代理人は続けて「公社は来ないが、Kという市議が来て印鑑を押すよう言われた」と話す。
市議が動くのも不自然な気がする。
造成工事の入札で、特定の会社に受注させることはご法度だが、お互いが歩み寄れる妥協点を見出すのが土地開発公社の務めと思われるが、交渉中断には別の理由があるようだ。
他の業者に造成工事の発注を確約しているため、市の幹部から公社に「代理人との交渉はするな」と指示が出ているという噂も聞こえてきた。
地権者の同意すら得られていない中で、更なる先走りがあった。
いち早く情報を掴んだのが、福岡市に本社を置く一部上場の食品加工会社、1年程前に同社の社長が市長室を訪れ、「700人程度の雇用を見込んだ食品加工工場を稼働させたい」と申し出があった。
同時に、土地開発公社が土地取得後は造成をせず直ぐに引き渡すよう要望が伝えられ、市側はこれを了承したという。
「土地取得後は造成して4区画に分けて公募」という当初の予定が、「土地取得を代行して食品会社に販売」に話が変り、議会からも「これでは不動産業」との批判も出ている。
食品会社から進出の申し出はあっても、立地協定を締結していない中で工程の遅れをいつまで待ってくれるか分からない。
銀行借入で予算を一部執行している土地開発公社としては、これ以上地権者との交渉を引き延ばす余裕はないはずである。
工業団地計画は、八女市の最重要施策で失敗は許されない。
土地開発公社は早急に妥協案を絞り出し、地権者と交渉を再開し、計画を前に進めていくべきではなかろうか。
― 了 ―
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