ロワールの「自然消滅」 [2009年3月23日10:31更新]

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世界規模の金融恐慌で各国政府は対応に追われているものの、いまだにその効果の兆しは見えて来ない。国民は苦しい生活を強いられ、財布のひもは固くなる一方である。



そんな状況下で地元デベロッパーである「ロワール」(福岡市中央区)が2月24日に突然1回目の不渡りを起こし、数名いた社員を解雇し事業を停止した。

同社は、現代表の実父が「新生住宅」を設立したのがスタートで、「ロワール」の名でローコストマンションの分譲を始めた。最盛時には業界の役員も務め、大型プロジェクトの「デュオ柏原」を成功させたが、第1次マンションブームの終焉とともに破綻した記憶も新しい。

その後、現代表が福岡銀行の支援を得てロワールの名で会社を設立。地元建設会社の協力で分譲マンションの販売を行い、相応の実績も残した。

しかし大野城市に計画した新しい物件の用地取得が遅々として進まず、最終的には注ぎ込んだ資金が「ドブ漬け」となったようだ。資金繰りに追われる結果を招き、個人から借用していた資金の返済を迫られ、ついに今回の事態を招いたものと思われる。

不渡り後は本人との連絡も途絶えがちで、取引先や友人も心配しているような状態。弁護士事務所に法的手続き申請を依頼している模様だが、1カ月を経過しても申請されていない。資金が枯渇し費用の調達が出来ず、申請手続きは保留になっている公算が強い。

顧問弁護士に対し、過去の顧問料も滞っているとの噂も聞かれ、最近は弁護士との連絡も途絶えていると言われている。

一部債権者は自社の顧問弁護士を通じて債権放棄の手続きを取り始めたとの情報もある。市内には多くのロワールマンションがあるが、再起は事実上不可能。「自然消滅」の形で幕は下りたと言えそうだ。

(J)