大任町から出た違反盛土の全容

添田町民を土砂災害の不安に陥れている盛土の全容が、県への情報開示請求等で判った。

土砂の埋め立ての許可を得ているのは 個人、開示請求では氏名と住所が黒塗りで出てきたが、現場の標識や看板には、許可を受けた者として 「永原譲太郎」氏の記載がある。
土砂埋め立てを行う期間は 平成15年2月18日から令和5年7月31日まで、土砂埋め立ての工事の施工は 有限会社譲(大任町)が行うことになっている。



令和4年6月20日付で 提出された土砂埋め立て等状況報告書によると、
土砂埋め立て区域の全体面積は 8万4808㎡、埋め立てを行う面積は 7万7058㎡、許可を受けた最大土砂量が 74万7006㎥、このうち令和4年4月18日までに 68万3576㎥が搬入されており、その割合は 91.51%とされている。



さて、問題は高く積み上がった盛土部分である。
これについては、令和4年6月15日付で 許可を受けた者から県に顛末書が提出されている。

そこには、① 区域外に4500㎥の土砂を搬入したこと(下図 赤色エリア)、②計画高を平均6mほど超過したこと(下図 黄色エリア)が報告されていた。
つまり、現在の状態は 県条例違反ということである。

顛末書には、その原因を「許可地北側への埋め立てが追いつかず、南側平坦地に仮置きしたまま、許可時の高さを超えてしまった」と弁明、北側とは緑色エリア、南側平坦地とは黄色エリアを指している。

下図①の黄色エリアが約8000㎡×4m超過で 体積 約3万2000㎥、②の黄色エリアが 約2万㎡× 6m超過で体積 約12万㎥、合計で 約15万㎥は違法に積み上げたことになり、仮置きというレベルの話ではない。
専門家は確信犯ではと指摘する。




条例違反状態の添田町の盛土であるが、今後については 永原氏が顛末書の中で、「計画を超過した土砂を来年1月までに許可地内の緑色エリアへ移動させ、また、違反行為の是正作業が完了するまでは新たな土砂の搬入はしない」としている。



県の説明によると、下写真の緑色の植栽シートの上端から上1~2mまでが許可を受けた高さという。



それより上の部分の 平均6mが 違反した部分で、今後 下写真右側(緑色エリア)に移動することになる。
県としては、違反行為が是正されれば 土砂災害の危険は無くなるという認識だ。
また、永原氏も指導に従い違反状態を是正しようとしているので、これ以上の処分や罰則を与える予定はないという。



昨年7月に起こった熱海の土石流以降、下流域の住民から災害を心配する声が上がっていたが、その不安を払拭しようという動きは鈍く、弊社も「怒る不動明王(令和4年6月6日)」という記事で報じた。

その後、偶然かもしれないが、6月15日付で永原氏が県に顛末書を提出し、事態が動き出している。

今夏、幸いにして添田町に災害級の線状降水帯は来ていない。
ちなみに、昨夏の熱海の盛土は総量7万4000㎥、うち5万4000㎥が大雨で崩落し、土石流(5万5500㎥)の97%を占めていたとされる。
この場所の盛土は、総量約68万㎥、うち 高さ超過の違反盛土が 約15万㎥(推計)である。
仮に災害が起これば、その量からして 熱海より大きな被害が出る可能性もある。

本来なら 政治家が積極的に動くべきところだが、昨年9月議会で山本文隆議員がこの件で質問をした以外、他の町議から問題視する声は聞かれなかった。
盛土の管理は県の管轄で、こういう時こそ地元県議に体を張ってもらいたいのだが、県議会の会議録を見る限り、質問した形跡は見られない。


危険がすぐそこにあるのに 行政も政治家も沈黙している。
ある町民は「現場が隣町の親分と関連があるから」と諦め気味に話した。




9月18日から19日にかけて、台風14号が西日本各地に爪痕を残した。
中心部が飯塚市付近を通過、添田町では 12時間降水量が 345.5ミリに達し、18日の降雨時には現場から泥水が公道に流れ出ているという報告もあった。



21日、盛土の下側の集落を取材した。
大雨の中 緊張しながら過ごしたという。

下は 6月2日と9月21日の盛土を比較したものだが、形状が変わっている。



黄色の枠で囲んだ部分に かなりの土砂が増えているように見えるが、永原氏の顛末書にある「超過した土砂を許可地内の緑色エリアへ移動」ということの様だ。

心配なのが 白色の枠で囲んだ部分、植栽シートが陥没しているように見えるが土砂の流出はないのだろうか。
県の担当に尋ねたところ、「確かにシートが破れて土砂が流れたが、敷地内に留まっており問題はない」とのことだった。



また、写真(下)では よく分からないが、高さが6mオーバーしていた盛土については、県が 計画の高さまで下げたことを確認し、9月5日付で 土砂の受け入れ再開を許可したという。

