したようだ。

もう一人の地権者(久留米市在住)の方は、電話での取材となった。
「あそこの土地を、バイパスが走るというのはもう随分昔からの話、当時不動産会社の社長(現在は会長)TYさんがまとめて計画している。あの場所を何とかするということで、地権者みんなで集まって印鑑を押して任せている。」
と、TY氏が絵を描いていたことが判った。
計画では梅の木15本を植えることになっているので尋ねたところ、
「それもどうなるか分からない。何年か前に、どっかの差し金で、農地がどうのこうのという話になった。何が目的で何がどうなっているのか自分は分からない。」
と、ご自分で農業を始める気はないらしい。

農地改良の目的で開発行為を行なった場所は、その後農業をすることが前提だが、農業を行う期間の法的縛りはないため、地権者が望めば農地を宅地に転用することは手続き上可能という。
デベロッパーが宅地開発する際によく使う手ということで、近い将来、地権者から宅地への農地転用の申請の書類が提出されることだろう。



ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「広川町編①」

平成31年4月に行われた統一地方選挙、広川町では32年ぶりとなる町長選挙が行われた。
1期目から3期連続無投票で当選を続けていた現職の渡邉元喜町長(71)であったが、元航空自衛官将補の竹下英治氏他1名が立候補、厳しい選挙が予想される中、渡邉陣営は必死に支持拡大を訴えた。
その結果、農業団体から土木業界まで幅広い支持を得た渡邉氏が勝利を収めた。

同町で建設会社を経営するTY氏も渡邉氏を積極的に支援した一人、選挙前にTY氏の夫人が町長の引き回しをしたことで、地元では話題になっていた。
TY氏が経営する建設会社の売上は、毎期2億円台から7億円台と大口案件の有無で波があるが、同町では滅多に出ない1億円以上の町発注建設工事に過去10年の間に、JVで4回挑んで見事に4回落札と、強運ぶりを発揮している。

ところで、そのTY氏の会社から直線距離で約200m東に進んだところが、「八女~広川3号線バイパス」の起点(予定)である。
九州自動車道広川インターチェンジから国道3号を直進し、県道82号久留米立花線(通称藤山線)に突き当たったT字路の箇所である。

そのT字路に面した土地は、以前は小高い丘(地目は田・山林)で草木が生い茂っていたが、平成29年9月から大規模な造成が始まった。

3年前の航空写真はこちら

平成29年というと、「歪んだ3号線広川~八女バイパス『八女市編』」で伝えたように、久留米市を分離して広川から八女のバイパスという考え方が取りまとめられた年である。
そして、国交省が八女市・広川町に詳細ルートを示したのが今年6月、造成のスピードにギアが入った。
下は、今年10月2日と12月7日に撮った写真だが、いかに急いだかが見て取れる。
その土地について取材していくうちに、興味深い話を耳にした。



― 続く ―

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空想物語「八芽市の鷹羽氏」

舞台はお茶の産地として知られる八芽市、主人公は「鷹羽氏」、凄腕の不動産ブローカーだ。
八芽市の北側には弘川町が隣接、さらに北に行くと中核都市の久留目市がある。
幹線道路となる国道は2車線で、慢性的な渋滞区間となっている。
通勤通学や流通に時間が掛かり、かなりの経済的な損失が生じていることから、長年に亘り住民や商工関係者からは早期のバイパス建設の要望がなされていたが、事業化に向けて動き出すことはなかった。

ところで、今から約30年前、八芽市の彩藤市長(1977年~1993年)は、企業誘致を進めるために八芽市翻地区の山林や農地を開発する「八芽東部開発構想」を掲げた。
同構想を受け、鷹羽氏は山林や農地の買収、及び工場、産業廃棄物処理施設等の誘致を始め、着実に実現させていく。
しかし、彩藤市長退任後、乃田市長(1993年~2008年)になって同構想は立ち消えになる。

一方その頃、1994年に総事業費約42億円で「八芽東部土地改良事業」が始まったが、鷹羽氏は土地の売買交渉に参加、一部地権者や行政手続きで難航するも、見田村県議(当時)の献身的な力添えもあって、同事業は2004年に無事完了した。
見田村氏に恩義を感じた土地改良事業組合理事長は、以前から万年金欠病で名高い見田村氏に合計700万円を貸し出した。
2007
年に理事長は亡くなり、見田村氏は借りた700万円を返済すべきところだったが、理事長と親しかった鷹羽氏が返済するは必要ないと進言し、返済されないまま現在に至っている。


2008年には、乃田市長の国政進出を受けて、見田村氏が県議を辞し市長選に出馬、初当選を果たす。
見田村市長の借金未返済の事実を知る鷹羽氏は、過去に「八芽東部開発構想」で買収した土地が無駄にならないよう、地元の翻地区にバイパスを走らせるよう市長に強く求めた。

