混沌としてきた知事選の候補者選定 その背景 [2011年2月3日11:13更新]

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4月に行なわれる予定の福岡知事選は、自民・民主両党ともに候補者選定作業が終盤を迎えているが、自民の擁立候補として浮上していた小川洋氏が昨日、民主県連にも推薦願いを提出したことから、状況はさらに混沌としてきた。



自民県連に対しては現在、小川氏のほか蔵内勇夫県議、九大の谷口博文氏が推薦願を出している。当初は小川氏が先行していたが、麻生太郎元総理の「番頭格」、北九州市地区選出のN県議から名前が漏れたことで古賀誠衆院議員や多くの有力県議・市議らの反発を買い、いったんは白紙状態に。

だが小川氏は現職の麻生渡知事や麻生元総理の支持を受けているとされ、そうしたことに自信を深めたのか、自民の推薦を得られなくても出馬する意向を表明している。

自民の擁立候補としては今のところ谷口氏が本命と思われ、有力県議である蔵内氏が知事候補に名乗りを上げたのも、最終的には自ら引いた上で麻生元総理・N県議側との「痛み分け」の形で小川氏を引きずりおろすのが狙いと見られていた。だが小川氏の姿勢が思いのほか強固のため、一部の思惑通りには行かない可能性が高まってきたと言っていい。

 

今回の動きを振り返ってみると、まず最初に麻生知事と麻生元総理との話し合いで小川氏を知事候補に推すことが決まった。この話はまず九電会長の松尾新吾氏に名前が伝えられ、次に福岡商工会議所会頭の河部浩幸氏、さらにJR九州会長の石原進氏と財界のトップに流れ、最後に民主の支持母体である連合福岡会長の高島喜信氏に伝えられたという。

民主は早い時期から表向き「自民との相乗りはしない」と表明、知事選において対抗馬を擁立する姿勢を示していた。だがその裏では2人の麻生氏が民主・自民の統一相乗り候補を想定した構図を描き、有力財界人だけでなく民主の有力支援団体まで巻き込む動きを展開していたわけである。

ここまでは良かったが、河部氏や石原氏は先の福岡市長選挙において現職の吉田宏市長を落選させた「戦犯」であることを忘れていたようだ。また連合の高島氏に対しても、県政界を支配することを優先しつつ財界との融合を目論んだとして、一部民主議員から反発が出ている状況である。

空気が読めない政治家が言い出し、相談した相手はすでに現役を引退して久しい財界の重鎮。要するに、時代遅れの連中が現役の意見を聞かずに「暴走」した結果、小川氏の名前だけが一人歩きしてしまい、現在のような混迷状態を招いたと言える。

 

自民福岡県連の会長職をめぐっては麻生・古賀両衆院議員の代理戦争となった結果、武田良太衆院議員に決まった経緯がある。知事選候補についても同様に両氏の代理戦争の色彩が濃く、多くの自民関係者はこうした対立構図に嫌気がさしている。

一方、民主議員においても大多数は古い政治体質を残す労組からの脱却を考えているのが現状。今回の騒動は結果的に、若返りを望む両党議員の動きに拍車をかけることになるかもしれない。