JV構成に批判集まる

先月、嘉麻市の「国道322号嘉麻バイパス大隈トンネル」の工事現場で起工式が行われたというニュースが報じられた。
ひときわ目を引いたのが、東急建設㈱・㈱サカヒラ・九特興業㈱JVという施工業者である。

県のホームページによると、入札は昨年4月、予定価格27億3813万円で行われ JV3者が参加、東急JVが 25億1908万円(落札率92.0%)で落札している。
他の2者は、奥村組・新井組・才田組JVと青木あすなろ・森本・岡本土木JV、たまたま両者とも書類不備で無効となった。
奥村組や青木あすなろほどの企業が、書類不備というミスを犯すはずもなく、自ら辞退したとも考えられる。

それよりも地元業者が批判しているのが、東急とのJVに 「サカヒラ」と「九特興業」が入っている点である。
なぜなら、九特興業の全株式をサカヒラのオーナー一族が所有し、両社の住所も同じで実質同一企業と見られているからだ。
仕様書ではJVの資本比率は5:3:2とされていたがこのケースでは5:5、つまり 25億円の半分を同一オーナーが手に入れることになる。

県の入札要綱では、株主まで調査をすることになっていないため 規定上は何ら問題はない。
しかし、今回のケースでは 関わる地場業者が限られ、二次三次の下請けを含めた業者の育成が広がらず、行政がJVを5:3:2にした目的に沿わないとの指摘がある。
こうした制度の盲点を突いた技を使う業者はごく稀だが、まかり通ると模倣する業者も出てくるので、国や県は防止策を講じた方がよいのでは。

また、中堅ゼネコンにおいては、最近若者向けのテレビCMでイメージアップを図っているが、なりふり構わない地場企業と組むことを続けていては、その努力も水の泡になることを認識すべきだろう。

何かと話題になる坂平副議長

県内4番目の人口を擁する飯塚市の市議会に、議長になるために500万円を保証金として渡そうとした 「太っ腹の市議」がいるという。
市民には全く理解できない話だが、地方議員にとって「議長」というポストは魅力があるものらしい。

 

議長選挙前はドロドロ

一般的に、首長(知事・市町村長)は「相応の能力」と「最低限の品格」が求められ、選挙で勝つとなるとハードルも高い。
一方、多少若い頃ヤンチャした者でも、地域活動に汗をかき 周囲が認めれば 選挙で「議員」に押し上げられ、期数を重ねていくと議長になるチャンスは出てくる。
地方自治体の中で、首長と対等な議会のトップということで、この上ない名誉職の様だ。

チャンスがあるといっても、改選後の議会で行われる議長選挙で勝つ必要があり、派閥争いがある場合は 思い通りにいかないこともある。
そこで議長選直前になると、票を固めるために派閥の議員らが集まって、様々な工作が繰り広げられるのが常で、
「A議員には あの有力支援者から頼んでもらおう」
「B議員は 女性問題を知っていると言えばこっちに来るだろう」
「C議員は 委員長ポストをエサに声かけしよう」
といった生々しい会話が飛び交う。

こうした 背景もあるので、金で話をつけようとする議員がいても不思議ではないが、地方で500万円をポンと出せる者はそういない。
資産家か 余程金回りがいい議員と思われる。

コンプライアンスの厳しい令和の時代に、札束で名誉職を手に入れようとする議員と、それを擁護する低レベルの議員がいることを有権者は知っておく必要がある。

現在、話題の人物は刑事告訴されていると共に 政治倫理審査会で審査されている最中で、最終的な結論は出ていないが、議場で発言された公式な議事録と取材に基づき、稿を進めていきたい。



 

議場での仰天発言

飯塚市議会では2年毎に議長が交代することになっているが、令和3年5月25日に 任期折り返しの議長選が行われることになっていた。
その前日、議長になりたかった副議長が同僚議員に対し、500万円を渡すことなどを条件に 投票依頼をしたという話で、全容は 同年の6月議会最終日の会議録(→)に、また録画中継(→)も残っているので、リンク先を参照して頂きたい。