国道の渋滞解消のために県道の整備が行なわれているところで、バイパスの必要性は全くなかったが、見田村市長は道路族の地元国会議員に頼み込んで了解をもらった。
2010
年に八芽市は、鷹羽氏の要望に沿って、弘川町から翻地区を経由して橘までのルートを作成、トップシークレットとされた。
弘川町から橘、つまりこの時点で、最も渋滞の激しい弘川町から久留目市方面は分離されていたが、八芽市の独断で分離できるはずはなく、地元国会議員と国が同意の上だったと思われる。

バイパスの他にも、鷹羽氏は見田村市長との関係を盾に、市役所職員への要求は続けていく。
翻地区の市道整備を強引に実現させるために、時には職員を恫喝するなどエスカレートしていった。
終いには、鷹羽氏の対応を続けてきた市の幹部が、恐怖と心労で年度途中に退職、その後も鷹羽氏から自宅にまで電話が掛かってきたことから、東南アジアに移住を余儀なくされてしまった。
上司が部下を守れない組織では、職員の士気は下がる一方、まさに「やりっぱなし」を地で行く鷹羽氏は、誰も手を付けられない状況を築き上げたのである。


2013年、国が正式に、但し、水面下で動き出した。
久留目市・八芽市・弘川町の担当職員と問題点の整理から始め、2017年に「久留目市を分離して八芽市と弘川町のバイパスで検討する」という考え方を取りまとめる。
このことを知っていたのは、市の幹部と一部の職員だけだったが、さすが情報通の鷹羽氏、部外秘の情報をやすやす入手し、3号線バイパスが予算化されることを確認、そこから素早く行動に打って出た。

長年、市役所内部から鷹羽氏の支援を続けてきた職員を20183月に早期退職させ、5月に八芽北部開発㈱を設立、6月にはホームページの不動産物件情報に「八芽北部工業団地」と題し、翻地区の山林4.3haを売却する旨を記載した。

その後は積極的に用地買収を進め、農業委員会に「農地転用の許可申請」の手続きを踏むことなく、今でも農地の大規模な造成に取り組んでいる。


国は道路建設の手順に従って、自治体や住民の意見聴取を行う手続を進め、20205月、3案の中から山側の帯を通るルートを決めたが、見事に鷹羽氏が造成中の翻地区を通ることになった。
来年度中には事業化が決定し、鷹羽氏の懐には大金が転がって来ることが確実である。

「あの道路は俺が引っ張ってきた。」
近しい人に自慢げに話す鷹羽氏、晩年に夢が叶ってハッピーエンド、凄腕ブローカー人生に1ミリの悔いも残していない。

 おしまい 

八女市・広川町の皆さん、明日から2週間「縦覧」期間です

昨日の記事でお伝えした、福岡県の都市計画決定手続きにおける、2週間の縦覧期間ですが、まだ随分先になると思っていたら、何と明日12月9日から始まるという話を聞いて大変驚いてるところです。

八女市のホームページに11月30日付で「筑後中央広域都市計画道路の変更(案)の縦覧について」というページが掲載されています。
筑後中央広域都市計画道路という名称になっていますが、「国道3号線広川~八女バイパス」です。

12月9日(水)から12月22日(火)までの2週間のうちに、都市計画案を縦覧し、意見書を提出するとされていますが、行政手続きに慣れていない一般の方に、簡単にできるようなものではありません。
しかし、これを逃すと「住民の同意を得た証拠」が積み上げられ、粛々と行政手続は進められていきます。

公式に意見や疑問を伝える数少ない機会ですので、行政OBや有識者に相談され、早急に意見書を提出することをお勧めします。

八女市の場合、八女市役所内で縦覧できます。
リンク 八女市ホームページ、筑後中央広域都市計画道路の変更(案)について

広川町の場合、広川町役場内で縦覧できます。
リンク 広川町役場ホームページ 筑後中央広域都市計画道路の変更案の縦覧



歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑯」

今後のバイパス計画についてだが、事業化に至るまでの工程の中で、今年5月に国の計画段階評価を終え、詳細ルートの原案が6月中旬に八女市・広川町に示され、現在は県の「都市計画決定の手続き」中、これが終わると「新規事業採択時評価」、事業着手決定は目前に迫っている。

県の都市計画課によると、原案に対し「八女市の総意」で手続を進めているところだという。
「八女市の総意」と聞いて、特に忠見校区の皆さんは驚かれるのではないだろうか。

確かに、昨年はバイパス計画そのものについてのアンケート調査はあった。
しかし、それは3案のうちどれにするか、山側ルートの帯でいいか、というものに過ぎない。
国からバイパスルートの原案が八女市に示された今年6月中旬以降、八女市・広川町が主体的に住民の意見を聴くという手続きは一切行われていない。
これを「総意」と呼んでいいものだろうか。

