■ 百条委員会の結論
1月26日、福津市議会が設置した百条委員会において、原﨑智仁市長に違法行為があったと結論付ける報告書が、議長宛に提出された。
百条委員会とは、地方議会が「地方自治法第100条」に基づき地方公共団体の事務に関する調査を目的に設置する委員会で、関係者の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができ、民事訴訟裁判同様 証人は宣誓を行い、証言拒否や偽証には罰則が設けられている。
今回の委員会の設置目的を簡単に説明すると、「コンサルへの業務委託について原﨑市長の行為に法令違反があったか、また、内部統制が取れているかの調査」である。
委員会では12月28日と1月12日の2日間に亘り、原﨑市長ほか12名に対し証人喚問が、そして、19日にその結果を受けて検証が行われ、報告書の内容についての協議を経て、26日の報告書の提出となった。
12月8日に同委員会を設置する議案が出された際は、10対7で可決されたが、今回の市長に違法行為があったと結論付ける報告書は賛成者が 2人増え、12対5となった。
賛成に転じた2名の議員の一人が、報告書案に賛成討論をしているが、市長の証言を聞いて違法行為があったと判断したということだ。
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■ 市民の意見を大切にする政治
4年前、当時2期目の市議だった原﨑氏は、市長に挑戦する際、「市民はおろか、議員さえもかかわる事なく策定された『福津市行政プラン』への疑問と怒り。」と語っている。
その趣旨は「福津市のことは行政だけが考えるのではなく、市民の意見を尊重しながら みんなで創り上げていく」ことと思われる。
2017年2月、自民党を除名されながらも、共産党や民進党の支援で選挙戦を闘い、自民党・公明党の推薦を受けた現職の小山達生氏を僅差で破り、市長となった。
同年12月には、公約だった「女性」副市長に、自治体の行政経営改革等で実績のある 松田美幸氏を迎え入れ、市民派の市長として評価も上々だった。
人口減に悩む自治体が多い中、福津市は「全都市住みよさランキング2019」において九州で1位になるなど子育て世代に人気の都市、その一方で、人口増加により2小学校と1中学校が過密という問題があり、保護者からは早急な対策が求められていた。
そうした中、教育委員会では5つの案の中から議論を重ねた結果、2019年8月に市の最高意思決定の会議である庁議に竹尾緑地に5-4制(小6~中3の4学年が通学)の中学校を新設することを提案、その後庁議で6回の協議を経て、同12月に同案で2024年開校予定を決定、市長もその方向で進めることを承諾したという。
しかし、そのことが議会の全員協議会で報告された後、市内の環境団体から「環境破壊と安全性に問題がある」という反対の声が上がり、議会の総務文教常任委員会から決定プロセスに問題があるとの指摘があったのだ。
その後原﨑市長は、市民の意見を大切にする理想とは裏腹に、意見をまとめることの難しさに直面することになる。
ー 続く ー