それは「坂平末雄副議長に対する副議長辞職勧告決議案」に対する小幡俊之議員の賛成討論の中で述べられた。
以下 まとめると、次のようになる。



議長選投票日前日の夕方、小幡市議の事務所に 古本俊克市議と坂平副議長が訪ねてきて2つのお願いをされた。
1つ目は、坂平副議長から「残り2年の任期のうち最初の1年を自分が、後の1年を小幡市議が議長になるということでお願いしたい」と提案があった。
「議長選で坂平に1票入れてほしい。その代わり2日後に保証金として500万円を渡す。それと明日までに1年後の議長の辞表願を予め手渡しておく」という条件を出してきた。

2つ目は、坂平副議長から「議長選の票が足りないので ある会派の3人の議員に白票を投じるよう頼んでほしい。それで自分が議長になれば、その会派の代表を副議長にしてやる」と依頼された。
そして、「仮に議長選に敗れた場合、副議長を辞めると約束する。副議長の辞職願を今渡すので、明日これを3人の議員に見せて説得してほしい」と言われた。

小幡市議が古本市議に「なぜそこまでして坂平副議長を応援するのか」と尋ねたところ「道祖議員(立憲民主党)に頼まれた。2年前の借りがまだ残っている」と意味不明の答えだった。

結局、翌日の議長選で坂平副議長は敗れたが、手渡した副議長の辞職願を撤回し、何事もなかったかのように副議長の席にしがみついており、決して容認できない。
よって、坂平副議長は副議長にふさわしくない。






以上であるが、当日採決が行われ、賛成10、反対8、棄権8で、「坂平副議長に対する副議長辞職勧告決議案」は可決された。
しかし、1年3ヵ月以上経った現在も副議長職に止まっており、来年4月の改選まで続けていく様だ。


坂平末雄副議長に対する副議長辞職勧告決議案 議決結果

 

刑事告発と政治倫理審査会

議会の議決は重い。
副議長辞職勧告決議が可決されたのにも拘わらず、法的拘束力がないのをいいことに椅子にしがみついている坂平副議長、市民の目にどう映ろうと気にしない強靭な精神力をお持ちの方とお見受けする。

これまでの経過を時系列に記す。



小幡市議は昨年12月、贈賄申し込み容疑の告発状を福岡地検に提出しているが、現時点で検察が動いているかどうかは明らかになっていない。
しびれを切らした市民が 今年6月、市条例に基づき政治倫理審査会の開催を要求、開催される運びとなった。
8月30日の審査会では、非公開で坂平副議長と古本市議の聴取が行われ、「小幡市議議から保証金名目で500万円を求められた」と 食い違う証言がされている。

双方の主張が全く異なり、審査会もこれ以上の進展はないかと思われたが、10月7日の審査会での小幡市議に対する聴取で 新たな展開があった。

小幡市議によると、議長選より5日前の5月20日、古本市議から「今回の議長選、前期1年を坂平、後期1年を江口徹市議でどうか。坂平を1年で辞めさせるために1000万円の保証金を積ませるから江口に話してほしい」という提案があったという。
言われたまま江口市議に伝えるだけ伝えたが、当然のことながら江口市議が断った。
それで小幡市議に話が回ってきたというのである。

また、坂平副議長と古本市議から議長選の協力を求められた際の 録音データがあることが明らかにされた。
小幡市議は必要があれば買収に関する箇所の録音データを 審査会に提出する用意があると述べている。

録音データの存在はこれまで憶測の域を出なかったが、実際にあるとなれば新たな局面を迎えることになるだろう。


副議長はサカヒラの株主

坂平末雄副議長については、まだまだ興味深い話がある。
飯塚市の老舗企業で、生コン製造販売及び建設業を営む ㈱サカヒラ(飯塚市潤野1133-6 代表者 坂平隆司氏)という企業があるが、市内では納税額も多い優良企業として知られる。

そのサカヒラは、飯塚市発注の公共工事ほか、飯塚市が出資する 飯塚地区消防組合(飯塚市・嘉麻市・桂川町)及び ふくおか県央環境広域施設組合(飯塚市・嘉麻市・桂川町・小竹町)が発注する公共工事を請け負うこともあるが、市内の総合評価が最も高く、行政からの信頼も厚い。
最近では、令和3年7月に飯塚市発注の「幸袋交流センター建設工事」を 3億3625万1300円(税込)で落札している。