県は都市計画決定の手続の中で、今年9月11日、住民意見を反映させるための公聴会を「おりなす八女」で開催し、公述人20名、傍聴人40名が参加した。
反対の立場の8名からは、「市民の98%がこのバイパス計画を認識していない中で決まっている」「ルートが住宅地を通り住民を無視している」「市からは住民に説明がされていない」「村中を分断するルートは疑問」などの声が聞かれた。
一方で、賛成の立場の12名からは、「3号線の渋滞解消になる」「見崎校区の活性化になる」「東部地域の過疎化対策でインフラ整備は必要」などの意見があった。

これらの意見が原案にどう反映されたか不明で、県に確認したところ、この公聴会後に国の原案に対する見直しは一切行われていないという。
そこで、国交省福岡国道事務所に尋ねたが、「都市計画決定手続きの段階でルートの変更は考えていない」という回答だった。

今後の手続では、都市計画案について2週間の「縦覧」という期間が設定される。

ー 続く ー

 

歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑭」

話を戻すが、平成24年(2012年)にU氏とT氏はバイパスの情報を共有していた。
U氏が言うように、有事の際の必要性からバイパスを建設するというのには説得力がある。
実際に福岡県内においても、災害拠点施設となる陸上自衛隊駐屯地から九州自動車道ICへのアクセス向上の目的で、公共道路の整備が進められている箇所がある。
水面下において、防衛省、財務相、国土交通省と地元与党議員を含む一部政治家で、バイパス建設の意思決定がなされたことが想像できる。
その周辺から、自治体のトップや県議の耳に伝わったとしても不思議ではない。
問題はその先、誰がそのトップシークレットを2人に(または、どちらか1人に)情報を教えたのだろうか。

もう一度、時系列にこれまでの出来事を並べてみる。



2012年(平成24年)にU氏が持ってきた情報は正確で、8年後に一念寺付近を通ることが決定した。
2017年(平成29年)にバイパスを検討することが決まった(市役所内部でも一部の者だけしか知らない)翌年、まだルートが決まっていない中で、J氏とT氏が新会社Y開発を設立し、八女北部工業団地の不動産情報を掲載した。
T氏は土地の買収を進め、農業委員会を無視して現在も大規模な造成を続けている。

情報をいち早く掴んだT氏が先行投資をして開発を進める一方で、福岡国道事務所、福岡県、八女市、広川町の公務員の皆さんは、知ってか知らないでか、結論ありきのバイパスルートに至るまでの「書類づくり」「証拠づくり」に勤しんでいるように思われる。

写真を見てわかるように、これが農地のための造成とは誰も思わないだろう。
ましてや、Y開発が工業団地の不動産情報を掲載している土地、なぜ行政は止められないのか。

八女市議会は機能しているか。
市議会の中島副議長に取材を申し込んだが、「三田村市長を支えているのでお宅の取材は受けない」と断られた。
全く意味不明である。

ー 続く ー

歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑬」

U氏の父親は立花町の顔役で、矢部川の漁業者の権利を訴え、「漁業権」を全国に知らしめた人物と言われる。
U氏は亡くなる前、親交の深かったT氏に「息子のことを宜しく頼む」と伝えたという。
その言葉通りT氏とU氏は手を携えてきたが、行政を歪めてきた2人の行動を 天国のU氏の父親はどう思うだろうか。

U氏が用地買収を巡る「贈賄申し込み」で実刑判決を受けたのは前述の通りだが、「U氏の親族が渡そうとした200万円は、土地を買ってもらった『謝礼』だった」という話を聞いた。
「贈賄申し込み」という言葉からすると、「便宜を図る」ことが未然に防げた印象を受ける。
しかし、地元メディアは、「贈賄申し込み」は移転補償費に対するもので、その前に「余分な土地の買収」があり土地代が既に支払われていたことを伝えている。
問題となった土地は、市が計画していた公園用地に含まれていない土地、今でもストリートビューで同地を確認できるが、廃屋で周囲に雑草が生い茂っている。
U氏は同地を平成22年(2010年)に取得し、同24年(2012年)に同居の娘に売却という形を取っている。
その後、市は「市道改良工事」の目的で平成27年(2015年)8月、12月、同28年(2016年)4月と3回に分けて売買契約を結び同地を買収、その1ヵ月後の5月に贈賄事件が起こった。
時系列で見れば「謝礼」である。



贈収賄事件に詳しいマスコミ関係者は、「これから便宜を図ってもらうための賄賂なら本人が持参する。娘に持って行かせたのであれば謝礼だろう」と話す。
「謝礼」ということなら、やはり市が便宜を図ったということになるが…。

いずれにしても、土地買収後に現金が市の幹部に手渡されようとした事実が、これまでもU氏に対して便宜供与があったことを思わせ、市民の間に不信感が募る要因となっている。

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑫」

バイパス情報をいち早く掴み、共有していたT氏とU氏の武勇伝をもう少し。
T氏は、このシリーズ①②で紹介した土地改良区事業をはじめ、これまで数多くの土地取引に関わり、案件をまとめ上げてきた。
その間、工場や介護施設、産廃施設の誘致を成功させ、ある意味、雇用や税収を増やした凄腕のブローカーだ。
しかし、それらが法的手続きや手順を無視した強引な手法によるもので、その過程において地域住民とトラブルになったことも多く、市や県の職員が対応に頭を痛めてきたのも事実である。

