大阪万博とゼネコン

4月13日開幕の大阪・関西万博まで残り3週間となるも、チケットの売れ行きにも暗雲が漂う中で、各パビリオン建設も大きく遅れている。

チケット販売状況は目標の1400万枚を大きく下回る800万枚、日本国際博覧会協会は2820万人の来場者を見込み、運営費1160億円の大半は入場料収入で賄うとしていたが、状況はかなり厳しい気配が漂っている。

インフルエンサーなどを使い開幕後に人気が急上昇し、当日チケットなどの販売が好調に推移すれば、収益面もプラスになる可能性もなくはない。

しかし、建設費同様に赤字幅も膨らみ税金投入の可能性も十分に考えられ、そうなれば吉村洋文大阪府知事の責任問題はもちろん、ひいては日本維新の会の支持率低下にも繋がりかねない。

開幕が近付いても、「目玉がわからない」「価格が高すぎる」「交通アクセスが悪い」「パビリオン建設が遅れ、内容が見えて来ない」などの理由から、万博に行きたい人の数字も低下、特に地元京阪神圏の人気が落ち込んでいる。

47ヵ国が独自に建設する海外パビリオンも、先月までに完成したのは6ヵ国のみ、これまで夜間や祭日の工事は行っていなかったが、24時間フル稼働体制に移行、4月5日、6日には大阪在住の4万人を集めプレオープンが予定されており、実質的な工期を今月末と考えると厳しさはかなり高いと見る関係者もいる。

パビリオン建設においては、各国のこだわりが非常に高く、各国産の建材などを求めており、材料が間に合わない話や工程のやり直しなどもあるようだ。

主要道路が1ルート、地下鉄が1路線、駐車スペースから現場までが非常に遠いなどの声もあり、体調が悪くなった場合などの労災も心配され、万が一にも事故が起これば全ての責任を負わされるだろう。

しかし、日本のゼネコンの技術力の高さは評価されており、また意地でも無事故で全ての工期を間に合わせると思うが、兎にも角にも無事に完成させ、日本のゼネコンの底力を見せつけて欲しいと思うばかりだ。



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前市長逃亡? 大丈夫か、大阪IR

平成28年12月22日、大阪市内で行われた大阪都構想の説明会の中で、松井一郎市長(当時)が言い放った。
カジノに税金は一切使いません。

「これ統合型リゾートですから特定の政党(共産党?)が間違った情報を流布してますけど、これだけはっきり言っときます。IRカジノには一切税金使いません。逆です。民間事業者が大阪に投資してくれるんです。その額は 5000億から1兆円 大阪に投資されます。そこはご心配いただかないようにしてください。」

ところが、既にIRの土壌対策として 1000億円を超える公費(税金)が投入されることが明らかになっている。
当初は複数のIR開発会社の競合を想定していたが、終には米国MGMのみとなり、現在のカジノ業界を取り巻く環境をみても いつ離脱してもおかしくはない状況にある。
それを裏づけるのが「解除権」の3年間の延長だ。

大阪府・市がIR開発会社と締結する実施協定案には、一定の事業条件が整わない場合、契約を解除する権利が含まれており、権利を行使した場合、IR開発会社は損害賠償も手数料も支払う必要はない。
2026年9月まで3年間の解除権延長は、MGM側の意向をのんだ格好で、府・市は圧倒的に不利である。

途中で解除された場合、代わりの業者はいないので それまでの投資が無駄になる。
IRと万博の成功・失敗は大阪の経済だけでなく日本全体に影響が及び、国費も投じられるので他人事で済ます訳にはいかない。

既に想定外が続き、IRの開業時期は延期されている。
万博~IRを推進してきたのは紛れもなく日本維新の会、その中心人物で「税金は一切使いません」と言い放った松井市長は早々と退散、責任回避で逃亡したという声も。

維新は「身を切る改革」で党勢を拡大してきたが、これらの事業でやっていることは正反対、そのフレーズが霞んで見えてくる。


 

新自由主義のための改革か

2012年、橋下徹氏率いる「日本維新の会」が結成された頃は、民主党に失望した国民の期待が高まり、政治を志す多くの若者も橋下氏と共に改革ができると信じて集った。
ところが、当の橋下氏は自分の意のままに政界が動かないことが分かった途端、あっけなく政界を去り、今はコメンテーターとして気ままに活動している。

核がなくなり維新の支持率は急落、テレビに出る国会議員も冴えない面々で風前の灯火だったが、コロナ禍の対応でイケメンの吉村洋文府知事が毎日の様にテレビ出演、お陰で支持率が回復した。
野党共闘で支持率がジリ貧となった立憲民主党ほか、自民に変わる選択肢がなくなった衆院選では、維新が浮動票の受け皿となり想定以上に躍進することとなった。

今年7月には参議院選挙を控え更なる党勢拡大を目指す維新、「是々非々を貫き、既得権益にとらわれない改革政党」というイメージが定着しつつあるが、本当にそうなのだろうか。

馬場伸幸日本維新の会共同代表が12月10日、政治資金規正法違反の疑いがあるとして政治資金オンブズマンに刑事告発されたとの報道があり、村上世彰氏が日本維新の会本部と支部、その他に計2900万円という巨額の寄付を行っていたことが明らかになった。
「村上ファンド」の創設者である村上氏は、敵対的TOBを仕掛けるなど、独自の手法で荒稼ぎをすることで注目された人物で、新自由主義の象徴的存在だ。

新自由主義と言えば竹中平蔵氏がその代表格だが、維新が衆院選の公約で掲げた「ベーシックインカムの導入」も竹中氏が一昨年から提唱していたものだ。
安倍・菅政権の時と違い、岸田政権に対し維新が対決姿勢を前面に押し出しているのは、自民党総裁選の時から「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換」と宣言したからに他ならない。

維新は先月、党三役に国会議員になってわずか3年目の若手3人を起用した。
年末の国会では、彼らが舌鋒鋭く総理に迫る姿は格好よく映ったが、竹中氏・村上氏の代弁者であることを思うと、素直に頷けないのである。
結局は新自由主義の継続、資本家に有利、格差拡大を助長するのではないか。

「維新八策」や「身を切る改革」もいいが、その先にどんな未来があるのか、誰が得するのか、明確な答えがほしい。

支持率を伸ばす維新

日本維新の会の支持率が伸びている。

創立者の橋下徹氏が離れ、求心力を失ったことで支持率が下降、一時期は内部のゴタゴタもあり、安倍内閣の補完勢力と呼ばれるようになって、昨年末には支持率も1%を切っていた。

しかし、今回のコロナ対策で安倍政権の迷走ぶりが目立つ中、44歳でルックスも備えた吉村洋文大阪府知事の的確な対応が際立っており、同氏のイメージが維新の支持率アップに直結している。

最新の世論調査における日本維新の会の政党支持率は、日本経済新聞・テレビ東京の調査で7%(前回3%)、共同通信の調査で8.7%(前回5.3%)と急伸しており、次期衆院選で比例票を大きく伸ばす可能性も出てきた。