■ 竹尾緑地案を譲らない教育長を再任
原﨑市長は2019年12月の庁議で決定した竹尾緑地での中学校新設案を、2ヶ月後の2020年2月3日の庁議で「安全性に問題がある」として凍結するよう、方針を転換した。
市長が市民の意見を聞くのは当然で、総務文教委員会の指摘や環境団体の主張に、市長の心が動かされたことに口を挟む余地はないが、教育部局や庁議で時間と労力をかけて積み上げて出来た最終結論をひっくり返すとなると、説得するだけの合理的な材料と まとめる力が必要だ。
不可解なのが、昨年の3月議会で市長が、竹尾緑地案を譲らないことが分かっている柴田幸尚教育長の再任議案を提出してきたことだ。
教育部局は市長部局から完全に独立しており、市長は教育行政に口を挟むことができないが、市長には教育長の任命権があり、教育施策をやり遂げるためには思いを共にする人物を選任すればよい。
2月の庁議で市長が方針転換をしたことに、柴田教育長が反発していることを議会も分かっていて、数名の議員が市長の真意を質している。
蒲生守議員の質疑
市長は、柴田氏の実績を高く評価しているという答弁を繰り返し、学校建設については調整を図るとし、再任案を承認するよう議員にお願いし、議案は12対5で可決し柴田教育長は再任された。
しかし、残念ながらその後も教育部局と市長部局の溝は埋まることがなかった。
5月21日には教育委員会から市に対し、竹尾緑地の中学校新設に予算をつけるよう要望書が提出される一方で、6月28日には地元紙が「新中学校建設計画、市長が教委案凍結」と報じたことで、庁内の混乱は住民の知るところとなる。
市長は公式ブログで、「平成30年度まで『増築、建て替えで対応可能』という方針を続けてしまった福津市および福津市教育委員会の重大な判断ミス、失策」とまで言い切るなど、事態の収拾がつかないまま時間だけが過ぎていった。
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■ 議会で職員を批判した市長
今回の百条委員会では、原﨑市長に地方自治法違反があったと結論付けた報告書が提出されたが、その中で、市長が異例となる手続きで業務委託をした理由として、9月に実施した市民意向調査の起案の際に市役所内部で業務妨害にあったことを挙げている。
具体的には、起案書が9日間行方不明であったことや、職員が故意に決裁の押印をしなかったということを指している。
しかし、百条委員会における当該職員らの証人喚問の結果、起案書は1日も行方不明になっておらず、決裁の押印についても訳があり、市長の思い込みだったことが判明している。
市長が職員に対して疑心暗鬼になっていったのは事実のようで、あろうことか 9月議会の冒頭で教育委員会と自身の部下を批判する発言をしてしまったのである。
その時の発言は
こちら だが、公の場で職員を批判し議員に訴えかける首長は初めてだ。
そして、百条委員会の直接的な調査事項となる事件が起こる。
総合教育会議用の資料を作成する予算措置で、市長は議会を通さない「裏技」を使ったのだ。
ー 続く ー