現在造成中の場所から約500m離れた地点にT氏が所有する山林があり、大きく削られ土砂の採掘が行なわれているが、林地開発許可制度では「隣り合って開発したり、はじめは1ヘクタール以下でも将来的に1ヘクタールをこえて開発する場合は許可を要する」とされている。
監督官庁の県に確認したところT氏は林地開発の許可を受けておらず、2ヶ月程前に行政指導を行ったという。



また、「市道」からT氏宅までの「私道」約130mの区間が、「市道」になった話も興味深い。
往来の市道から、脇に30m入ったところに、「〇〇㈱(工場名) ↑100m これより関係者以外立入禁止」という立札があり、普通に読むとその先は工場敷地内と思う。
しかし、そこから先100mは市道だ。

平成9年(1997年)、八女市は約130mを地権者から寄付を受けて公衆用道路(市道)とした。
市は道路を所有すると維持管理のコストがかかるため、市道として認定するには基準をクリアする必要があり、一般的に、①市道間を連絡するもの、②国道、県道、他市町村道に連絡するもの、③主要地と連絡するもの、④都市計画上必要と認めたもの、のいずれかに該当すれば、購入または寄付を受けて用地を取得し、市道認定という流れになる。



その立札から100m先には工場とT氏の私邸があり、その先に住宅は1軒もない。
市が購入する前までは、地目は「田」となっており、工場関係者とT氏は、田の上に作った約130mの私道を通って市道に出ていた。
つまり、田んぼの真ん中に工場の入口と私邸があったことになる。
地権者(T氏とは別の人物)から、その私道を寄付して市道にするよう申し出があったということだが、市道認定基準に合致するものは見当たらない。
ちなみに、工場が現在地に作られたのが平成7年11月、T氏が自宅の所有権を取得したのが同8年5月、八女市が市道に認定したのが同9年12月となっている。
現在、この公衆用道路を使用しているのは1工場と1軒の家だけであるが、つい4年程前も、市は数百万円かけてこの区間の舗装工事をしたばかりだ。

これらはほんの一例だが、他にもT氏が17年前に誘致してきた産業廃棄物処理施設に係る問題は、未だに解決しておらず、住民を苦しませている。

とにかく「やりっぱなし」の人物像が浮かぶが、T氏は勉強熱心で法律に明るく、また、行政内部にも人脈を持ち、様々な方法で上手く使うツボを心得ている様だ。
もちろん、三田村市長とも旧知の仲、腐れ縁と呼ぶ人もいる。
先週弊社に届いたT氏を知る方からの手紙には、これまでT氏の行為に近隣住民が迷惑してきたこと、T氏自身の口から「行政は自分の言う通りに動く」という言葉が出ることなどが綴られていた。

ー 続く ー

 

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑪」

平成28年(2016年)5月、八女市の用地買収を巡る贈賄申し込みの疑いで、元立花町議のU氏とその親族が逮捕され、翌年12月にU氏には懲役2年保護観察付き執行猶予4年の判決が言い渡されている。
同27年(2015年)12月、U氏の親族が市役所内で市幹部K氏に現金200万円を渡そうとしたという、ある意味 昭和なニュースだ。
T氏とU氏、八女市にはもう1人、行政を歪める「ぶっ飛んだ」人物がいると聞くが、本題に戻る。

そのU氏からバイパス建設で土地の先行取得の誘いを受けたことがある、という貴重な情報を八女市在住のA氏から頂いた。
それは8年前、平成24年(2012年)頃、国交省福岡国道事務所が動き出す直前のことだ。

U氏の話は、
「久留米市国分に陸上自衛隊久留米駐屯地があるが、国道3号線の八女市方面が慢性的に渋滞しており、有事の際に駐屯地からのアクセスは国防上の課題がある。そのため、久留米市国分から八女市にかけてバイパスを作ることが決まった。既にルートが決まっている。土地を買わないか。」
という内容だった。
なんと、A氏の部屋のホワイトボードには、その時のメモが今でも記されていた。



そこには、
藤山線バイパス 広川信号→ 忠見
一念寺 → 山内まごころ、6~7年のうち
国防省、緊急整備事業、図面
極小数者しか知らない、広川→立花町
と書かれている。

一念寺は八女市豊福地区、山内まごころとはJA八女葬祭センターのことで同市山内地区、まさに今回のルートの脇に存在しているし、時期的にも符合する。
U氏が掴んだ情報は正確だったと言えるのではなかろうか。

A氏はこの誘いには乗らなかったそうだが、「極小数者」の情報を得た者のうち、実際に行動に移した者もいる。
そのうちの1人がT氏、U氏と昵懇の中というのは周知の事実、情報を共有していたことは間違いないだろう。