同年9月議会に、この契約の承認を求める議案が上程され、協働環境委員会での審査・可決を経て、最終日に本会議で賛成多数で可決し、サカヒラの契約が決まった。

これについて、市民から問題を指摘する声が出ている。
というのも、委員会で議案審査し、本会議でも賛成に手を挙げた坂平副議長が利害関係者だからだ。
提供頂いた資料は、毎年議員に報告が義務付けられている「資産等報告書(下図)」で、令和4年5月31日付のものである。

そこには、坂平副議長が サカヒラの株式を125株保有しており、1年で 625万円の配当を得ていたことが記載されていた。

議員に託された業務の一つは、行政の予算の使い方が適正かどうか審査することである。
● 市が 建設会社と3億円以上の契約をしようとしている。
● 市議がその会社の株式を所有しており、利益が出れば配当金をもらえる。
● その市議が、契約が適正かどうか審査して「賛成」で手を挙げる。

これが まかり通っていることに 市民が注目し始めた。





 

親会社と子会社の2社入札

前回、飯塚市議会で建設工事の契約議案審査を行う坂平末雄副議長が、令和3年にサカヒラ㈱から 625万円もの株式配当を得ていたことを書いたが、同業者の方から 普段見落としがちな一部事務組合における入札について情報提供があった。

ごみ処理施設等を広域で行う ふくおか県央環境広域施設組合(飯塚市・嘉麻市・桂川町・小竹町で構成)が行った入札に、サカヒラとその100%子会社である九特興業㈱の2社のみが参加して、サカヒラが予定価格いっぱいの高額で落札したというだ。
九特興業とは昭和39年創業の老舗建設会社で、現在はサカヒラの経営者一族が全株式を保有、本社もサカヒラと同住所で地元では同一視されている。



問題の入札は、今年 8月31日に開札された「嘉麻クリーンセンター最終処分場押え盛土築造工事」の条件付き一般競争入札、予定価格 8633万3000円(税抜)、経審800点以上の土木業者が対象で、公共工事が減りつつある筑豊地区において、誰もが欲しい工事と思われる。
経審800点以上と言えば 地区内に30社以上あり、本来なら多数の参加が見込まれたはずだが、入札が行われたことすら知らない業者が殆どだというのだ

公告期間は 8月1日から9日まで、同組合の公式ホームページや2市2町の公式ホームページでも案内されているので、公平公正に周知はされている。
しかし、公告期間が9日間と短かったことに加え、通常の市や町の発注ではなかったことから、業者が定期的にチェックしている工事関係のページではなく、普段開かない新着情報のページで案内されたため、見逃されてしまった様だ。

サカヒラと九特興業の担当者が、くまなく情報をチェックしていたという見方もあるがそれだけではない。
飯塚市議会の坂平末雄副議長は、市議会を代表して同組合議会の議員として参加しており、今年度の予算審議で当該工事が予算化されることを把握している。
更に ゴミ処理を所管する第一委員会の委員長を務め、6月の委員会で発注予定の報告を受けていた。
つまり、確実に発注情報を掴める立場にいたことは間違いない。

結果として 応札したのは サカヒラとその子会社の九特興業、落札したのが 坂平副議長(同組合議会では委員長)が配当を得ているサカヒラである。
これで競争と言えるのかという声もあるが、入札金額の不自然さが指摘されている。


ある県警OBの推理

ふくおか県央環境広域施設組合が公表している「嘉麻クリーンセンター最終処分場押え盛土築造工事」の入札結果表は、税抜金額と税込金額が分かりづらかったので注釈を入れた。(下図)

これを見ると、九特興業は予定価格 8633万3000円(税抜)と同額の札を入れているので 鼻から取る気がなかったことが分かる。
一方、サカヒラは8500万円(税抜)の札で落札、予定価格に対する割合(落札率)は 98.5%と 業者側から見た入札結果としては満点と言えるだろうが、「通常は有り得ない」結果に関係者から疑問の声が上がっている。

この入札は、 8月1日公告、同 9日に参加申込みが締め切られ、参加が認められた業者は 入札金額を書いた書類を郵便で事務局に送付し、31日に開封・開札という流れだった。

入札参加申込みを提出した業者は、締切までに何社が申込みをしたのか知り得ないので、どうしても落札したい業者は最低制限価格7833万4000円(税抜)に近い札を入れることになる。
ところが、今回の2社、九特興業は予定価格に対して100%、サカヒラは98.5%の札を入れており、競争する意思が見られない。

