管理会社が逃げ出したタワマン(後編)

管理会社が逃げ出した原因はA氏にあるように思われる。
そこで撤退した管理会社に経緯を尋ねようと取材を申し込んだが、この件については何も話せないと断られてしまった。

ただ、詳しくは書けないが、このことで実害が出ている区分所有者もいる。
販売会社のグループの管理会社が、問題を残したまま区分所有者を置き去りにして撤退した意味は大きく、マンション販売に大きな影響を及ぼしかねない。

こうした管理会社のいない体制は SNS上で既に噂になっており、マンション価格にも影響が出ているという。
新規購入者にとっては、コンプライアンス意識の高い上場会社に管理してもらった方が安心である。

管理組合においては、自主管理がマンション価格に影響していることなどを調査し、できだけ早期に管理会社に再委託する方向で動くべきだろう。
そして、難しいかもしれないが、管理組合は A氏とは顧問契約を解消し距離を置く方が良さそうだ。

また、販売会社グループにおいては、撤退した背景に何らかの不都合な真実があると見られても仕方がない。
販売した区分所有者のため、そして、今後の営業のためにも、再度管理組合と互いに歩み寄ってみてはいかがだろうか。




中央区に続き東区のタワマンで、上場企業グループの管理会社が撤退するというのは考えられない事態だ。
2つのタワマンには、販売会社JVと施工会社に共通項あり、偶然ではない、何か裏があるような気がしてならないので、引き続き 取材を続けていきたい。

 

管理会社が逃げ出したタワマン(中編)

A氏は 理事長として数々の課題を解決し、その後も顧問としてスーパーゼネコンから外壁塗装の再施工ほか数々の無料サービスを引き出し、その費用は1億円を超えると見られている。
当初の管理会社に任せていたら 課題は解決できなかったが、A氏の手腕によって解決したというのは事実かもしれない。

ただ、あまりにA氏に権力が集中し過ぎたという見方もある。
例えば、管理組合の理事会役員らによる専門委員会なる新組織を立ち上げ、研修名目で年間380万円の報酬を委員に支払っているが、この類の支出は他所の分譲マンションで聞いたことがない。

また、管理会社が撤退後、自主管理に移行し経費が削減されたというが、浮いた資金の一部はA氏に顧問料として還流している。
自主管理体制に移行後、A氏が都合よく運用できるようルールを改め、公平性や中立性に欠ける決定をしているという声や、全区分所有者の銀行口座等の個人情報をA氏らが管理・把握をしていることから不安視する声も少なくないという。

更に、不動産仲介業者の間でも、駐車場ルールの運用についてや管理組合の必要書類等の対応がかなり遅かったり、責任者に連絡しても連絡が取れないなど問題が多く、顧客に薦めづらいと不評を買っていると聞く。
市内のマンション価格は総じて上昇しているが、このマンションに関しては当てはまらいようだ

A氏がここまで力をつけたのは、単に専門的な知見を有しているだけではなさそうだ。
上場企業ですら 頭が上がらない 何らかの利害関係があると想像され、この点においては 福岡市中央区の高級タワーマンションと共通する。
A氏についてネットで検索したところ、まだ昭和だった頃に 東京の某行政区の広報紙で 国際派感覚の女性と紹介されている記事を見つけた。

また、その後 ハワイで不動産関係の会社を経営、国会議員や 有名歌手と交流があり、相応の経歴や人脈を持っていることが窺われる。

ー 続 く ー

管理会社が逃げ出したタワマン(前編)

昨年11月の弊社記事で、福岡市中央区の高級タワーマンションを管理していた会社が、管理組合の理事長・副理事長による嫌がらせ、いわゆるカスハラに耐えかねて撤退したと報じた。

嫌がらせで管理会社が撤退(2023年11月6日)

そして今度は、東区にあるタワーマンションの管理会社が撤退したという情報が寄せられた。
2019年竣工の同マンションは 地場上場会社が主となって販売、管理はグループ会社が行っていたが、昨年2月末に同社が撤退し、現在はマンションの管理組合が自主管理しているという。

上場会社グループが販売管理をするマンションから、管理会社が撤退すればイメージが低下し 今後のマンション販売にも響くので、通常は考えられない。
そこで、直近の総会資料を入手し 事実関係を確認した。

資料の報告事項に、「管理会社が外注した業者が仕事をせず、退勤時刻を誤魔化すなど悪質極まりないものだったため、業務不履行として返金を求めたが、外注業者について詳細な調査も行わず一切応じなかった。管理会社は外注業者を守りマンション管理組合に非があるとして、管理委託契約を一方的に解除してきた。理事会から住民説明会開催を再三求めたにも拘わらず、一切応じなかった」とある。

また、同じく総会資料に、管理組合の元理事長で現在は 顧問の肩書の A氏(女性)についての記述が興味深い。
以下要約。

・現在顧問契約を交わしているA様と、顧問料月額25万5000円で契約更新した。
・当マンションは様々な課題に直面していたが、管理会社はこの規模の管理が未経験で状態が悪化、さらに不正行為もあって金銭的運営的に損害を被った。
・こうした問題解決には専門的な知識とスピーディな対応が必要だったが、管理組合と理事会の力では解決が困難だった。
・こうした経緯を踏まえ「理事会」で検討した結果、様々な問題に無償で、無休 24時間体制で取り組んで下さっていた当時の理事長のA様が顧問として適任と判断され、顧問契約を交わした。
<実績>
A様は、外壁塗装問題の折衝、違法改装の解決、管理会社の業務引き渡し、共有設備の管理会社と折衝、コンシェルジュ・用務員・清掃員・夜間警備員の配置と指示、違法な不動産取り引きの停止、共有部分の改善、管理費の削減、理事会への助言など、多岐にわたる問題等に対して積極的に取り組み、住人に対しては掲示物による周知を行うなど顕著な成果を上げた。




以上の資料から、管理組合の理事長だったA氏と 管理会社が対立し、管理会社がやむを得ず撤退、現在は管理組合が自主管理するに至ったことが分かった。

ー 続 く ー