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑩」

下の図は、国が示した広川町の起点から八女市立花の終点までのルートで、浸水想定地域、土砂災害想定地域、矢部川などの地形を考慮しながら引かれている。
だが、過度の蛇行を見る限り、それだけかと勘ぐりたくなる。
このルート、広川町については「広川町編」で後述するが、「敢えて上広川小学校を壊すこと」、そして「T氏の売却物件情報の真ん中を通ること」、この2つが必須条件として線引きされた可能性が高いという関係者の声もある。



現在、福岡県が県道久留米立花線を整備中、国が示したバイパス案はそれより山側を並行し、しかも蛇行して走る予定で、費用対効果に疑問が残る。
ちなみに、バイパスの建設費の負担割合は国が3分の2,県が3分の1で、総工費300億円として100億円は県の負担、県道久留米立花線の整備費合わせて二重の支出となる。
県財政がひっ迫している中で、果たして県議会が同意するのかも疑問だ。
バイパスらしく、蛇行の少ない無駄のない、しかもより山側に近い曲線を描くと下図(青線)のようになる。
もちろん、諸条件はあってこの通りにはいかないだろうが、少なくとも上広川小学校とT氏の売り物件情報の円上を通る必要はないのではなかろうか。



上広川小学校とT氏の売り物件情報の円上を通ることで、煽りを食うのが八女市忠見・大籠地区の住民だ。
ルートは忠見地区の見崎中学校付近で急にカーブする。



広川町の起点からここまでは、山側の民家の少ないルートだが、なぜか忠見地区から民家の上を通過することになる。
少なくとも20軒以上の家を壊すことになり、移転補償のコストや、立ち退き拒否で工程が思った通りに進まない可能性も十分考えられる。

※国が示したルートと住宅地図を参考に作成した図、青色は民家

航空写真と住宅地図で確認すると、もう少し山側を走ると民家の通過を最小限に抑えるルートも十分考えられる。
本来であれば、移転しなくてもよかった住民の方が、ルートが歪められたことで移転を余儀なくされようとしている。
突然降って沸いたバイパス建設に、忠見・大籠地区の住民の多くから悲鳴が上がっている。

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑨」

八女市農業委員会事務局から、農地から農地への造成の場合、正確には都市計画法上の開発許可ではなく、農地法上の「農地造成の一時転用」の許可を得る必要があると教えて頂いた。

その手続は、工事着工前までに農業委員会へ「農地造成届出書」が必要で、同委員会と関係課による確認後の許可になる。
提出書類には、造成完了後は必ず農地として利用する旨の誓約書や、造成図面、土砂の搬出入経路図、それに隣接農地所有者等の同意書などがあり、ハードルが高い。

T氏の会社がバイパス予定地で大規模な農地の造成中というのは前述の通りだが、実はその周辺の農地について数年前から造成されていることが窺われる。
全体で1.5万㎡以上の農地だが、遠目から土色一色で何かが栽培されているようには見えない。
同委員会の事務局では今後の対応を協議中とのことだが、コンクリートを入れている場合は現状に復帰させる等の指導を行っていくとのことだ。

2018年(平成30年)5月に設立されたT氏の会社で当初代表取締役だったJ氏は、2013年(平成25年)~ 2014年(平成26年)頃は、八女市農業委員会の事務局に在籍していた。
当時、J氏がT氏に対し農業委員会の手続きで便宜を図っていた疑いがあるという情報も聞いたが、そう言われればT氏が農地の造成を始めた時期と符合するかもしれない。

J氏はその後、別の課の課長になるが、2018年(平成30年)3月、定年前に早期退職をした。
その際、「バイパスの仕事をする」と話していたということを、元同僚から聞くことができた。
市役所内で、バイパスの話は初耳だったので驚いたそうだ。

退職して2ヵ月後、新会社の社長の名刺を持って挨拶に回っていたという。
T氏とJ氏が遅くともその時点で、(実際にはもっと早い段階で)バイパスが通るという確証を得ていて、行動に出たと考えるのが自然だろう。



― 続く ―

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑧」

11月8日投開票の八女市長選挙が告示され、熱戦の火蓋が切られた。
広大な面積の中山間地域を擁する八女市は、高齢化が進み多くの課題を抱えている。
過疎化対策、経済振興策、防災ほか、新病院建設や庁舎の建て替え、そして3号線バイパスについて、候補者それぞれ主張が異なる。
八女市の未来が大きく変わってくるので、投票の行方に注目したい。

3号線バイパスは、計画段階に入っておりもう止めることはできないと思われる。
当然だが、必要な道路なら建設するべきだ。
300億円と言われている建設費、ある国会議員が600億円と言ったという話もある。
地元建設業はしばらく仕事には困らないだろうし、公共事業で雇用が増え消費が増えれば、それなりの経済効果が得られる。
ただし、「未曾有」の自然災害が毎年のように起こり、国土強靭化を求める声が大きい中で限られた国家予算をここに充てていいのか、少し立ち止まって考えるべきではなかろうか。