集落の方の中には「県議からは何の報告もない」と呆れ気味に話す方もおられたが、現状は 法令違反も解消し「安全性に問題はない」という県のお墨付きも出ているので安心して良いようだ。

注目が集まり始めた田川市

昨年来、様々な話題をマスコミに提供し全国に名を轟かせた大任町だったが、隣接する田川市からも注目を集めそうな情報が出てきた。

田川市・川崎町・糸田町・福智町の1市3町で構成される田川広域水道企業団(企業長 二場公人田川市長)では、今年2月、浄水場及び調整池の建設(土木・建築)工事の入札を予定価格51億2516万円(税抜)で実施、一般競争入札にも拘わらず参加したのは1社のみ、飛島建設㈱が 50億7000万円(落札率98.9%)で見事に落札した。

入札結果表はこちら

コロナ禍で 民間の建設投資が落ち込む中、50億円の公共工事に1社のみというのは不自然という声も聞こえてくるが、それ以上に興味深い事実が判明している。
それは、昨年11月に企業団が購入した調整池の予定地の一部が、㈲譲(大任町)が所有する土地だったことだ。

譲と聞いてピンときた方も多いだろう。
先日 添田町の違法な盛り土について FRIDAYが報じたばかりだが、その土砂を搬入している業者である。

FRIDAY 30mの巨大盛り土が出現 台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴!

企業団によると、貯水池の場所は複数の候補地から選ばれたわけではなく、地形的に「ここ」しかなかったという。
土地の売買価格は非公表だが、そういう理由なら納得するしかない。

ただ、水道企業団の企業長は田川市の二場市長、その義兄が大任町の永原町長、永原町長の娘婿が 譲の代表取締役という関係、形式上、二場企業長は甥っ子の会社から土地を購入したということになる。

ついでに言うと、飛島建設の工事に 永原町長の長男が代表を務める㈱鷹羽建設(大任町)と譲が下請に入っていることも判っており(下図)、田川地区の同業者の間では、その営業力の高さが話題になっている様だ。

町民の命を守れるリーダーを

添田町では町長選挙(17日投開票)が始まっているが、ちょうどいいタイミングで 週刊FRIDAY(7月22日号)に同町内の危険な盛り土の記事が出ていた。
タイトルは「約30mの巨大盛り土が出現 ~台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴が!~」。

記事によると、許可された高さを6mもオーバー、県は3度の行政指導を行っている、残土処理場で土砂を積み上げているのは 大任町の永原譲二町長の娘婿が代表を務め建設会社とのこと。
地元関係者の話では、同処分場に掲示してある看板には、管理者として 永原町長の息子の名前が記載されているという。
大任町では4年ほど前から汚泥処理施設やゴミ焼却施設の建設に係る土木工事が行われ、大量の土砂が搬出されているはずだが、その全てが添田町の処分場に運び込まれたのだろうか。

永原町長と言えば、全国町村会副会長(福岡県町村会会長)、福岡県介護保険広域連合の連合長、田川地区広域環境衛生施設組合の組合長など 要職にあり、コンプライアンスの徹底には厳しい方と聞いている。
まさか大任町の公共工事で出た土砂を、家族の管理する処分場に運び込むような「我田引水」を許すはずがないのでは?

問題は添田町の町長選、隣町の町長の息子による法令違反で土砂が積み上がり、添田町民に恐怖を与えているのは事実だ。
町民の命を守るため、相手が誰であっても、例え特殊警棒で威嚇してきても、堂々と もの申せるリーダーが望まれていることは間違いない。

大任町長が 国と折衝して資金調達!

大任町の永原譲二町長が 話題になっている。

昨年は 「6年間一般質問ゼロの町議会、12月定例会も不許可」とメディアが報じ、閉鎖的で強権的な政治手法が 福岡県内に知れわたった。
そして今度は、2月14日発売の週刊誌が「町長が『殺すぞ』と住民を威嚇…福岡県の“とある町”の『危険な黒歴史』」と報じ全国に 町の名を轟かせた。

現在5期目、長期政権ゆえの慢心や驕りが、一連の報道に繋がったのは事実だろう。

大任町と言えば1億円トイレのある道の駅が有名だが、町の印象が悪くなるばかり、住民にとってはいい迷惑だ。
さすがに これではいかんと思ったのか、地元紙が明るい話題を報じた。

17日に行われた 大任町を含む田川地区8市町村の共同施設「(仮称)大任町ごみ処理施設」の起工式の記事だ。
簡単に言うと、「2016年に8市町村が大任町に施設建設を委託、その後資金面で問題が出そうな自治体があったが、全国町村会副会長の永原町長が国などと1年近く折衝し、資金調達に目途をつけた」というもの。
記事には ごみ処理場の完成予想図とともに 永原町長が鎌入れをする写真も掲載された。

人間一面だけで語ることは難しい。

政治は関係なしで、道の駅「もみじ館」に行って野菜を買いましょう。