ある県警OBから次のような推理を聞くことができた。

「2社は札を入れる際、参加申込みが自分たちだけと分かっていたと思います。
何らかの方法で情報を得た可能性もありますね。
親会社と子会社の2社入札、子会社が予定価格と同額というのが 明らかにおかしい。
指名競争入札においては、辞退する代わりに100%の札を入れることはありますが、これは一般競争入札、何のために経費をかけて参加するんでしょうね。
1社入札の場合は 不調(入札無効)になるので、それを避けるために参加しただけ、そこで何も考えず100%の札を入れたのでは。
完全に入札を舐めてますよ。」


不自然な新体育館入札

ふくおか県央環境広域施設組合の土木工事の入札に、株主が同じ サカヒラと九特興業の2社のみの入札になった。
この2社が関係した入札と言えば、現在建設中の飯塚市新体育館建設工事の入札が思い出される。
3回目で決まったこの入札は、当時話題になり 地元紙も報じている。

経過は下表の通りで、
1)1回目の入札で、告示から参加締切まで土日を除いて たった8日間
2)1回目の入札日当日に、サカヒラJVと九特興業JVの2者が共に辞退
3)2回目の入札日前日に、サカヒラJVと九特興業JVの2者が共に辞退
4)サカヒラが組んだゼネコンが3回とも異なる
など、不自然な点が指摘された。

前回コメントをもらった県警OBが、この状況についての推理を語ってくれた。

1)について
入札の告示から締め切りまで8日間という短さ、JVの相手を決めて積算するには あまりにも短く、いわゆる不意打ち的な告示で、予め準備をしていた業者しか 間に合わせることができない。
前述の様に、サカヒラと九特興業は 同じ株主の企業、その2社だけが JVを組むことができたことになる。
公告期間を短く設定したのは市役所という点が気になる。

2)について
1回目の入札当日、2者が辞退しているが 参加者数の情報が漏れていたのでは。
なぜなら、仮に4者以上が参加していれば 入札は成立していた可能性が高い。
入札の予定価格を吊り上げる目的だったと想像するが、2者しかいないと分かっていたから 安心して辞退できたのだろう。

3)について
2回目の入札は 前日に2者が辞退している。
2者は 分離発注で落札できると踏んでいたところ、想定していなかった「東洋建設・赤尾組JV」が参加してきたので慌てたのでは。
1者入札だと成立しないため、2者共に辞退して 入札を流そうとしたのだろう。
4者以上が参加していれば 辞退はできないはずで、3者が参加するという情報が 漏れていたかもしれない。

4)について
サカヒラが組んだJVの相手が3回とも異なっているが、このような例は聞いたことがない。
一般競争入札にも拘わらず、サカヒラは3回とも辞退しており、初めから九特興業に落札させるつもりだったと想像できる。
三井住友建設、西松建設、淺沼組は 名前を貸しただけで、真面目に積算していないのでは。

以上は あくまで県警OBの推理である。
結局、予定価格を約2億円吊り上げて3回目の入札が行われたのだが、最低制限価格付近で 安藤ハザマ・九特興業JVが落札しており、ガチンコで決まったと思われる。
市役所が1回目の入札を辞退した理由を ゼネコンにヒアリングした際、2者共に 「予定価格を積算が上回ったため」と答えたという。

しかし、3回目の落札金額は 1回目の予定価格を下回っており、1回目の辞退理由が意味を成さないものとなっている。
1回目の入札を不調にして、工事費を2億円増額しようとしたところ、もう1者が参加してきたことで、思惑が外れ お粗末な結果となってしまったのではなかろうか。



 

13社中10社が辞退した入札

新体育館の建設工事の入札では、1回目と2回目が不調となり、3回目で 九特興業JVが落札した。

サカヒラJVと九特興業JVが1回目の入札を辞退した理由は「予定価格(25億8979万円)が積算より低かったから」、しかし3回目の入札で 予定価格が約2億円引き上げられたにも拘わらず、1回目の予定価格より低い 25億8700万円で落札したことから、「受注価格を吊り上げる思惑が外れたのでは」と 業界で当時話題になった。