このバイパスが、「奥八女(黒木町・上陽町・星野村・矢部村)の発展のために必要」と声高に話す政治家がいるそうだが、それは少しピントがずれた意見だ。
あくまで3号線の渋滞解消が目的、百歩譲って過疎化対策というなら、もっと山側のルートを主張するべきでは?
3号線の渋滞解消を考えると、現在の広川町から八女市立花のルートより、むしろ久留米市から広川町を優先するべきという声が大きい。
また、3号線では「道の駅たちばな」から熊本方面、辺春付近は事故が多発し一日中渋滞することが多く、むしろそこにバイパスを付けてほしいとの声も聞いた。

それともうひとつ、道路建設は大きな利権を生む。
情報をいち早く掴んだ一部の者だけが、得をすることがあってはならない。
必要な場所に 「脱利権」、公正に作る道路なら賛成だ。

ー 続く ー



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躓いた八女市・前古賀工業団地計画 ー 後編 ー

代理人は続けて「公社は来ないが、Kという市議が来て印鑑を押すよう言われた」と話す。
市議が動くのも不自然な気がする。
造成工事の入札で、特定の会社に受注させることはご法度だが、お互いが歩み寄れる妥協点を見出すのが土地開発公社の務めと思われるが、交渉中断には別の理由があるようだ。
他の業者に造成工事の発注を確約しているため、市の幹部から公社に「代理人との交渉はするな」と指示が出ているという噂も聞こえてきた。

地権者の同意すら得られていない中で、更なる先走りがあった。
いち早く情報を掴んだのが、福岡市に本社を置く一部上場の食品加工会社、1年程前に同社の社長が市長室を訪れ、「700人程度の雇用を見込んだ食品加工工場を稼働させたい」と申し出があった。
同時に、土地開発公社が土地取得後は造成をせず直ぐに引き渡すよう要望が伝えられ、市側はこれを了承したという。
「土地取得後は造成して4区画に分けて公募」という当初の予定が、「土地取得を代行して食品会社に販売」に話が変り、議会からも「これでは不動産業」との批判も出ている。

食品会社から進出の申し出はあっても、立地協定を締結していない中で工程の遅れをいつまで待ってくれるか分からない。
銀行借入で予算を一部執行している土地開発公社としては、これ以上地権者との交渉を引き延ばす余裕はないはずである。

工業団地計画は、八女市の最重要施策で失敗は許されない。
土地開発公社は早急に妥協案を絞り出し、地権者と交渉を再開し、計画を前に進めていくべきではなかろうか。



― 了 ―

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躓いた八女市・前古賀工業団地計画 ー 前編 ー

「歪んだ3号線広川~八女バイパス『八女市編』」というタイトルで、私的な工業団地にまつわる話の連載中であるが、八女市が正式に進めている工業団地について取材した内容を紹介したい。

市が平成28年度から進めている前古賀工業団地計画に、地権者の一部が反発し膠着状態に陥っているという。
場所は八女インター近くの㈱明治九州工場に隣接する11.2haのまとまった農地だ。
同計画は過疎化が進み、地元で雇用を創出し人口流出に歯止めをかけたいという願いから始まったもので、総事業費18億円、八女市土地開発公社が先行取得後造成して分譲する予定でスタートした。



ところが、手順を誤った様だ。
工場立地は通常、農地転用許可や開発行為許可の申請が終わった後、土地の売買契約という流れだが、少なくとも許可申請前に全地権者の同意を取り付けておく必要がある。
現在、約90軒の地権者と同意を取り付け、先行して前渡金40%の支払いを済ませているが、2軒の地権者との交渉が決裂した状況で、1年以上も工程に遅れが出ているという。
公社によると、地権者の代理人が「法令に反する条件」を出してきたため、それ以降交渉がストップしているとの説明だった。

その地権者の代理人に話を聞いた。
「30年前から自分たちが地権者をまとめて工場を誘致する計画をしてきたが、市が後から来て横取りした。公社には伐採や造成の工事をやらせてもらうことが条件と伝えたら、条件を出すなら買えないと言われた。それから1年半こちらに何も連絡がない。」と、ボールは公社側にあると強調した。
確かに、地権者との交渉を1年以上も中断しているのは不可解だ。



― 続く ―

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑦」

新設道路の計画は、内容が合理的で計画策定のプロセスが適切であることが求められる。
そのため、構想段階から事業化まで、様々な形で委員会や検討会、住民の意見聴取等が盛り込まれ、透明性や公正性において、クレームが出ないようにする必要がある。
しかし、道路行政に詳しい某市役所OBから、「道路建設をするかしないかは政治が決める。計画が表に出た時は全て終わっていて、その前にルートは決まっている。役所は後付けで文句の出ないプロセス作りに奔走するだけ。」という話を聞いた。

八女市では、上陽町・黒木町・立花町・矢部村・星野村との合併後、平成22年(2010年)に「第4次八女市総合計画」が策定され、その中に「国道3号線のバイパスの整備」という言葉がある。
もともとバイパス整備の構想はあったもので、道路建設に関係のある業界にとって、いつ実現に向けて動き出すかが最大の関心事で、政治家や行政関係者からの情報収集に努めていたことと思われる。

役所が動いたのが平成25年(2013年)10月、国交省福岡国道事務所が 久留米市・八女市、広川町の担当者から個別にヒアリングを始め、課題を整理するという作業を始めた。
この段階で、バイパス建設について、政治的にゴーサインが出ていたと想像される。
ただこの動きは役所の内部の人間しか知らないことだ。
仮に外に漏れれば、何かしら工作を始める輩が出てくることが考えられる。
少なくとも八女市に限っては、そのようなことは決してないと信じたい。



― 続く ―

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑥」

地元の人から、T氏が10年以上前に農地に無許可で自宅を建築し、農業委員会とトラブルになるも最後は押し切ったという話を聞いた。
随分前から、行政も手を焼く存在だったことは間違いなさそうだ。

T氏が不動産会社の代表とこれまで書いたが、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで社名を検索したが、建設業、宅建業、いずれも福岡県知事の許可は確認できなかった。
通常、不動産会社のホームページには宅建業免許の番号が掲載されているが、T氏の会社の不動産物件情報のページには免許についての表記は見当たらない。
T氏の会社は宅建業の許可がない状態で、他人の土地の物件情報を掲載している可能性があり、仮にそうだとしたら 法令違反の疑いもある。

また、会社の登記簿謄本を確認したところ、設立が平成30年(2018年)5月9日、設立されて2年6ヵ月、目的には「不動産の売買・賃貸・賃貸借の斡旋・管理・保有・運用」「地域開発、企業誘致等の開発造成事業」「農作物の生産・加工・販売業」と、今 進めている状況が記されている。

役員の欄に、J氏という人物が出てくる。
設立当初はT氏とJ氏がそれぞれ代表取締役だったが、平成30年(2018年)12月30日、わずか8ヵ月でJ氏は解任されている。

そのJ氏の前職が公務員、早期退職をして新会社設立と同時に代表に就いたということが判った。



ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ⑤」

下の図の中で、黒の円はT氏の不動産会社が2018年6月に物件情報として売り出している範囲を示している。
弊社の調査で、バイパスルート案が示された付近(黄色で囲った範囲)の一部をT氏が所有していることが判った。
注目すべきは緑色の部分の一部を、昨年から今年にかけて数人の地権者から購入していることだ。
中には、国がルート案を示した後、今年6月の売買もあった。
売却した地権者の1人は、「地区の世話役が家に来て、周りの地権者もT氏に売却しているから、あなたも売らんねと勧められた。バイパスが通ることは知らなかった。」と話す。



現在、T氏の会社名が記された重機が、ここ1年で取得した土地(緑色の箇所)の整地を進めている。
地元の人に聞いたところ、以前は緑色の部分はブドウやキウイ畑だったが、昨年から伐採して野焼き、そして整地が始まったということだ。



まるで工場でも誘致するかのような造成に見えるが、現状では登記上、地目が「田」や「畑」となっている。
整地後、一旦は野菜を栽培し、時期を見計らい農地転用の申請をして、最終的に工場用地として売却する計画と考えられ、当たっていればT氏の事業意欲は相当旺盛だ。

問題はその規模である。
農地の生産性向上を図る目的での「かさ上げ」や「畑に変更」等の形状変更であれば法的な縛りはないが、ここの場合は5000㎡以上の面積で、切土・盛土を含む土地の形状を含む都市計画法上の開発行為に該当しており、農業委員会を通じて県から許可を得る必要がある。

ところが、八女市農業委員会に確認したところ、議題に上がったことがないということが判った。
つまり、県の開発許可を得ずに行為に及んでいる法令違反状態、しかも主体が不動産会社とあっては確信犯と言えるだろう。

一方で、これほど堂々とした開発行為に地元の農業委員が気づかないはずはない。
これが罷り通れば、八女市では農地にビルを建てても許されるだろう。
ただの怠慢なのか、祟りが怖くて触らないのか、あるいは、黙認するよう誰からか指示があったのか、いずれの理由にせよ、農業委員会法に定められた職責を果たしているとはとても言い難い状況に陥っている。

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ④」

下は、国が示した図面(バイパスルート案)である。
住民説明会等では公表してはいるものの、資料として配布されておらず、現時点においてインターネット上にも公開はしていない。



八女市北部の山林から南下して、道の駅たちばな付近で国道3号線に合流するコースであるが、国は地形等を考慮し、コンサル会社に委託して図面(バイパスルート案)を作成したとしている。
関係自治体と地域の事情等の調整はするが、細かい要望までは聞かないのが建前だ。