その2年後、同工事に関連する物品納入案件において 冗談のような入札結果が披露された。

その案件とは「移動式観覧席」の設置費用、1回目の時には工事費に含まれていたが 、3回目の入札の仕様書で密かに分離され、別途発注されることになっていた。
「密かに」というのは、議案審査の際、役所から分離した旨の説明がなく議員に知らされていなかったという意味で、今年の6月議会に「移動式観覧席 7843万円」の財産取得議案が上程され、議員らは初めて知ることになる。

本来 建設工事に含まれるべき観覧席を分離発注すれば、建設業者ではない 物品納入業者に受注のチャンスが出てくる。

5月19日、「事務用品」の物品納入の登録業者を対象に 指名競争入札が行われたのだが、指名された13社のうち 何と10社が辞退、応札したのは 3社のみで そのうち グッドイナフ㈱が 7843万円(税込)で落札した。
10社の辞退理由を確認したところ、「商品が入手困難」「納期が未定」「納品後のメンテナンスが出来ない」などで、まるで 取り扱い出来ないことを分かっていながら 指名したようだ。

ちなみに 予定価格の算定のため、役所が指名した13社のうち2社に事前見積りを依頼していたことが判っているが、それがどの会社なのか 議会で尋ねられるも明らかにしていない。
明らかにできない理由があるのだろうか。

今回辞退した10社が事前見積りをしたことは考えられず、応札した3社のうちの2社ということで間違いなかろう。
㈱福岡ソフトウェアセンターは 飯塚市の第三セクターで業歴が長く 見積りは可能と思われるが、グッドイナフ㈱と ㈱S・Yはどうか。

問題視されているのは、その2社が 坂平副議長に関係する会社だったことである。



 

課長と副議長と業者で会食

12月議会に提出された請願の中身が衝撃的だ。
飯塚市新体育館移動式観覧式の入札において、 落札した業者と市の職員、そして 市議会議員が会食していたので、百条委員会を設置して官製談合の疑いがないか調査してほしいというもの。

請願したのは飯塚市の建設業に携わる市民3人、今年2月26日、市内の飲食店で 市職員(当時の契約課長)、落札した グッドイナフ㈱の代表者、そして 坂平副議長と某女性の4人が会食していたのを目撃したという。

9月議会の決算委員会において、上野伸吾議員の質問に対し 市はそのような事実はないという回答している。
しかし、今朝の朝刊で、11月28日に同職員は会食をしたこと認め 市に報告したと 地元紙が報じた。

明日8日の議会運営委員会で百条委員会を設置するかどうか協議されるという話だが、次号で移動式観覧席を落札したグッドイナフと入札に参加したS・Yがどんな会社か解説していくので 乞うご期待。






 

グッドイナフってどんな会社?

今年2月、契約課長(当時)と坂平副議長と女性、及び 飯塚市新体育館 移動式観覧席を落札した グッドイナフ㈱の社長が 会食をしていたことが、議会でも取り上げられているが、グッドイナフとはどのような会社だろう。

市内で その名を聞いたことのある人は殆どいないと思われるが、それもそのはず、平成29年1月5日設立と業歴が浅く、本社は飯塚市役所側の賃貸マンションの1室にあり、社員数1名の小さな会社だ。

法人登記を確認したところ、設立目的に「1.ガス,石油類,工業用薬品,石灰石,生石炭,消石灰,活性炭の販売,斡旋販売」と記載されている。
その後、飯塚市の建設・建築資材の物品納入業者として登録し、同30年3月に「活性炭入り消石灰納入業務」の入札に参加し見事落札、年間約1500~2500万円を売り上げている。
驚くことに、そこから令和4年度まで5年連続で落札しているので、社長はさぞ商才に長けた方とお見受けする。



同社は令和2年8月、定款の事業目的に「コンピュータ、周辺機器、通信機器、ソフトウェア並びに家庭用電気製品、電子機器及び事務機器、事務用品の卸・販売・販売代理・仲介・輸出入業務」を追加、翌年(令和3年)、飯塚市に事務用品と教育用品の物品納入を追加登録、新規参入ながらタブレットやクオカード等 1年間で約830万円分を売り上げることができた。

そして 今年5月19日の新体育館移動式観覧席の入札に至る。
13社中10社が取り扱いしていない等という理由で辞退する中、この程度の納入実績のグッドイナフが 7843万円で落札したのである。
事務用品を追加登録したのは、こちらが主たる目的だったと 関係者は見ている様だ。

以上、グッドイナフとはこんな会社だ。

ひとつ言い忘れていた。
ここの凄腕社長は 坂平副議長の後援会長だったという。



 

S・Yってどんな会社?