このルートを見て、新設のバイパスという割にはカーブが多く蛇行しており、中央部では民家の多い平地を通過することから、立ち退き・移転交渉などの金銭的、時間的な行政の負担も大きいのでは、というのが率直な感想である。
国が作成したルートなので、取りあえずこれがベストということで受け止めておく。

しかし、T氏の不動産会社が2年前から「バイパス着工予定」としていた通りに、国のバイパスルート案が示されたということで、裏があるかどうか調べてみる価値はある。
現地で取材を進めていくうちに、不動産会社が示した範囲の中に、興味深い点が出てきた。

ー 続く ー

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歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ③」

現在もT氏は不動産業に精力的に打ち込んでいるようだが、2年前のネット上の売却物件情報が未来を言い当てており、憶測を呼んでいる。

情報の日付は2018年6月27日、内容は次の通り。



「八女北部工業団地」というタイトルがあるが、八女市役所に確認したが、現在そういった構想はないとのこと、おそらくT氏が命名したものと思われる。

国がこの山側ルートに決定したのが今年5月、翌6月に図面(バイパスルート案)が示された。
区間の起点が『陸上自衛隊久留米駐屯地』こそ違え、この物件情報で示された地域の真ん中を見事に通過している。

「国道3号線バイパスの開通(来年着工予定)」という記述から、T氏は少なくとも2年前の 2018年6月には、バイパスがこの周辺を通過することを確信していたと考えられる。

念のため、八女市建設課にバイパスのルート案は以前から出来ていたのか問い合わせたところ、きっぱりと否定された。


※ 不動産会社の物件情報に示された地図(バイパス案は、円の中心を通過)

ー 続く ー

歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ②」

バイパスの話から、移転立ち退きの話になって、過去の土地改良区の話題になったとき、Aさんは次のように語った。

「N氏は既に亡くなったが、男気のある方で、『土地改良事業には、多くの地権者がいて困難を極めるが、理事長として何としても完成させたい』と、常々話しておられた。県議にお金を渡したというのはその通り。自分が聞いているのは700万円。あと300万円は自分の財布から出したのかな?」

土地改良事業においては一定の基準で宅地へ転用は認められており、宅地にしたことそのものは法令違反ではない。
しかし、土地改良区の収益の中から県議にお金が渡ったことが事実であれば、そこは問題があったと言える。

告発文には、参考人として2人の名前が記されている。
1人は土地改良区事務局のE氏(故人)、もう1人は「土地を買ったことは事実」と認めたとされる不動産会社社長T氏だ。

なぜ、本稿でこの告発文について紹介したかというと、バイパス計画の取材を進めていくうちに、不動産会社社長T氏の名前が浮上してきたからである。

T氏と元県議のM氏は、土地改良事業以降も続いている様だが、力関係ではT氏が強いという逸話を地元の人から聞いた。

18年程前に山里に突然、食品残渣等の発酵処理をする産廃中間処理施設ができ、そこから出る悪臭に周辺住民は悩まされてきたが、問題が起きた当初はM県議が率先して解決に取り組むことを住民の前で明言していた。
それを知ったT氏が激怒、なぜなら同施設を誘致したのはT氏だったからだ。
その後M県議は市議(故人)に連れ添われてT氏を訪ね謝罪、それからはこの問題からは手を引いたという。

ー 続く ー

歪んだ3号線広川~八女バイパス「八女市編 ①」

現在、国道3号 広川町~八女市間のバイパス建設事業化に向けて、国・県・八女市・広川町で協議が進んでいるが、国から図面(詳細なルート案)が示され、八女市と広川町が県に都市計画決定の要望をしている段階だ。

八女市・広川町は、ルート案について了承したことになっている。
しかし、学校や生活面に大きな影響を与えるにも拘わらず、地域住民への周知が十分にされないまま、急ぎ足で法定手続きを進めており、地元からは不満や戸惑いの声が上がっている。

話は変わるが2ヶ月程前、政治家の贈収賄についての投書があった。
それは、県南の田園都市における土地改良区事業に係る贈収賄についてだった。



2007年6月28日付、福岡地方検察庁検事正宛の告発文のコピーで、告発人の名前は消されており、手書きで「このたびの件は大物政治家の介入で事なきを得ていますがまだ外に業者からのワイロが沢山ありますので警察も全見逃すことはできないと思います。しっかり監視して下さい。(原文ママ)」と書かれていた。



告発文の内容を要約すると、「土地改良(農業促進のために行われる基盤整備)事業は、原則農地を宅地にして売却してはいけないが、減歩して余った土地を宅地にして売却し、利益を上げてきた。その謝礼として土地改良区理事長N氏は、便宜を図った県議M氏に400万円を支払った。それらは贈収賄にあたり、その2名を告発する。」というものだ。

興味は湧くが、古い話で既に時効も成立している。
出どころも不明、偽造の可能性もある。

しばらく書類の中に埋もれていたが、つい先日、国道3号のバイパス計画を取材している際、贈賄で告発された理事長N氏と懇意にしていた方(Aさん)に偶然出会うことができた。

ー 続く ー

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