前述のように、新体育館移動式観覧席の入札に参加したのは3者、そのうち1者は ㈱S・Yという会社だが、調べてみたところ突っ込みどころ満載だった。

同社は平成25年に設立した会社であるが、代表者は坂平姓の女性、何と坂平副議長の奥様である。



そして、坂平副議長の資産報告書で、現在発行している400株のうち 208株を坂平副議長が保有していることが判った。
つまり、坂平副議長がオーナーを務める会社が、堂々と移動式観覧席の入札に参加していたことになる。



S・Yの過去5年分の飯塚市の発注実績を確認したところ、平成29年度から飯塚市クリーンセンターへの「酸素パイプ納入」の入札において令和元年を除く4回落札し、年間約1000万円の売り上げていることも判明、クリーンセンターへの消耗品納入の5年連続落札という芸当は、どこか別の会社でもあった話だが、これについては後述する。

新体育館移動式観覧席の指名競争入札に話を戻すが、指名されたのは13者、市はそのうち2者に事前見積りを依頼したとのことだが どの業者かは公表していない。
そして、13者中10者が「商品が入手困難」等の理由で辞退、参加したのが ① グッドイナフ(代表者が坂平副議長の後援会長)、② S・Y(坂平副議長がオーナーで代表者が奥様)、③ ㈱福岡ソフトウェアセンター(飯塚市の第三セクター)の3者である。

3者のうちの2者が坂平副議長が関係する会社、しかも業歴が浅く納入実績の乏しい企業である。
事前見積りについても、グッドイナフかS・Yに依頼した可能性が高い。

12月議会に提出された請願で、新体育館移動式観覧席の入札関係者が会食していたことが問題になっているが、参加していたのは以下の4人である。
1.落札業者したグッドイナフの代表者(坂平副議長の後援会長)
2.契約課長(当時)
3.坂平副議長
4.女性
4の女性について確認が取れていないが、S・Yの代表者である坂平副議長の奥様だったのではないかと関係者は見ている。



 

奥様は名ばかり社長、オーナーは坂平副議長

飯塚市議会では3月議会の合間を縫って、「新体育館移動式観覧席の入札に係る官製談合等調査特別委員会(百条委員会)」が開催されている。
1ヵ月後の市議選が気になりながらの審査で、委員の皆さんは大変そうだが、これまでの証人尋問でいくつか興味深い話が出ている。

その中で、入札に参加した3社の代表者の証人尋問のうちS・Yの代表者で坂平末雄副議長の奥様、由美氏の証言には驚いた。




Q 会社の住所は。
A 番地は分からない。
Q 指名業者にいつなり、何の業種を希望したか。
A 事務員に任せているので分からない。
Q 役所との取引実績は。
A 分からない。

(役所から)参考見積の依頼を受けたか。
A インテリア関係の知り合いの業者に相談した。業者名は迷惑をかけるので言えない。
Q 今回の入札について、市や議員などに事前の働きかけをしたか。
A 働きかけの意味が分からない。

Q 入札金額がちょうど8000万円ちょうどだが、どうやって決めたか。
A 相談して決めた。これくらいじゃないかなぁと。
Q 落とそうという意思がないように感じられるが、無理と判断していたか。
A 多分そうだったと思う。

Q あなたの会社の最大株主は。
A 主人(坂平副議長)。






社長とは名ばかり、本当に何も知らなさそうで、このような場に呼び出されてたいへんお気の毒である。
誰が実際に会社を動かしているかは容易に想像できるが、ここで「インテリア関係の知り合いの業者」というのが出てきた。

弊社ではこの業者について既に調べはついているが、この体育館建設工事ほか、他の市発注の大型工事に深く関与しており、今後の委員会審査が楽しみになってきた。



 

来期こそ議長に・坂平副議長

4月の市議選に向け、飯塚市議会の坂平末雄副議長が精力的に動いている。
丁寧な個別訪問、留守宅には討議資料と名刺、そして手書きの手紙を郵便受けに入れ足跡を残す、こうしたきめ細かさは新人候補のお手本となるものだ。

さて、坂平氏は今期4年間は副議長を務めた。
途中、副議長辞職勧告決議が可決されるも動じることなく辞任を拒否、議長の補佐役に徹し、また、時には入札案件を取り扱う契約課の課長を呼び出し飲食を共にするなど、プライベートでも行政と市民とのパイプ役として、「あなたの声を市政に」を実践してきた。



辞職勧告決議の原因となった2年前の議長選挙の際は、「この世は金ばい!」で有名になった古本俊克議員の仲介で、同僚議員に500万円の「保証金」を渡すという条件を提示して票の取りまとめを依頼したが、話はまとまらず敗れることに。
ここで言う保証金とは「1年間だけ議長を先にやらせてほしい。もし1年後、議長を辞めないで約束を破った時は、500万円は渡します」を意味するが、飯塚市議会では過去にもこうした例があったという。

古本議員は今期限りで引退の意向を示しており強力な後ろ盾が一つなくなるが、道祖満議員はじめ固い絆で結ばれた仲間がいるので夢を諦める必要はない。
保証金を積み増してキャスティングボードを握る会派に提示すれば、議長の椅子が手に入るかもしれない。

坂平氏の討議資料には、「住み続けたい飯塚市の実現のために今すべき事を、今行います」という約束があるが、今すべきことを今行わない議員はいないのでは…。
そんな約束より、政治倫理上の問題点を改める、例えば「自身が株主の会社の契約議案の採決には加わりません」とか「自身がオーナーの会社は市や組合の入札に参加しません」などの現実的な約束に差し替えた方が票になると思われる。

坂平氏におかれては、来期こそ議長としてご活躍されることを期待している。



 

坂平氏告発議案の賛否

飯塚市議会 3月定例会最終日、「百条委員会に出席を求められるも正当な理由なく出頭しなかった」として、坂平末雄市議を告発する議案が賛成多数で可決した。
今月中に福岡地検に告発状が提出されるという。

坂平氏を巡るドタバタ劇は、令和3年6月議会で議長選の買収疑惑が暴露され、副議長辞職勧告決議が可決したところから始まった。
昨年6月議会で議案となった新体育館移動式観覧席の入札が極めて不自然で、坂平氏の関係する2社(後援会長が代表を務める会社と自身が最大株主の会社)が関与していたことから 市役所を巻き込む騒動に発展した。

ところで、これまでの坂平氏にまつわる議案の賛否を表にしてみたが、なかなか面白い。
副議長の辞職勧告決議案は、選挙で選ばれた議員の身分に関わり慎重な判断が求められることから、棄権や反対が多かった。
移動式観覧席の疑惑が出た後の昨年9月議会では、百条委員会の設置を求める請願が出されたが、公明党などが反対に回り否決されている。

しかし、昨年11月に 坂平氏が入札の3ヵ月前に、当時の契約課長や落札した後援会長と会食をしていたことが明るみになると空気が一変、12月議会で同様の請願が再び提出され、賛成多数で百条委員会設置が決まった。



百条委員会では時間的な制約もあったが、かなり踏み込んだところまで解明できたと思われる。
肝心の坂平氏の証言は出頭拒否のため得ることができなかったが、疑惑は深まったと言えよう。

新体育館移動式観覧席の入札に係る官製談合等調査特別委員会

採決の結果、賛成19、反対5、坂平氏と同じ会派の瀬戸光市議、及び「この世は金ばい」で知られる古本俊克市議の2名が棄権した。
注目された公明党は、4人のうち3人が賛成に回り、田中裕二市議は反対した。
棄権した古本市議と同じ会派の田中武春市議が賛成したのは意外だった。



立憲民主党の道祖満議員は徹底して反対を貫いた。
反対討論では、「坂平氏は動画撮影を拒否しただけで調査に協力する意思はあった」として、告発を決定した委員会の手続きを批判した。

確かにそういう反論も分からぬではないが、撮影があっても やましいことが無ければ堂々と尋問を受ければ良かったはずだ。
それより、公明党の3人が賛成しているのに立憲民主党の2人が反対に回った構図を見て、自治労はじめ支持団体はどう考えるか心配になってきた。